土曜の雨のジンクス

土曜の雨のジンクス2

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鷹之と出会ったのは高校になってからだった。

高校1年の時に同じクラスになり、たまたま席が近くて話すようになった。

鷹之も中学生の時に母親を病気で亡くし、父親と二人暮らしで、その父親も仕事人間だったこともあり、似たような境遇だった事がすぐに親しくなった要因でもあると思う。

鷹之もそんなに父親と上手く行ってはいないようでお互いに共感する事が多かった。

オレより大きくて一見冷たそうに見える鷹之だけど、とても優しくて親切でみんなに信頼されていた。クラス委員に推薦されて3年間クラス委員だった事が鷹之の人柄を示している。

そんな鷹之が傍に居て、オレが鷹之を好きにならないはずはない。

そう、鷹之を好きだと思った時にオレは普通の恋愛は出来ないのだと確信したんだ。

男しか好きになれないのだと…。

鷹之を好きだと自覚してから、辛い恋の始まりだと思っていた。

自分の気持ちが打ち明けられるわけはないし、言うつもりも全くなかった。

気持ち悪いと思われるくらいならこのまま友達のまま傍に居たいと思った。

鷹之は端麗な容姿と人格の良さで、女からとても人気があって毎日告白されない日はないんじゃないかって思うほどだった。

付き合っていた女もいた。なぜかすぐに別れてしまうのだが、それは鷹之が完璧すぎて付き合っている女がそれに耐えられないかららしいという噂が流れた。それでも付き合って欲しいと言う女は多かったみたいだ。

鷹之が付き合っていると言えば胸が痛み、別れたと聞いてはホッとする自分がすごく嫌な奴に思えて苦しくなっていた。

そんなある日。お互いに父親が仕事で不在だったので泊まり込みでテスト勉強をしようという事になって、オレは鷹之の部屋で一緒に勉強をしていた。

鷹之は勉強も出来て、オレにわかりやすく説明しながら教えてくれたので、思ったよりもはかどり一休みしようと鷹之の入れてくれたジュースを飲みながらたわいのない話をしていた。

「そういえば明日叶は好きな女の子とかいないのか?」

好きなのは鷹之だ…と言えたなら…。

「…いないよ。鷹之こそ今度は誰と付き合うつもり?」

「うーーーん。今はいないかな。それより明日叶はなんで付き合わないの?明日叶きれいな顔してるから人気あるって知ってる?オレの知ってるだけでも明日叶の事を好きだって女の子わりといる。」

「ふーーん。」

「ふーーんって。そこは食いついてくるところじゃないの?それ誰ってさ。」

「あんま興味ない。」

「もしかして明日叶って女の子に興味ないのかな?」

「っ……。」

ドキッとした。バレた?オレが男しか好きになれないって鷹之にばれちゃった?そんな気持ちは顔に出ていたんだと思う。

「図星かな?それなら言っちゃうんだけど…。オレさ、どうも明日叶の事好きらしいんだ。」

え?今何て言った?

「あ、気持ち悪い?まあ言っちゃったから最後まで言うけど、何だか明日叶が気になって仕方ないんだ。女の子と付き合ってても明日叶と重ねたり、Hの時でさえ明日叶の顔に見えたりさ。知ってた?オレが今まで付き合った女の子ってどこかしら明日叶に似てるところがあるんだ。目だったり、髪の毛の色だったり質感だったり…。一部だけど。明日叶が誰か女の子の事が好きなら言うつもりなかったんだけどそうじゃないならって今日の勉強会を持ちかけたんだ。オレって案外、計算してるんだ。みんなに人格者とか言われてるけど案外腹黒いんだ。こんなオレって嫌い?」

鷹之の言ってる事をちゃんと理解出来なくて、返事が出来ない。

今聞いた事はオレが都合よく解釈してるだけなんじゃないだろうかとか、幻聴じゃないかとか、とにかく驚いて上手く理解出来なかったんだ。

鷹之がオレの事を好き?ウソだろ…。

「やっぱり気持ち悪い?いくら女の子に興味ないって言っても男が好きとは限らないもんな。オレの事を好きとも限らないし…。ああっオレ早まったかな?こんなオレでも嫌いにならないでくれる?」

そう言ってオレの事を見る鷹之の目は少し不安で揺れていて、嘘ではない本当の気持ちを言ってくれてるんだとわかって、オレの目から涙が溢れた。

「え?泣くほど嫌だった?ごめん明日叶。」

「…違う…。オレ…オレも…鷹之の事…好き…。」

初めての告白は涙でぐしょぐしょだったけど、笑顔になった鷹之に抱きしめられてバクバクと心臓が音をたてて息が苦しくなった。でも嬉しい苦しさ。

その後の初めてのキスは涙の味だったけどすごく幸せだった。

高校生の恋愛なんておままごとみたいだったかもしれない。

男同士の恋愛がどうなるかとか先の事なんてあまり考えてなかった。

その時幸せならそれで良かった。

その日は鷹之と同じ布団で身体を引っ付けて眠った。

その時のオレは男同士でSEXが出来る事もオレは知らなかったんだ。ただ両想いになれたことが嬉しかった。

人の温もりの温かさに満ち足りた気持ちになって、これが幸せなんだって思った。

男同士でも恋愛は出来るんだって知ったのもこの時が初めてだった。

もちろん鷹之と付き合っている事は誰にも内緒だった。

何でもない友達のふりをお互いに続けながら、お互いの家に行ききして二人の時間を楽しんだ。

キスが軽いものから深いものになって行ったのはすぐだった。

高校生の性なんて抑えれるもんじゃない。

SEXのやり方を鷹之がネットとかで調べて身体も繋がったのは付き合いだしてから1ヶ月にも満たない頃。女とSEXの経験のあった鷹之はとても上手で、「オレが明日叶を抱いてもいいのか?」って聞いてきたけど、オレは鷹之に抱かれたかったから当たり前のように鷹之を受け入れた。

最初はなかなか鷹之を受け入れる事が出来なかったけど、少しずつ鷹之がオレの身体を開いてくれて何度も繋がる内にオレは快感を得る事も出来るようになっていった。

うまく後始末が出来てなくてお腹を壊した事もあったけど、そんな事も大切な二人の思い出になってると思っていた。

SEXをするようになってオレはますます鷹之にのめり込んで行った。本当に鷹之しか見えなくて、鷹之さえいればよかった。

オレ達が付き合いだしてからも、鷹之は相変わらず告白されていたけどちゃんと断ってくれていた。オレが不安にならない様に告白された事も断った事もちゃんと教えてくれた。

不安はあったけど鷹之がオレの事をちゃんと考えてくれてると思っていたから、オレは鷹之の負担になるような事は言わなかった。

そうやって高校生の3年間、オレは鷹之と付き合っていた。

卒業しても大学が離れても付き合っていくんだと思っていた。

鷹之から別れの言葉もなかったし、そんなそぶりもなかったから、オレは二人の関係はそのまま続くのだと思い込んでいたんだ。

でも卒業式の日…。

卒業式が終わって帰ろうと言う時間になって鷹之がいない事に気が付いて探していた。

校舎の裏に鷹之が見えた気がして傍に行こうとして…。

「たかゆ…」

「好きだ。」

そう言って鷹之は女を抱きしめた。細い腕が鷹之の背中に回る。

「もう一回言って?」

語尾を上げて甘えるように言う女の声。

「何回でも言うよ。好きだよ。」




昨日オレにも言ったよ。鷹之…。オレに「好きだよ」って言ってくれたよ。

この3年間何度も何度もオレに言ってくれたその言葉を他の人に言うの?

それも女に…。

もうオレに飽きた?やっぱり女の方が良かった?男とする恋愛に興味があっただけ。オレとずっと付き合っていくつもりなんか鷹之にはなかったんだ。

なのにオレはこのままずっと続くもんだと思ってた。

バカ…だな…。

高校生の愛なんて風に吹かれる雲のように流れてしまうものなのに、オレは永遠だとでも思ってたのか…。

おかしくて涙が零れる。

オレはくるっと向きを変えるとそのまま家まで走って帰った。


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