月と太陽がすれ違う時

月と太陽がすれ違う時31

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片桐が食後にと買って来たケーキと、片桐ご自慢のコーヒー豆でエスプレッソを入れてくれた。

コーヒーの苦手な日菜太はミルクティーでおいしそうにケーキをほおばる。

「片桐さん、この前のケーキもおいしかったけど、今日のもすごくおいしい。あれ?流星は食べないの?」

「流星様は甘い物はあまり召し上がらないのですよ。このケーキは日菜太くんの為に買って来たのでたくさん食べて下さいね。」

「ほんとに?じゃこのフルーツタルトも食べていい?」

「どうぞ。本当に日菜太くんは素直で可愛いですね。それに引き換え流星様は…。」

「俺が可愛かったら気持ち悪いと思うが違うか?」

「そんな事を言っているのではありません。流星様も日菜太くんのように他の人と強調出来るようになって頂きたいと言っているのです。会社を運営するにはやはりその人となりが必要です。流星様のように他人を寄せ付けないのは困るのですよ。いくら優秀な秘書をつけても上に立つものが魅力的ではなければ下は付いてきません。」

「まだ先の話だ。今しなくてもいいだろう。こいつに聞かせる話でもない。」

「またコイツって言って。本当に失礼ですよ。こんな簡単な事も言えないなんてあなたは子供ですか?いえ、今時の小学生でも名前で呼べと言えば呼べます。あなたは小学生以下です。」

「片桐そんな事を俺に言ってもいいのか?」

「ええ。社長にもっと礼儀を叩き込めと言われておりますので。遠慮なく叩き込ませて頂きます。」

俺と片桐の間に火花が飛び散る。

「いいよ。俺コイツでもオマエでも。流星が呼びやすいのでいい。だから片桐さん流星を追い詰めるように言わないで。ね。その方がたまに名前で呼んでもらえた時嬉しいしさ。」

口にクリームをつけたまま日菜太が言う。

「日菜太くん。あなたって人は…。なんていい子なんでしょう。」

「口の横にクリームつけて言われてもな。」

「え?ついてる?どこ?」

見当違いなところばかり拭く日菜太にあきれてティッシュで拭ってやる。

「日菜太の方がよっぽど子供だろ。」

「「日菜太って呼んだ‼」」

二人で嬉しそうに笑っている。

日菜太を見てると意地を張ってるのがバカらしくなる。

別に名前で呼ぼうが呼ばまいが日菜太は変わらないだろうが、あんなに嬉しそうな顔をされちゃな。

その後も二人で楽しそうに話をしている横で俺は本を読んでいた。




「では今日はごちそうさまでした。日菜太くんありがとう。楽しかったです。これからも流星様の家に遊びに来て下さいね。」

「はい。こちらこそおいしいケーキをありがとうございました。」

「では流星様、私はこれで失礼します。」

「ああ。」



片桐が帰ると少し静かになる。それでも温かい空気が漂っていて妙な気分だ。

「流星、俺お風呂入って来てもいい?」

「ああ。」

「あのさ、お風呂から上がったら勉強みてくれないかなあ。今日の授業でわからないところがたくさんあって…。」

「学校休んでたしな。俺も復習になるから見てやる。」

「じゃ急いで入って来る。」



風呂から上がった日菜太と今日の授業を復習する。

日菜太に教えながら、クルクル変わる日菜太の表情に目が離せない。

こいつは本当にいろんな表情をする。

俺は表情があまりないから人ってこんなに表情があるんだと思う。

考えてる時に首を傾げて頭をトントンとシャーペンで叩いていたかと思うと、急に目を丸くしてわかったとノートに書きだす時の顔や政界した時のどや顔。疲れてきてテーブルの上に顎を乗せて口をとがらせている顔。いろんな日菜太の顔が見れた。

しばらくすると飽きて来たのかラルクと遊びだし、寝転がってラルクを抱き上げたり、抱きしめたり、ラルクが迷惑そうにしても構わずにキスをしたり…。

「りゅーせー。あそぼーよ。」

「まだ全部終わってないだろう。教えろって言ったのはお前だぞ。」

「そうだけど…。もう1時間以上してる。休憩しよう。」

「お前だけすればいい。俺はもう少しする。」

「ちぇーーーっ。いいよラルクと遊んでるから。」

俺は参考書に目を落とし続きをする。

勉強は嫌いじゃない。理解できるとスッキリする。

いつの間にか日菜太の事は頭の端に数式を解いていた。

気が付くと、だいぶんと時間が過ぎていて日菜太はラグの上でラルクと眠っている。

「こんなところで寝たらまた風邪ひくぞ。寝るならベッドで寝ろ。」

「う…ん…。」

返事だけで起きようとしない。

「仕方ないな。」

日菜太を抱き上げると甘い香りが漂う。

同じシャンプーやボディソープを使っているはずなのに日菜太から香る香りは俺とは違う気がする。

「軽いな。」

小さくて華奢な身体は見た目通りに軽くて驚いた。

ベッドに寝かせるとリビングに戻ろうとして引っ張られる。

日菜太がいつの間にかシャツの裾を掴んでいた。

フッと軽く笑いをこぼし、日菜太の指を開いて離した。

「まだ課題が残ってるんだ。一人で大人しく寝てろ。」

寝ている日菜太にこんな言葉をかけてリビングに戻る。

少し甘酸っぱいような気持ちでいる。

これは何なんだろう。

この気持ちの意味もわからずにいた。

人を好きになる事のなかった俺にはそれがどういう感情なのかさっぱりわからなかった。

ただ日菜太が傍にいる事を不快に思わず、むしろ心地よいと思い始めている事に気が付いていた。

妬む心と求めている心が自分の中で渦巻く。

正反対の気持ちを持ちながら、均衡を保とうと俺の心の中は綱渡りしているのだった。

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