月と太陽がすれ違う時

月と太陽がすれ違う時111(最終話)

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「もうっ流星ってばしつこすぎるんだよっ。立てないじゃないかっ。身体中が痛いよっバカっ。エロ魔人っ‼」

「だから今日は学校は休みだなって言っただろう。」

昨日あれから何度も一つになった。それこそお互いに溶けて一つになってしまうんじゃないかと思うくらいに…。

今日起きると日菜太は腰も立たず、声も掠れていた。

「バカっ‼」

トイレにも一人で行けなくて俺が抱えて連れて行った。手伝おうかと言ったら殴られた。案外日菜太は凶暴だ。

「何て言って学校に休むって連絡するんだよ。父さんと母さんになんて言うんだよっ。」

「学校へは片桐が連絡してくれている。家へは…。日菜太が考えろ。」

「うわっ。自分は言わなくていいからって…。」

「父親には片桐から連絡が行くだろう。俺は正直に仲直りのHだと言う。」

「はいはい。流星お腹すいたっ。俺動けないから何か作って。」

「俺が作るのか?御粥じゃダメだろうな…。」

キッと日菜太に睨まれる。そりゃ昨日ろくに食べずにずっとベッドで抱き合ってたのだからお腹が空いて当然だ。最後は意識を失うように寝てしまったのだから…。

「何か作って来るから日菜太は横になっててくれ。」

俺はノートパソコンを持ってリビングに行く。

ラルクの朝ごはんをしてから自分でも作れそうな献立を探す。こんな時にインターネットがあると便利だ。

「誰でも簡単に作れる美味しいレシピか…。これなら俺でも作れそうだな。」

御粥しか作った事のない俺でもすぐに作れるものを見つくろいレシピを印刷する。

それから1時間ほど格闘し出来たものを寝室へと運んだ。


「で?これは多分卵だよね。スクランブルエッグ?」

「卵焼きだ。」

「なんかジャリジャリ言うけど…。それに形が…。」

「卵って割るのが難しいんだな。もしかしたら卵の殻かもしれない。しかし卵焼きって上手くひっくりかえせないものなんだな。あんなに形よく作れるなんて無理に決まっている。」

「…。これは多分味噌汁だよね。」

「ああ、豚肉があったから豚汁にしてみた。どうだ?」

「すごく頑張ったんだろうなって思うよ。流星味見したか?」

「何だ?味見?」

「食べてみたかって事。」

「一番に日菜太に食べさせようと思って食べてない。だが調味料の分量はレシピ通りに入れたぞ。」

「野菜の切り方がダイナミックすぎて人参とかじゃが芋がガリガリ言う。」

自分でも食べてみてガッカリする。味見をしなかったのが悪いのだが早く日菜太に食べさせたかったのだ。

「ぶっ。流星の凹んだ顔笑える。」

「すまない。何か買って来る。」

「いいよ。俺これ食べるから。味はいいから食べれる。味噌汁は今はお汁だけもらうね。ちゃんと柔らかく煮込んだら食べれると思う。うどんを入れて煮込みうどんにしてもいいかもね。流星が俺の為に作ってくれた御粥意外で初めての料理だからちゃんと食べる。」

「俺も一緒に食べていいか?」

「一緒に食べよう。んで、今度は一緒に作ろう。俺が寝込んだ時に流星に作って欲しいからさ。流星一人でも作れるメニューをいろいろ作ってみようよ。」

「そうだな。これから先に俺が作る事なんていくらでもあるだろうからな。」

二人の未来を思えば、俺ももっと料理は出来た方がいい。このままだと日菜太の負担になる。思い描く未来が二人で構成されるもので有る事が嬉しいと思う。

日菜太に出会うまでは未来に誰かといる事なんて想像もしなかった。いつでも一人だったんだ。

おいしくない料理を二人で食べる。日菜太は何も文句も言わず自分の分を全部食べた。

「今度はもっと美味しい物を作って食べさせてくれよな。」って最後に言われた。もちろんそのつもりだ。

片付けをして寝室を覗くと日菜太はすやすやと眠っていた。俺は静かに家を出るとマンションの屋上に行く。

日菜太と出会うまでここの縁に立ち、いつでも闇の中に行けると思いながら立っていた場所。もうここには来ない。

日菜太がいるから闇に行く事はない。出来ない。

冷たかった風がいつの間にか少し暖かい。春の日差しを感じる。太陽と一緒に月が見える。下弦の月が…。月と太陽がすれ違うことなく一緒の空にいる。俺と日菜太のように…。そうだ一緒に居る事が出来るんだ。

俺は屋上のドアを閉めて部屋に戻ると屋上の鍵を捨てた。もう屋上に行く事はない。俺は日菜太と一緒に居る事を選んだんだ。日菜太と日々を重ねていく未来を…。





3月9日日菜太の誕生日。ちょうど日曜日で俺の家にはたくさんの人が集まっている。

津野、日菜太の両親、英知先生と片桐。そして父さんも…。俺の大切な人達と大切な日菜太の誕生日を祝えるのがこんなにも幸せな事だなんて知らなかった。

テーブルの上にはみんなが持ち寄った手作りの料理やケーキが所狭しと並べられている。

初めて会った日菜太の両親と父さんはすぐに打ち解けて、お酒を飲み俺や日菜太の小さい頃の話で盛り上がり、英知先生と片桐と津野は俺と日菜太に苦労させられた話で盛り上がっている。

みんなの酒の肴にされている事が苦痛じゃなくて嬉しい。そう思えるのは日菜太が傍にいてくれるから。

日菜太の胸には俺とお揃いの指輪がチェーンに通されて揺れている。同じものが俺の胸にも…。

日菜太の誕生日にと二人で購入したものだ。

二人の絆を形にしてずっと持ちたいと日菜太からのリクエストに応えたものだ。

二人分のプラチナのリングとチェーンでバイト代はなくなってしまったけれど、形としてこうして残っている。

今度バイトしたら父さんと片桐にプレゼントしよう。日菜太と二人で同じところでバイトするのもいいかもしれない。

そんな事を思っているとラルクが頭を摺り寄せてくる。

「ラルクが流星と俺の架け橋になってくれたんだよな。ありがとなラルク。」

日菜太が俺の足元にいたラルクを抱き上げキスをするとラルクはゴロゴロと喉を鳴らして日菜太の顔にすりすりと顔を寄せる。

「ラルクって名前をつけたのは何故なんだ?」

「今言った通りだよ。流星との懸け橋になってくれないかなあって思ったから…。」

「そうか。じゃラルクはもらった名前通りの働きをしたな。」

「うん。これからも架け橋になってくれよな。喧嘩して口を聞かなくて、謝りたいのに謝れないときとかラルクがいれば首輪に手紙を付けてごめんって謝れるしさ。」

「そうだな。ラルクには長生きしてもらわないといけないな。」

「にゃーーーん。」

これから先のことなんてわからない。ずっと二人でいたいと思っているがいつまでも気持ちが同じではないのだ。

でも今は一緒にいる。

1年、2年と二人でいる時間を重ねて行って振り返った時にずっと一緒にいたねって笑い合えたらどんなに幸せだろう。

だから、1日1日二人で過ごす日々を重ねていく。

来年の誕生日も、再来年の誕生日もその先もずっとこうして祝えるように。

何度も何度も繰り返して言う。二人を繋ぐ幸せの言葉。




「愛してる。」





Fin



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