「キミと空とネコと」
やさしいkissをして

やさしいkissをして96(最終話)

 ←月と太陽がすれ違う時61 →あとがきと達樹と凪のイラスト☆


あれから気を失うまでお互いに身体を求め合った。

離れていた時間を埋めるようにお互いの身体をむさぼりあった。

何度も何度も精を放ちそれでも何か不安で達樹に縋り付いていた。

俺、達樹がいなくなったらもうきっと生きていけない。そう思うほどに達樹の事が好きなんだと思う。

下條がいたためとはいえ、達樹と離れていられたのが不思議なほどに…。

不安がるオレを抱きしめては「大丈夫だ」って優しく髪の毛を梳いてくれる。

「まるで子供みたいだな」と苦笑しながらも優しい笑顔をオレに向けてくれる。

「オレ達樹がいないともう生きていけないかもしんない。」

ポロッと心の声が出てしまう。こんな事言ったら達樹には思いかもしれないとハッとして見ると、達樹は嬉しそうに笑っていてくれた。

「嬉しいよ。凪がそんなにオレの事を必要だと言ってくれるなんて。オレも同じだ。凪がいないと生きていけない。だから一人で思い悩むな。これからは何でもオレに一番に言ってくれ。凪の事を他人から知らされるのはもうたくさんだ。あんな思いもうしたくない。」

達樹が思い出して悔しそうな顔をする。これからも下條の事ではオレ達の間に暗い影を落とすのかもしれない。下條にされた事は達樹には話せなかった。キスと口淫だけだったけど思い出すと身体が震えて呼吸もままならないオレに達樹は聞こうとはしなかった。「身体の繋がりはなくてよかった」と本心を見せた達樹に苦しい気持ちを抱えたのも事実で…。本当はちゃんと話して下條の事を過去の物にしなければいけないのだろうけど、今のオレにはまだ無理だ。

「ごめん。ほんとにごめん。これからは何でも達樹に一番に話す。隠し事はしない。達樹もオレに何でも言ってくれよ。」

「オレは凪に隠してる事なんてないよ。何でも凪に言ってる。」

下條の事を隠してたと暗に言われているようで心が痛い。こんな風に少しささくれた達樹の気持ちはオレの胸を痛くする。

「ごめん…。」

オレには謝る事しか出来ない。ほかに達樹の心を治せるものがあるなら何でもするのに謝る事しか出来ないんだ。

「すまん。凪にそんな顔をさせるつもりはないんだ。別に凪を責めているわけじゃない。」

達樹はオレを優しく抱きしめて言う。

ああ、達樹の匂い。

もう達樹の腕の中がオレの中での一番安らげる場所になっている。この場所を失くしたくない。

達樹の腕の中で安心した俺はそのまま眠りの中に引き込まれていく。

「もう…離れない…。達樹がす…き…。」

眠っくなってしまったオレをぎゅっと抱きしめてオレの髪の毛に優しく達樹がキスしてくれたのを最後にオレの記憶はなくなった。

「凪。オレも離さない。例え凪が離れようとしてもオレは離してやらない。部屋に閉じ込めてでも離さない。社会と隔離してもな。」

ほの暗い達樹の心の声をオレは知らない。

下條との出来事が達樹の中で暗く息づいている事は達樹にしかわからない。

フッと苦笑して達樹がオレの身体を横にする。

「オレはとんでもなく凪に執着してるよ。」

そうオレの寝顔に言ってシャワーを浴びに行った。




起きると身体がすごくさっぱりしている。

確かさんざん身体を繋げあって、そのまま寝てしまったはずなのに…。

シーツもきれいになっていた。

達樹が替えてくれたみたいだ。

あれ達樹はどこ?

だるくて、ギシギシいう身体は昨日激しくお互いを求めたせい。股関節が悲鳴を上げている。でもそれほどにオレも達樹も求め合っていたのだと思えば嬉しい。

横にない温もりを探してパジャマの上を羽織るとフラフラと寝室を出る。

キッチンからいい匂いがして覗くと達樹がフライパンを手にしていた。

「凪起きたのか?おはよう。風呂入るだろ。その間に朝飯作っておくからな。まあ、朝飯といってももう昼なんだけどな。身体大丈夫か?」

壁に寄りかかりながら歩くオレを見ると火を止めて傍に来てくれた。

「大丈夫じゃなさそうだな。昨日はオレも自分を止められなかったからごめんな。」

「ううん。オレも達樹が欲しかったから嬉しかった。だから大丈夫。」

達樹がオレにやさしくキスをしてくれる。

「おはよう凪。」

「達樹おはよう。」

そして二人で微笑みあう。

こんな些細な日常が嬉しい。

達樹と過ごせる事がすごく幸せだ。

「風呂場まで連れて行ってやる。」

そういうと達樹はオレを横抱きにする。

「ちょっ、大丈夫だって。一人で歩けるよ。オレ病人じゃないって‼」

「大事な人だからな。それに今晩もその細腰に頑張ってもらわないといけないからサービスだ。」

「達樹っ‼」

真っ赤になったオレにキスしながら達樹は平然とオレを風呂場まで連れて行き「洗ってやろうか?」なんて言う。達樹に洗ってもらったらそれだけじゃすまなさそうだ。そんな事されたら、今晩は無理だと思い、丁重に断ると風呂場に逃げ込んだ。

「隅々まで綺麗に洗えよ。特に後ろな。一応かきだしたけどな。」

「そんな事言わなくていいっ‼」

恥ずかしい事を大きな声でいうのでドアに向けてスポンジを投げると笑いながらキッチンに戻って行った。







「凪行って来る。今日は同期の飲み会があるから晩飯はいらない。でも遅くなっても凪は食べるからちゃんと裸で布団の中で待っとけよ。」

「バッ‼早く行けっ。会社に遅れるぞ。」

「ははは。行って来ます。」

「あ、達樹忘れ物‼」

オレは作った弁当を急いで達樹に手渡す。

達樹は会社に勤めるようになった。あの顔だから会社で女の子に言い寄られる事が多くて、シャツに口紅をつけて帰って来たり、香水の匂いをつけて帰ってくる事もあって大ゲンカすることも1度や2度じゃなくて…。オレがキレて別れるって叫んだ事も1度や2度じゃなくて…。

もちろん達樹が浮気をする事はないってわかってるんだけど、大人の女の人にほろって行っちゃうかもしれないって不安もあって…。もともと達樹はゲイじゃないし…。

そんな大喧嘩をした晩、達樹がオレに指輪をくれたんだ。

達樹の左の薬指にも同じデザインの指輪。

エンゲージリングじゃしにくいだろうって少しデザインの入ったリング。

その晩はお互いに左の薬指にはめあってささやかな誓いの式をした。

その次の日からオレは達樹の為に弁当を作るようになった。

リングと手作りの弁当は思ったよりも威力を発揮し、達樹に言い寄って来る女の子はすっぱりとなりを潜めた。それでも言って来る人もいるらしいが、きっぱりと断っているらしい。達樹は毎回ちゃんと報告してくれる。

「今日のおかずは何かな?オレ凪の弁当ほんとに楽しみなんだ。これがあるから仕事が頑張れる。」

「今日のおかずはチキン南蛮。野菜もたくさん入ってるからちゃんと食べろよ。」

「ああ。オレが弁当残した事ないだろ。凪の愛情がたくさんこもった弁当だから残すのがもったいない。」

「ならいい。」

「遅くなったら先に寝てていいからな。ただし裸で‼」

「そこ何回も念押しするなよ。恥ずかしい奴だな。早く行かないと本当に遅刻するぞ。」

「マジでヤバイな。じゃ行って来る。」

「行ってらっしゃい。」

そしてやさしいkissをして達樹はバタバタと走っていく。

オレはベランダに移動して達樹の背中を見送るのが日課になっている。

ベランダから見送られている事を知らない達樹は今日もそのまま走っていくと思ってたら、ふと振り向いてオレに向って手を振って来た。

「愛してる」って口パク付きだ。

達樹オレが見送ってるの知ってたんだ。

真っ赤な顔をしながら「バカ」と口パクで答えた。

「愛してる」なんてとてもじゃないけど言えない。シラフの時に平気で言える達樹の気がしれない。

オレだって達樹の事を愛してる。だから今日抱かれた時に言ってみようかな。それなら言えるかもしれない。

そんな事を考えながらオレも大学に行く用意をする。

達樹と同じ弁当を持って…。

これからもいろんな事があると思うけど、達樹となら乗り越えていけると信じている。

達樹は一生に一度の相手だと思うから。

「達樹愛してる。」

薬指の指輪にキスを落とすと玄関を出た。




                    Fin

響夜と海人のお話はこちらから→『キミと空とネコと』

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読んで頂きましてありがとうございます。
いろいろありました『やさしいkissをして』も無事に最終回を迎えました。それも一重に皆様の温かいお言葉と読んで下さったおかげです。

今日の15時にあとがきとお礼と言っては差し出がましいのですが、「達樹と凪」のイラストを上げさせて頂きますので、よろしければお立ちより頂ければ幸いです。

来週からは日曜日も『月と太陽がすれ違う時』をUPしますのでよろしくお願いします☆

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