月と太陽がすれ違う時

月と太陽がすれ違う時81

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今日は流星のお父さんと会う日。流星とは相変わらずだけど、おじさんと会うのも楽しみになっている。自分の知らない小さい頃の流星の話や、おじさんと流星のお母さんの恋愛の話を聞くのが楽しい。実は流星を引き取ってからもこっそり流星を見に行ったり、写真を隠し撮りしていたり、おじさんなりに流星の事を気にかけていてその写真を見せてもらうのも楽しみだった。

流星に内緒でおじさんに会う事に戸惑いがないかと言われると困る。流星が知ったら怒るだろうか…。でも俺が流星とおじさんとのつなぎ役にはなれないかな?流星はきっと素直に話せないだろうから、俺が流星の言えない分もおじさんに話せたら…。

やっぱり片桐さんは会社の人だから『蒼井』は要注意して見ているだろうし、それなら『蒼井』に全く繋がりのない俺なら役に立つんじゃないかなとか考えたり…。

でも本当は少しでも流星の事が知りたかったからおじさんに会っているんだ。俺って本当に流星の事になると欲張りだ。



おじさんは仕事の途中で抜けてくるから最近は1時間ほどしか会えないけど、たまに片桐さんも加わったりして片桐さんからも流星の事を聞く事が出来るのも嬉しかった。

俺の中の流星の引き出しは今や溢れんばかりにいろんなものが詰まってるんだ。この前までは友達として傍にいれるかどうか自信はなかったけど、こんなにたくさんの流星が溢れていたら友達として見守る事が出来そうな気がしてきた。

一生会えなくなるよりも友達としてでも流星の傍にいつまでもいたいと思う。辛いかもしれないけど、流星に会えない方がきっと辛いと思うから。流星が俺の事を友達として受け入れてくれなくちゃだめなんだけどね。

家での流星の様子やラルクの事もいろいろと教えてくれて、傍にいなくても結構流星の事を知っている。片桐さんも気にしてくれているようで、仲を取り持とうかって言ってくれてるんだけど、これは俺と流星とで解決しなくちゃいけないことだから見守って欲しいってお願いしている。




「やあ。待たせてしまったかな?」

相変わらず男前だと見惚れてしまう。立ち振る舞いと言い、何気ない仕草と言い、おじさんがいるだけで周りの女の人がほぉーってため息がつくのがわかる。流星も大人になったらこうなるのかな?前に流星は父親には似ていないっていってたけど、顔立ちがどうのというよりも仕草や立ち振る舞いは似てると思うんだよね。。

「日菜太くん?」

「あ、ごめんなさい。俺も今来たところですから。」

「すまんがここで食事を摂ってもいいかな?もちろん日菜太くんも食べてくれて構わないよ。」

もう夕方だから早めの夕食なのかな?

「夕食は母が用意してくれてるから俺はいいです。おじさんは食べて下さいね。」

「すまないな。やっと昼飯にありつける。一人で食事は寂しいから日菜太くんもケーキか何か食べてくれると嬉しい。でもお母さんの作ってくれる夕食が食べれなくなってしまうか。」

もう夕方なのに今から昼ご飯?どれだけ忙しいんだろう。なのに俺と会う時間を作ってくれる。おじさんは本当に優しい人だ。

「ケーキくらいなら余裕です。別腹ですから。」

「そういえば日菜太くんはケーキが大好きだと片桐から聞いたよ。何個でも食べてくれ。」

「ケーキは好きですけど何個もは無理です。3つにしときます。」

「ははは。それでも3つは食べるんだね。」

何度も会って話すうちにすっかり打ち解けるようになった。遠慮されるのが嫌だと最初に言われたのですっかり甘えてしまっている。流星は何も欲しがらないから寂しいんだと話していた。流星に出来ない代わりに俺にしてくれているのかもしれない。

「今日は片桐さんは来ないんですか?」

「ああ、今日は私の代わりに出てもらっていていないんだよ。日菜太くんに会いたがっていたんだけれどね。片桐は私の右腕だ。彼に任せれば大丈夫だ。」

「片桐さんて本当に仕事が出来そうですもんね。秘書にぴったりだと思う。」

俺は今日の学校での様子を話しながら、2個目のケーキも平らげ、3個目に突入しようとしておじさんの食事がちっとも進んでない事に気が付く。そういえば顔色も悪く、さっきから俺の話す事に返事をするばかりで話をしていない。

「何だか顔色悪いですよ。」

「ああ…。薬…を…。」

そういったままおじさんは椅子から倒れるように崩れ落ちた。ガタンと大きな音がしておじさんが床に横たわっている。

「お、おじさんっ‼」

あわてて傍によって身体を起こすけれど返事はない。ポケットの薬を取り出して声をかけるけど意識がなくぐったりとしたまま、脂汗が額に浮いている。

どうしよう。どうしたらいい?

店の人もあわてて来てくれたけど、無理に動かしてもいけないかもしれない。荒いけど呼吸はしっかりしている。

「救急車呼びます。」

店員さんが電話をしてくれている間も俺は何もできずに「おじさん。しっかりして。」と繰り返す事しか出来なくて…。

救急車が到着して救急隊員にいろいろと聞かれてもパニックになってしまっていてちゃんと答えられず、「落ち着いて下さい。大丈夫ですから」と反対に励まされる始末。

「身内の方ですか?」

「…い…いえ。知り合いですけど…。」

「身内の方と連絡は取れますか?」

身内と言えば本妻の家族の事何だろうけど、俺が知っているわけない。流星は知ってるだろうか?片桐さんはおじさんの代わりに仕事だから連絡出来ない。

「電話してみます。」

震える手でスマホから流星のアドレスを引き出しコールする。俺からの電話に出てくれなかったらどうしようと思ったけど、ワンコールで出てくれた。

「日菜太か?」

「り、流星っ。流星っ…。」

久し振りに聴く流星の声に押し殺していた涙が溢れだしてしまい声にならない。

「どうした?泣いていたらわからない。落ち着いてゆっくり話してみろ。」

俺の声に尋常じゃないものを感じたのか流星は優しく諭すように話してくれて少しだけ落ち着く。

「…流星のお父さんが倒れて意識がない。今救急車で病院に運ばれるんだけど、俺、俺どうしたらいい?おじさん何かの病気なの?」

一瞬息をのむ音が聞こえて数秒の間があく。

「日菜太、そこに救急隊員はいるのか?いたら変わってくれ。」

俺は話を聞いていた救急隊員に電話を渡す。二人で何かやり取りをしてストレッチャーに乗せられたおじさんが救急車の中に運ばれた。口には酸素マスク、指にはパルスオキシメーター(後で知ったんだけど、血液中の酸素濃度や脈拍を測る機械らしい)をつけていて俺は怖くなった。今までこんな経験したことない。

「電話を代わって欲しいと言われています。」

救急隊員に電話を渡されて受け取って耳に当てるものの声も出せなかった。

「日菜太?日菜太大丈夫か?」

流星の方がパニックになっているだろうに俺を安心させようと優しく名前を呼んでくれる声に落ち着きを取り戻す。

「ごめ…。大丈夫。流星の声聞いて少し落ち着いた。」

「日菜太すまないが一緒に救急車に乗って病院に行ってくれないか?俺もタクシーでそっちに向かう。病院はあの人が診察を受け入ている病院が受け入れてくれるから大丈夫だ。片桐には連絡したのか?」

「片桐さんは今日はおじさんの代わりに仕事に出てていないって聞いてたから流星しか電話出来る人いなかった。」

「そうか。ありがとう。取りあえずそのまま病院まで頼むな。」

「うん。わかった。でも流星早く来て。」

「わかった。」

電話を切ると救急隊員に救急車に乗るように言われ乗り込む。おじさんの顔色は少し戻って来て、意識はないものの呼吸も落ち着いているようで少し安心する。

病院につくとすでにDRと看護師が待っていてストレッチャーは救急室に運ばれた。

「あなたはここで待っていてください。」

看護師に椅子に座っているように言われ、「早く流星来て‼」と思いながらおじさんの無事を祈っていた。

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