月と太陽がすれ違う時

月と太陽がすれ違う時50

 ←やさしいkissをして94 →月と太陽がすれ違う時51(R15)

「日菜太…。」

目の前には日菜太が立っていた。

俺の声はみっともないほどに弱く掠れていて…。

傘に雨が当たる音しか聞こえない。

日菜太の顔も見られなくて下を向いてたらぎゅっと身体を抱きしめられた。

日菜太の心臓の音がトクントクンと聞こえる。

俺に回された日菜太の手が優しく背中を撫でてくれた。

「流星、家に帰ろう。」

そう言われてもなかなか立ち上がれない俺の腕を支えて日菜太が帰ろうと促す。

日菜太に引きずられるように家に帰るとラルクが足元にすり寄って来た。

「ごはん…。」

「流星は座って身体を拭いて。ラルクのごはんは俺がするから。」

日菜太に腕を掴まれてソファーに座らされ、タオルでごしごしと頭を拭かれる。

「流星、自分で拭いてて。」

日菜太はキッチンでラルクのごはんをしてくれているようだ。

俺は身体を動かす事も出来ずにぼーーーっとしていた。

「もうっ。拭いてって言ったのに。」

ラルクのごはんをして、俺に飲み物を持ってきた日菜太が泣きそうな顔をしながら言う。

その後、優しく頭を拭いてくれた。

「これ飲んで。取りあえず身体を温めなくちゃ。今お風呂の用意してるから。」

日菜太が入れてくれたのは甘いカフェオレだった。

「流星甘いの嫌いだけど、こんな時は甘い方がいいよ。落ち着くから。」

日菜太の入れてくれたカフェオレは本当に涙が出そうなほど俺には甘かったけど身体に浸みこむような気がした。

「お風呂が沸いたからしっかりあったまって来てね。」

そう言われても身体が動こうとしない。

「流星…。仕方ないな。」

また日菜太に引っ張られて風呂場まで来る。

服も脱ごうとしない俺を見て、日菜太がボタンを外してくれた。

そんな事さえ動こうとしない自分。

子供の様に日菜太に甘えているのに恥ずかしいとも思わない。

日菜太はどうして公園に来たんだろう。

何も聞こうとしないのは何があったか知っているからか。

「日菜太…。」

「何も言わなくていいよ。とにかく身体が冷え切ってるからゆっくり温まって。」

濡れた服を洗濯しておくから下着は自分で脱いでねとそこから日菜太は出て行った。

重い身体を動かしながら下着を脱ぎ、緩慢な動きで風呂場に入ると椅子に座り込んだ。

思っているよりも精神的にダメージを受けた。

コンサート会場でのあの人の目が忘れられない。

あの人の息子の顔も…。

俺は母親に似ているけど、貴也と呼ばれた息子はあの人に似ていた。

俺があの人に似ていたら違ったのだろうか。

誰からも認められたのだろうか?

あの人も…。

言っても仕方のない事だと頭を振る。

「もう流星。心配して来てみたらやっぱり温まってない。」

水の音がしなかったからか日菜太が風呂場を覗いて怒る。

酷い事を言われて日菜太も傷ついたはずなのに、そんな事はなかったかのように俺に接してくれる日菜太。

この前はごめんと言わないといけないのに言えずに下を向く俺をまたぎゅっと抱きしめてくれた。

「流星一人じゃお風呂にも入れないみたいだから俺も一緒に入る。いいよね。」

何も言えずに黙っている俺を見て肯定と受け取ったのか一度外に出て服を脱いで入って来た。

「もうこんなに身体冷えたままで…。風邪ひいちゃうよ。」

そう言いながら熱いシャワーを俺にかける。

じんわりと身体が温まり、 冷え切った身体を熱いシャワーが溶かしていく。

「髪の毛洗うね。」

日菜太のなすがままに頭を洗ってもらう。

人に洗ってもらうのなんて初めてだけど日菜太の指は気持ちよかった。

そう言えば母親にも子供の頃洗ってもらった。

頭を洗われるのが嫌いで暴れて、母親によく怒られていた気がする。

何故だろう。最近、母親との思い出を思い出す事がある。

日菜太といるからか?

「泡流すよ。」

シャンプーの泡が流れていく。それを目で追っていた。

「身体も洗うね。」

動かない俺にイライラするわけでもなく日菜太は俺の身体も洗っていく。

「流星の背中は本当に大きいね。筋肉もきれいについて羨ましい。」

俺の答えを聞きたいわけでもないようで日菜太は一人しゃべっていた。

「はい。前は自分で洗って。俺も自分の身体洗わないと中に入れないから。」

タオルを手渡され、ゆっくりと身体を洗う。

あ、動いた。

緩慢ながらも前を洗うとシャワーで流される。

「これでよし。じゃ中に入ろう。」

浴槽は広くて男2人で入っても余裕があるのに日菜太は俺の後ろから俺を抱えるようにして浸かった。

「あは。やっぱり俺じゃ流星を抱える事は出来ないね。」

後ろから俺を抱きしめて日菜太が言う。

「こんな時は甘えていいんだよ流星。」

その言葉に耐え切れなくなって俺は後ろを向くと日菜太を抱きしめた。


ランキングに参加しています。ポチッと押してくだされば嬉しいです。いつもありがとうございます・:*(〃・ェ・〃人)*:・

にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
にほんブログ村
にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
にほんブログ村
関連記事
スポンサーサイト





もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png ご挨拶
もくじ  3kaku_s_L.png 貴方の腕の中で
総もくじ  3kaku_s_L.png キミと空とネコと
もくじ  3kaku_s_L.png S.S
もくじ  3kaku_s_L.png イラスト
もくじ  3kaku_s_L.png 頂きもの☆
もくじ  3kaku_s_L.png 雑記
総もくじ  3kaku_s_L.png 新撰組物語
  • [やさしいkissをして94]へ
  • [月と太陽がすれ違う時51(R15)]へ

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • [やさしいkissをして94]へ
  • [月と太陽がすれ違う時51(R15)]へ