月と太陽がすれ違う時

月と太陽がすれ違う時48

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日菜太の家で過ごしてから、日菜太は殆ど毎日俺のところに来るようになった。

春休みだし、日菜太の両親も俺を信用してくれているからなんだけど、これでいいのか?

泊まるのも当たり前になっている。

それを迷惑と思わない俺もどうかと思う。

少し前なら考えられなかったことだ。

日菜太がいつもいるので自然と片桐もよく訪れるようになった。

しかしいつも日菜太がいるので父親の事は聞けていない。

日菜太は一緒に聞いてやると言ってくれたが、やはり自分の家の事は聞かせたくないと思う。

日菜太のような家族ならまだしも、俺の家は家族という名だけの家族だからだ。

「ねえ。一度片桐さんの恋人さんに会ってみたいなあ。」

「私の恋人にですか?会っても面白くないと思いますよ。」

「どうして?片桐さんの恋人だからきっと綺麗な人なんだろうな。」

「綺麗ですか?見目麗しいですが、綺麗と言うのとはまた違う気がします。」

「でも美人なんだ。」

「美形ではあるのでしょうね。噂の絶えない人ですから。」

苦笑して言う片桐。

俺とならこんな話はしないだろうな。

まず俺がそんな話を振らないだろうが…。

日菜太は片桐に食い下がって聞いているが、片桐はそれ以上は言わずはぐらかしている。

俺と日菜太と片桐の3人がそろえばいつもこんな感じで、二人が話してて俺が傍観している事が多い。

そう言えば日菜太が家に来るようになってからクラッシックを聞く事が少なくなった。

CDやレコードを聞くよりも日菜太はピアノを弾いて欲しがるからだ。

ピアノの傍に椅子を持ってきて傍で邪魔にならないように聴いている。

「そう言えば流星、お父さんの事を片桐さんに聞いたの?」

「いいや。これは日菜太に関係ない。俺の家族の問題だ。」

「どうしてっ‼前は俺にも一緒に聞いて欲しいって言ってたじゃないか。」

「ああ。そう言ったかもしれないな。何度も言うが、これは俺の問題だ。日菜太には関係ない。」

「だけどっ。」

「しつこいぞ日菜太。お前とは友達にはなったが、何もかもを許したわけじゃない。仲良くしてるからといって勘違いされては困る。」

「流星様っ‼」

日菜太を傷つけている事はわかっている。

今にも泣きそうな日菜太を見られずに俺は視線を外した。

「もういいよっ‼」

「日菜太くんっ‼」

日菜太が荷物を持って飛び出したが俺は動けずにいた。

「流星様どうしてあんな事を…。」

「俺とあの人の事に日菜太を巻き込みたくないんだ。日菜太は優しいからきっと俺の事を思って傷つくだろう。それに「蒼井」が日菜太に何かしてくるかもしれない。日菜太を守らなくてはな。前にこの話をした時は深く考えもせずに日菜太がいれば俺が言えない分も言ってくれるだろうとか、いてくれるだけで心強いとか思っていた。自分の事しか考えていなかったんだ。」

「流星様…。」

「日菜太傷ついただろうな。これで俺からも離れてしまうかもしれない。」

「ちゃんと日菜太くんにそれを話して差し上げればよろしいのに。」

「いいんだ。片桐、すまないがお前も帰ってくれないか。一人になりたい。あの人の話はまた今度に。」

「わかりました。それでは失礼します。」

片桐も出て行って広い部屋には俺とラルクだけが残された。

外はまたシトシトと雨が降り出している。

日菜太は雨に濡れなかっただろうか。

ピアノを開けてポロンポロンと奏でて蓋を閉じた。

「あ、明後日、日菜太とピアノのコンサートに行く約束してたんだった。」

ちゃんとクラッシックを聞いた事がないと言っていた日菜太をコンサートに誘ったのは俺だ。

好きなピアニストが来日して、取れると思わなかったチケットを買う事が出来た。

行くなら日菜太とと思って日菜太のチケットは渡してあった。

「日菜太は来ないだろうな…。」

俺から日菜太に連絡を取る事も出来ず、その日もその次の日も日菜太と話す事はなかった。

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