「新撰組物語」
粉雪

粉雪1

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左之400 5


ちらちらと白い粉雪が京の街に舞う。

あたりはすっかり雪に覆われて凛とした空気に包まれている。庭の木の葉に積もった雪が重みでとさっと落ちる音が聞こえる。

俺は一人縁側でちびりちびりと雪見酒を楽しんでいた。時折ぐい飲みの中に舞い落ちる雪が美しく、よりいっそう酒をうまくしてくる。俺は少し酔っているのかもしれない。

大勢で飲む楽しい酒も好きだが、一人で静かに飲む酒も好きだ。だからいつもなら一緒に騒いでいる新八も平助もここにはいない。

一緒に島原へ繰り出そうと誘われたが、一人で飲む事を選んだ。こんな雪の降る日は女と騒ぐよりもゆっくりと一人で飲みたい気分になる。

静かに静かに雪が降り積もる。

ちらちらと舞い落ちる白い雪にふとあの日の事を思い出す。

あの日もこんな風に粉雪が降っていた。






その日、街の見回りから戻った俺は冷えた身体を温めようと自室に戻るために中庭の傍の廊下を急いでいた。

ふと人影が見えたような気がして見ると白く雪の積もった中庭に彼は一人で刀を構え立っていた。

音のない世界の中で一人、己と向き合い微動だにせず立っている。目を奪われるように俺はその場で息をつめて見ていた。

機を見計らい、音もたてずに刃が一線を描く。

舞い落ちる雪を両断するかのような一振り。彼にしか出来ない居合いの技だ。

彼の口から白い息がこぼれ、又、静寂が訪れる。

ストイックなまでに己と向き合い、周りを拒絶し近づくことを許さない雰囲気を醸し出していて、俺は声をかける事も出来ずにただ見ていた。

そんな俺の視線を感じたのか彼は静かに刀を鞘に戻すと表情の見えなかった顔にわずかな笑みを乗せこちらを見る。なぜかドキンと胸が脈打ち、そんな自分に狼狽しつつも平静を装って笑みを返した。

「黙って見てるなんて原田さんも人が悪い。」

「あんまりにも剣の太刀筋が見事で綺麗だなと見惚れてた。」

「綺麗…ですか?原田さんはおかしな事を言う。俺の刀は人を斬る人殺しの剣ですよ。もうどれほど人の血をすってるかわからない…。」

「まあ、刀ってのは本来人を斬るもんだろう。人を斬る剣かもしれねーが、お前には志がある。意味がある。むやみに誰でも斬ってるわけじゃねえ。お前の心が曇ってねえから綺麗だと思うんだろうな。」

「そうなんでしょうか…。俺にはわかりません。そう言う原田さんの槍は苛烈ですよね。貴方の性格そのままだ。」

「ありがとよ。褒め言葉だと思って受け取っておくよ。邪魔して悪かったな。でもこんな寒い中でやってると風邪ひいちまうぜ。適当なところで切り上げてちゃんと温まっておけよ。」

「はい。そうします。」

適当なところで切り上げるつもりもないくせに素直に返事をするんだよこいつは。




「そうする」と言って笑った顔に妙に胸が騒いでおかしな気分になっている自分に苦笑したんだった。あれは1年くらい前の事か?






「そんな薄着でいると風邪をひきますよ。」

酒を飲む手も止まりぼーっとその時の事を思い出していた俺に声をかけてきたのは、先ほど思い出していた奴で…。




「おう斎藤。見回りから戻ったのか?」

「はい。島原を回って帰って来たのですが、途中で永倉さんと平助に会いました。『原田さんはいないのか』と女の人たちが言っていましたよ。」

「ははは。まあ俺はモテるからしょうがねえ。でも今日は雪を見ながら静かに飲みたくてな。俺だって女ばっかりてなわけじゃねえぜ。」

「原田さんは美丈夫ですからモテるのはわかります。まあ隊士が女ボケしていては規律も乱れますからほどほどにして下さいよ。土方さんの苦労が増えますから。」

「だな。鬼の副長は自分も女にモテるくせに遊ぶ暇もねえもんな。しかし本当に斎藤は土方さんの事を良く見てるよな。」

「土方さんは俺にとって絶対的な人なんです。俺を拾ってくれた恩人でもありますから。」

「そうだったな。」




斎藤は左利きで刀を左差しにしている。

左差しは武士の中では外道とされ、いくら腕があっても認められる事はない。だから普通は右差しへと直す。しかし斎藤は己を貫き、直す事はしなかったらしい。そのためにどの道場でも腕はたつが認められずにさげすまれ、免許はもらえなかったのだと言う。

それを認めたのが土方さんだった。

『左差しだからなんだ。斎藤の剣は十分に通用する。右差しに替える必要なんざねえ。斎藤の剣は斎藤のもんだろうが。誰に認めてもらう必要があるってんだ?自分が認めてればそれでいいじゃねえか。それに俺はお前の剣を認めてるぜ。もちろん近藤さんもな。』

そう言われて救われたのだと前に斎藤から聞いた事がある。





「おめえも見回りで身体冷えちまっただろ。どうだ?一杯つきあわねぇか?」

「一杯で済みそうにはありませんけどね。いいですよ付き合います。」



元来、無口な斎藤は酒を飲んでもあまり変わらない。

二人で飲んでいてもしゃべるのは俺ばかりだったが不思議と楽しいと思う。斎藤も俺の話に時折笑ったりして、たまにしか見れない斎藤の笑顔に楽しんでくれているのだと嬉しく思い、酒が進んでしまってあっという間に俺は潰れてしまった。



「斎藤膝貸せ。」

「寝るんだったら部屋に戻ってください。こんなところで寝たら風邪をひきますよ。」

「めんどくせぇ。ちょっと酔いを醒ます間だけだ。」



斎藤の返事も聞かず、俺は斎藤の膝の上に頭を乗せた。

「男の膝枕じゃ固いでしょうに。どうせなら島原にいって女にしてもらえばいいじゃないですか。」

「いいんだ。今日は斎藤でいい。」

「仕方のない人だ。少しだけですよ。」

やっぱり今日は新八達と島原に行かなくて良かったと思いながら俺は目を閉じる。

斎藤の膝枕は思ったより固くなくて体温が温かく寝心地が良かった。

男の膝枕が心地良いと思うなんて俺はおかしいのか?でも心地良いものは心地良いのだ。案外男でも体温を感じれば心地良いのかもしれない。今度、平助で試してみよう。新八は筋肉隆々すぎて心地良くない気がする。まあその以前に新八に膝枕をして欲しいとは思わない。

総司はどうだろう。

土方さんに膝枕なんて言ったらアホかと殴られるに決まってるしなあ。




そんな事を考えているうちに俺は眠ってしまったらしい。

気が付くと自分の部屋の布団の中で寝ていた。もちろん一人だ。斎藤が隊士に運ばせたのだろう。

布団の中は温かいはずなのに、斎藤の膝枕の方が温かかったような気がしたのは何故だろう。


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読んで頂きましてありがとうございます(o*。_。)oペコッ

いかがでしたでしょうか?何となくわかっていただけたらなあと思いつつ書いています。で、最初のイラストですが、薄桜鬼を知ってらっしゃる方はわかると思いますが、彼がカズキヨネ氏が描く「原田 左之助」です。カッコよくないですか?大好き

スキャンの調子が悪くてうまく取り込めなくて…(´A`*)・゚。微妙ですよね…画像が荒いよね(>A<。)
久し振りに描きました。久しぶり過ぎてどの太さペンを使っていたのか忘れてるし、コピックはどこにしまったかわからなくて探し回るしで大変でした(-"-;A ...アセアセ
みなさんに少しでも左之さんをイメージして頂けたら嬉しいです。

3話で終わる予定です。終わるのか(@Д@; アセアセ・・・

付き合って頂けたら嬉しいです(ヾ(´・ω・`)ノヨロシクデス(o´_ _)o)ペコッ


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