土曜の雨のジンクス

土曜の雨のジンクス10

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酒井さん主催の合コンは会社の近くの少しこじゃれた創作料理の店で開かれた。

とても雰囲気のある日本的な作りの居酒屋なのだけれど、良心的な値段とおいしい料理で人気の店だ。

昨日の今日で予約が取れる店じゃないのにな…。

そうこの店でするのなら2週間は前に予約しておかないと無理。週末になると1か月前でも取れないとか…。

まあオレはこんな店で飲んだり食べたりする事なんてないから関係ないけど…。

週末はいつも家でSEX三昧だった。男同士で街でデートってわけにはいかないし、お互いに仕事に差し障るような事はごめんだったから必然と部屋で過ごす事が多くて、求められるままにしてたから。

正直オレはそんなに好きじゃないんだよねSEXって…。

そりゃ男だから触られたら勃つし、気持ちよくなれば精液を吐き出すけどそれって別に愛がなければってことじゃない。生理的に条件さえ満たされれば誰でも放ってしまうものじゃないだろうか。

まあ嫌いな相手じゃないし、好きになろうとしてたわけだし、相手がオレの身体を求めてくれるならいいかって思ってたんだと思う。

これからは一人の週末だ。何をして過ごそうか。溜まってる小説でも読もうか…。

「おいっ。おいっ伊藤。聞いてるのか?」

自分の中に入り込んでいたオレは酒井さんの声で現実に戻る。

「聞いてますよ。何ですか酒井さん。」

「今日の合コンにはオレの狙ってる皐月ちゃんも来るんだ。伊藤お前協力しろよ。この日の為にオレは子に店を2週間も前から予約して、鈴城さんに声かけて計画してたんだ。」

「オレにそれが出来るとでも?無理です。酒井さんが皐月さんに入れ込んでるのはわかりますがオレに頼らないで下さい。」

「そんなバッサリ切るような事言うかな先輩に向ってさ。」

「いや、変に期待させても悪いですし、オレにそんなスキルはありませんから。」

「わかってるけどさ。じゃ、お前は隅の方に居ろ。皐月ちゃんが傍に来たらオレにパスをよこせ。何かお前女の子に人気があるんだよなあ。ガツガツしてないところがいいとかわけわかんねえ。男はガツガツしてて当たり前だろ❓」

「酒井さんのは露骨すぎるんですよ。ガツガツしてたら飢えてると思われて損ですよ。余裕のある態度じゃないと。引いてるぐらいが酒井さんにはちょうどいいと思います。顔はいいんですから。」

「そ、そうか❓伊藤がそう言うならそうしてみようかな。」

酒井さんはとても単純で可愛い人だ。顔はまあまあなのに振られてばっかりなのは酒井さんに会わない人ばかり選ぶからだと思う。酒井さんのタイプはエロい女だそうだが、酒井さんには大人しい可愛い子が似合うのに。そういう子が酒井さんに熱視線を送っていても気が付かない人なんだ。まあそれが酒井さんの天然ぶりを醸し出してて酒井さんらしいんだけれど…。

「伊藤オレ頑張るなっ‼」

「はいどうぞ。あ、オレ1時間ほどで帰りますんで。挨拶せずに消えますよ。」

「相変わらずだな。彼女作ろうとか思わないのかよ。」

ええ、男が好きなんで…。とは言えないので薄く笑っておく。

「まあいいや。男が少ないと文句言われるからな。女よりもたくさん集めてるんだ。お、時間だな。伊藤行くぞ。」

「はい。で、鈴城さんと俺達二人だけって事はないですよね。」

「ああ、鈴城さんが2,3人連れてくるって言ってた。」

「そうですか。」




その後は仕事の話をしながら店まで歩く。

鈴城さんとはこの間変な感じで別れたからちゃんと修復しておかないと…。これからも仕事で関わりがあるかもしれないし、酒井さんも仕事がしにくくなったら困る。今日会えるのはいい機会かもしれないな。


「いらっしゃいませ。お二人様ですか?」

「あ、予約してる酒井ですけど。」

「お連れ様お見えですよ。ご案内致します。」

店員に2階の座敷に案内されるともう鈴城さん達が座っていた。

「鈴城さん今日はどうも…。」

「酒井さんお疲れ様です。今日はお誘いありがとうございます。お言葉に甘えて3人連れて来ました。」

「男が多い方がオレの顔が立つんです。女の子は総務の可愛い子たちばかりなんで期待して下さい。伊藤も連れて来ましたよ。」

「嬉しいですね。こんばんは伊藤さん。」

「こんばんは。こないだは失礼しました。」

「いいのいいの。そんな事気にしてないから。それよりも伊藤さんが来てくれて嬉しいなあ。」

「オレじゃなくてそれは女の子たちが来たら言ってあげて下さい。総務の女の子は酒井さんが言った通り可愛いですから。」

「伊藤さんも狙ってる子がいるとか❓」

「どうでしょう。」

「怪しいなあ。」

そんな事はないなんて言って墓穴を掘るような真似はしない。狙ってる子がいると思うように仕向ける事は忘れない。こうするだけで一応の予防線ははれる。ここにいる人がゲイだとかバイだとかは思わないけど、ばれないようにオレも普通だと思わせなければならない。飲み会はだから疲れる。誘われても飲みに行かないのはそのせいだ。それなら一人で飲む方が気が楽だしおいしく酒が飲める。

「もう女の子たちも来ると思うんで。と、鈴城さん3人連れてきたって言いませんでした?2人ですよね。」

「ああ、今トイレに行ってるんですよ。あ、戻って来た。菅沼さんここ。酒井さん達が来ましたよ。」

菅沼…ウソだろ。

恐る恐る振り返ると鷹之が傍まで来ていて目が合う。

鷹之は普通に会釈を返して来たのでオレも慌てて頭を下げる。

鷹之が来るなんて計算外だ。なんで鷹之がここに?すみれさんがいるのに何で来るんだよ。数合わせか❓

「酒井さん、伊藤さん紹介します。菅沼さんです。良く行く喫茶店のマスター代理なんですよ。あと後輩の横田と峰岸です。」

「初めまして酒井です。で、こっちが伊藤。今日は楽しみましょう。」

「こちらこそよろしく。」

「部外者ですがよろしくお願いします。伊藤さん…服返して下さってありがとうございました。返さなくても良かったんですが…。電話したんですけどどうも間違ってたみたいです。」

当たり前だ。でたらめの電話番号なんだから。もう会う事はないと思ってたからでたらめを書いたのに、また会うなんて…。気まずい…。


「私こそ。ありがとうございました。おかげで風邪をひかずに済みました。」

「なになに❓菅滑さんと伊藤さんて知り合いなわけ❓」

「そうなのか伊藤。」

「偶然雨の日に助けてもらっただけですよ。それよりもう女の子たちが来ますよ。何か食べ物を頼んでおきませんか❓酒井さん携帯が鳴ってます。彼女たちじゃないですか❓入口まで迎えに行った方がいいですよ。」

「ああ、そうだな。もしもし。あ、皐月ちゃん❓入口まで行くから待ってて。」

いそいそと嬉しそうに迎えに行く酒井さんの顔とはうらはらにオレは苦虫をかみつぶした顔をしていた。


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