月と太陽がすれ違う時

月と太陽がすれ違う時78

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流星と口を聞かなくなってもう数日が経つ。

あの時、片桐さんに騙されたとはいえ、流星と二人で過ごす事が出来て戸惑いがなかったかと言えば嘘になるけど本当に嬉しかった。

最初はぎこちなかったものの時間が経つうちに少しずつ二人で過ごしていた時のような雰囲気になって、このまま元に戻れるのではないかとさえ思った。

『美樹』さんについても聞けるものなら聞くつもりだったんだ。だって流星の事を諦めるにしても、このままじゃ納得出来ないと思ったから…。流星が本当に美樹さんの事が好きなら俺は諦めないといけないと思った。辛くても流星の為を思えば諦められる。俺は流星の事を好きだけど、流星はそうじゃないから。俺の気持ちを押し付けても流星の心が俺に向くわけじゃない。嘘の愛なんて欲しくない。

流星を好きな気持ちは本物だから、流星の口からちゃんとした答えを聞かずに諦めると後悔すると思った。

でも…。

途中で流星にかかってきた電話…。

俺に聞かれたくないからってあわてて席を立って外に出て行った流星。窓越しに焦った顔をしているのが見えた。俺がいるのに電話は長引いて、待ってるとどうしても相手が俺よりも大事な人なんだと思えて、悪い方にしか考えられなくなっていった。

流星が笑って話してたらそうは思わなかったのかもしれないけど、切羽詰まった感じで「頼む」と口が動いたのがわかって、今俺といる事をその人に謝っているんだと思った。

『その人と会うくらいなら私と会ってよ』って言われたのかもしれない。恋人ならそう言うだろう。

帰って来た流星に「大切な話?」ってきいたら「そうだ」と言われた。

俺より大切なな相手と言えば『美樹』さんしか浮かばなかった。さっきまで頭の中でグルグルと考えていた事が当たったんだ。

俺より美樹さんの方が大事なんだと思ったら、胸が痛くて悲しくて、気が付いたらキーケースから流星の家の鍵を取り出してテーブルに投げつけていた。



 『流星なんて大っ嫌い‼』



完全な八つ当たり。流星には俺の気持ちなんて関係ないのに、悔しくて、悲しくて、どうしようもなくて八つ当たりした。

俺って最低だ。

流星は何も言わなかった。俺が言った通りだったからだろう。驚いて、そして悲しそうな顔をしていた。

それから学校で会っても流星は俺に何も言わなかった。

どこかであれは違うんだと言い訳して欲しかった。そんな自分の気持ちに嫌気がさす。自分で流星との関わりを絶ったくせに流星から繋がりを求めて欲しいと思うなんて、なんて強欲なんだろう。

流星は前にもまして学校では空気のように存在感がなくなっている。なくしていると言う方が正しいのかもしれない。津野とも話をしようとしないし、津野が話しかけても会話にならず津野は首を傾げるばかりだ。

前は学校に行けば流星と会えるから楽しみだったのに、今は辛い。

今日もそんな感じで学校からの帰り道、何気なく歩いていたら声をかけられ後ろを振り向くと、いつかのおじさんが立っていた。



「この間はありがとう。おかげで迷わずに帰れることが出来たよ。」

「ああ。こないだの…。良かったですね。今日はまた迷子じゃないですよね?」

「ははは。いくらなんでも同じところで迷子にはならないよ。君にちゃんとお礼がしたくてね。制服がここの高校のだったから待ってれば会えるかと思ってね。ストーカーじみてるかな?」

茶目っ気たっぷりに笑って言うその人の笑顔に嘘は見受けられず少し警戒心が解ける。

「そんなお礼を言われるような事してません。それにコーヒー奢ってもらったじゃないですか。それで十分ですよ。」

「しかしねそれではどうしても私の気が済まないんだ。大人の身勝手と思って付き合ってくれないかな?もちろん用事が有れば無理強いはしない。」

「別に用事はないですけど…。」

正直に行ってしまってからしまったと思った。いくら会った事があるとはいえまだ2回目だ。初対面とも言えなくもない。

服装からしてオートクチュールのいいものを着てるから怪しいとは言い難いけど、身なりなんてどうにでも出来る。

どうしようと頭の中で逡巡してしまい、何も言わずに黙ってしまったので怪しいと思っている事が伝わったらしい。

「怪しいものではないよ。まあ、怪しい人もまずそう言うから怪しまれても仕方ないか。」

その人は胸のポケットから名刺入れを取り出して俺に名刺を差し出した。



『蒼井グループ取締役「蒼井 将星」』



そこにはそう記されていた。流星と同じ苗字だ。

まさか流星のお父さん?

名刺の名前を見て顔が強張る。

流星から聞いていた父親が思い出され、流星が父親を快く思ってない事や、流星が幼いときに与えられた仕打ちが頭の中をよぎり和らいでいた警戒心がMaxに跳ね上がる。

「君は日菜太くんだよね。流星と仲良くしてくれていると片桐からも聞いているんだが…。」

「そうですけど…。」

どういうつもりだろう。どうして流星のお父さんが俺の所に?片桐さんは俺の流星に対する気持ちを知っている。もしかして流星のお父さんはそれを聞いて流星に近づくなとかいうつもりなのか?片桐さんがそんな事を言うとは信じたくないけど…。

先入観があるからか一度警戒心を持つと、必然と防御してしまう。自分の事よりも流星を守らないといけないと本能が俺に囁く。

「すまない。君を驚かすつもりも警戒させるつもりもなかったんだが、この言い方じゃ疑われてもしかたないな。こんなところで立ち話も何だからどこかで話さないか?」

何の話をするつもりなんだろう。手足の先まで冷えて来てうまく声が出ず動けない。

「この間のコーヒーショップでいいかな?どうも気に入ってしまってね。あれから何度か行ったんだよ。注文も出来るようになったんだ。君はキャラメルマキアートでいいのかな?」

「…はい…。」

先に歩き出されてしまい、断る事も出来ずに無理やりに足を動かすと、少し離れて後ろを歩きこの前に行ったコーヒーショップに付いて行く。

流星のお父さんだと思うと緊張してしまい変な汗をかいていた。椅子に座るものの何だか落ち着かず、胃がキリキリする。

「はい。お待たせ。」

目の前にはLargeサイズのキャラメルマキアートが置かれた。

「…何でLargeサイズ?」

心の中の呟きは声に出ていたらしい。

「今日は日菜太くんとじっくり話をしたくてね。流星に初めて出来た友人らしい友人だからね。」

「……。」

何を聞かれるのだろう。俺は優しい瞳で見つめている流星のお父さんの本意がわからずにますます固まってしまった。

流星は俺がお父さんと会っている事を知ってるのだろうか?

これから何を言われるのだろうか?

ただでさえ今、流星と俺との関係は微妙になっている。

俺はどうしたらいいんだろう…。


*:..。♡*゚¨゚゚・*:..。♡*゚¨゚゚・*:..。♡*゚¨゚・*:..。♡*゚¨゚゚・*:..。♡*゚¨゚゚*:..。♡*゚¨゚゚・*:..。♡*゚

わざわざお越し頂きましてありがとうございます。
昨日ご挨拶して再開したところなのに来て下さった方がいて下さったことにスゴく感激(>A<。)嬉しくて仕方ありません。本当にありがとうございます。

不定期更新としておりますが、何とか毎日更新出来るようにして参りますペコリ(o_ _)o))
んで、久しぶりの更新の為、予約投稿を失敗しまして変な時間にUPし、あわてて取り下げてしまい申し訳ありませんでした。
今日は0時更新できるはず…。なんですが…。久しぶりに触ると忘れている事の多さにびっくり(✽ ゚д゚ ✽)です(笑)

後もう少し、流星と日菜太に付き合って下さると嬉しいですヽ(❤´д`❤)ノ
ヽ(→ܫ←ヽ)ハツ✰(ノ◕ܫ◕)ノヨロ✰ヽ(๑≿ܫ≾๑)ゞデシ☆

ご訪問d(ŐдŐ๑)☆スペシャルサンクス☆(๑ŐдŐ)bでした☆

†Rin†


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