月と太陽がすれ違う時

月と太陽がすれ違う時47

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日菜太の部屋に戻るとベッドの下に布団が敷いてあった。

ラルクがその上に乗り前足でフミフミと布団を揉むようにリズムよく踏み、喉はグルグル鳴ってすっかり睡眠モードに入っている。

「ラルク、俺の家も家族も気に入ってくれたみたいだね。流星は?」

「ああ。良いご両親だな。日菜太が愛情たっぷりに育てられたのがわかるよ。」

羨ましいと思うくらいに理想の家族だ。日菜太と血が少ししか繋がってないとは思えない。本当の両親のようだ。

「うん。俺もそう思う。本当の両親じゃないとは思えないもん。」

「お互いに遠慮がないのがいいんだろう。俺と父親とは大違いだな。お互いに言いたい事があっても言わないからな。」

「流星…。」

「気にするな。俺はこれでいいと思ってる。今日は日菜太の家族を見て、普通の家族をいろいろと勉強させてもらって楽しかった。俺には築けない家庭だな。」

「そんな事ないよっ。」

「前に言わなかったか?俺は結婚はしない。だから家庭は持たないんだ。」

「じゃ俺を家族にしてよ。流星とずっと一緒にいるよ。」

日菜太は真剣な目でオレを見て言う。

「ずっと」なんてたやすく言うな。

「ずっと」なんて有り得ないんだよ。

「その話はしたくない。今日は楽しかった。頼む。今はそれで良しとしてくれ。」

日菜太の両親にちゃんと考えて答えてやってくれと言われた事が脳裏によぎる。でも今は楽しかった今日を良い気持ちのままで終わりたかった。

「流星の気持ちも考えないでごめん。布団に入ろ。」

日菜太はベッドに俺は布団に入る。

ふかふかの布団はひなたの匂いがする。きっとおばさんが俺の為に干してくれたのだろう。

「ひなたの匂いのする布団なんて小さい頃以来な気がするよ。」

クンクンと匂いを嗅いで言うと日菜太が驚いたように俺を見るから布団越しに目があった。

「え?流星は布団干さないの?」

「ああ。布団乾燥機だな。俺が布団を干すように見えるか?」

「見えない…。」

「だろ?」

クスクスと二人で笑って寝ようかと口を閉じる。

「流星電気消すよ。」

「ああ。おやすみ。」

「おやすみ。」

そのままラルクと3人で眠りについた。

その夜…。

「ニャッ‼。」

ラルクの怒ったような驚いたような鳴き声がして目を覚ます。

「うわっ。ラルクごめんっ。わっ…わあっ‼」

日菜太の声がしたと思ったら俺の上に日菜太が倒れ込んできた。

俺も寝ぼけているから上手く日菜太を受け止められずに日菜太の唇と俺の唇が重なり合う。

一瞬の事なのに、お互いに目が合ってキスしたまま固まった。

数秒そのままで上に乗っていた日菜太が慌てて俺からのいた。

暗いままなので電気をつけると、部屋の隅で身体を舐めて落ち着こうとしているかのようなラルクと、顔を真っ赤にして俯いている日菜太の顔が見えた。

「日菜太大丈夫か?」

キスの事には触れないで日菜太に声をかける。

「う、うん。大丈夫。ごめん…。トイレに行く時はラルクはドアの近くにいなかったのに帰って来たらいたんだよ。思わず蹴りを入れた形になっちゃって、つんのめって流星の上に乗っちゃった。はは。」

気が動転しているのか一気にまくし立てて言う日菜太の顔はまだ赤いままで…。

「今のキスは不可抗力だから気にするな。」

「え…。あ、うん…。」

真っ赤だった顔が傷ついたような顔に変わったような気がする。

「日菜太?」

「何でもない。起こしてごめん。」

そのままベッドに潜り込むと俺に背を向ける。

俺、何か日菜太を傷つけるような事を言ったか?

「日菜太こっち向け。俺何か傷つけるような事を言ったか?」

「言ってないよ。言ってない。ただ流星は俺とキスしても平気なんだなって思っただけ。ごめん。」

平気なわけはない。冷静を繕っているだけだ。

「まったく平気なわけではない。俺だって少し動揺している。でもそれを言ったらお互いに気まずくなるだろ?なかったことにすればいい。俺は今の関係を壊したくない。」

「俺はなかったことに出来ない。流星とキスした事、不可抗力でも嬉しいと思うから。俺、こんなでごめん。」

「日菜太…。」

「流星。さっきのキス、流星は忘れても、俺は覚えててもいい?」

「そんな事を俺に聞くな。日菜太の好きなようにすればいいだろ。」

「うん。好きなようにする。」

正直俺もさっきのキスを忘れられそうにないと思う。

ふと触れ合った唇は思ったよりも温かくて、数回触れた事を思い出してしまったから。

そのまま寝ようと思うが目が冴えてしまって眠れない。

「流星もう寝た?」

「いいや起きてる。」

日菜太も眠れないようでこっちを向いて俺を見る。

「流星、一緒に寝てもいい?」

「俺の家ならまだしもダメだろう。ご両親はお前の気持ちを知ってるし、万が一見られたらそうだと思われてしまう。俺はそんな無責任な事はしたくない。」

「だよね…。ごめん。」

日菜太がしゅんとした顔をすると胸がチクンと痛む。そんな顔を見たいわけじゃない。

何だか俺が悪いみたいじゃないか。日菜太その顔はずるいと思うぞ。

「仕方ない。こっちに来い。でもシングルの布団だからいつもよりも狭いぞ。それともしご両親に見られたらちゃんと言えよ。」

「うんっ‼」

嬉しそうな顔をして俺の布団に潜り込んでくる日菜太を見ると同い年とは思えないほど可愛いと思う。同じ男なのにな。

俺にひっついて満足気な顔で見上げられるとまあいいかと思ってしまうのも仕方ないと思う。結局、俺は日菜太に甘いのだ。

どうして日菜太に甘いのか。日菜太が俺を慕ってくれるから無碍に出来ないのか、俺が日菜太を必要としているのか。今一つ自分の気持ちが確定出来ない。

好きなのか、嫌いなのかと言えば好きなんだと思う。だけど恋愛としてとは違う気がする。

まだ日菜太と過ごしてそんなに間がないのにわかるわけはない。


俺はまだ日菜太の気持ちを信じられないのだ。

それほど幼いころに愛されなかったトラウマは強いものだった。


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