キミと空とネコと
キミと空とネコと5
昨日の雨が嘘のように晴れ渡っていた。
近くのスーパーへ、武蔵のご飯やトイレ、砂やおもちゃなどを買いに来ていた。
ご飯の器は赤ちゃん茶碗、水入れもかわいいのを選ぶ。
武蔵は男の子だけど・・・。
ペット用の器は嫌だった。
武蔵はたった一人のオレの家族だから同じように考えた。
言葉は通じなくても、目を見ればなんとなく言いたい事がわかるような気がした。
武蔵もオレの事を心配してくれているのか、だまりこんだり、悲しくなっていると傍に来て、顔を舐めたり、膝に乗ってきたりした。
オレたちは一人ぼっちを知っているから、お互いがなんとなくわかるような気がする。
武蔵のご飯をどれにしようか見ている時、ふと視線を感じた。
その視線の方を見ると、視線の先の人と目が合う。
相手の人はオレと視線が会うと何故かはっとしたような表情になる。
「?誰だ?オレと誰かを間違えてるのかな?」
武蔵のご飯をかごに入れ、顔をあげると、その人はもういなかった。
「やっぱ、誰かと間違えたんだろうな。」
オレは気にする事もなく、すぐに忘れてしまっていた。
山のように武蔵のものを買い、家に戻るとセッティングする。
トイレの躾もされないまま、捨てられた武蔵はあちこちでおしっこをするので、トイレを覚えるまでにしばらくかかった。
風呂は一人で入るのが寂しくて、何度も一緒に入っているうちに慣れたようで、今ではオレが風呂に行くと後からついてくるようになった。
武蔵も一人は寂しいらしい。
「武蔵ぃ。オマエのご飯代稼がないとな。」
オレは会社を辞めてしまっていたので、今は無職だった。
今は貯金があるから大丈夫だけど、ずっとこのままというわけには行かない。
「何したいってことないしなぁ。バイトでもすっか。でもなぁ。26でバイトってどうよ。なぁ、武蔵。」
一人ぶつぶつと呟く。
独り言は日常茶飯事になり、時折、武蔵の「にゃー」と言う声が混じる。
武蔵と戯れている時が一番落ち着いた。
つい一人で考え込んでしまうと、闇のループにはまってしまい、そんな時は武蔵が助けてくれた。
「武蔵の病院探して、去勢手術とワクチン打たなきゃな。」
去勢手術はこれ以上増えても責任持てないし、武蔵はオスだからスプレー行動(マーキングのために、家具や布団などにおしっこのようなものをかけて、自分のテリトリーを主張する行動らしい)するし、殆どのネコは去勢手術をすると「さかり」やスプレー行動が無くなり、顔は子供のままなのだ。
何よりさかりがなくなることで長生きするとも言われている。
ワクチンは病気にならないように、猫エイズとかなって欲しくない。
オレの大事な家族だから長生きしてもらわなくちゃな。
武蔵はオレの腕に頭を押し付けてグルグルと喉をならし、前足2本は母親のおっぱいをもむように交互に布団を掴んでいる。
落ち着くと、腕に顎を乗せて眠る武蔵。
武蔵のぬくもりに安心して眠る事の出来るオレ。
武蔵は何もかもなくしたオレに神様が生きるように残してくれた小さな宝物だった。
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