土曜の雨のジンクス
土曜の雨のジンクス15
鷹之がオレのマンションに来た?
一度送ってもらったから場所は覚えてるかもしれないけど、何でマンションに?
「…さあ…知りません。」
「そ。まあ時間が合わなかったのかもしれないね。でも菅沼さんは何で伊藤さんのマンションに行ったんだろう?」
オレに聞くわけでもなくブツブツと言いながら鈴城さんは自分の席に戻って行った。
全く、本気なのか冗談なのかつかみどころのない人だからよくわからない。それよりもオレはマンションに来たという鷹之の事が気になっていた。
「ねえマスター。昨日オレを送ってくれたのはオーナーだよね。オーナー何か言ってた?」
「何をです?鷹之くんの事ですか?私は聞いてません。それにオーナーは鷹之くんの顔を知らないでしょう?会っていてもわかりませんよ。きっと。」
「だよね。本当に鷹之が来たかどうかもわからないし、昨日の事を言っても仕方ないか。」
「ですね。それよりさっきの人は明日叶の知り合いですか?何だか飄々としてるのに押しの強い人ですね。確かに何回が来てますけど、大人しく飲んでるだけでした。」
「取引先の会社の人。鷹之とも知り合いなんだ。マスターオレの事、あの人の前では伊藤って呼んでくれる?明日叶なんて名前そこいらにないから、万が一、鈴城さんから鷹之にいったらオレの事がばれちゃうからさ。明日叶って呼ばないでくれる?オーナーにもそう言っておいて欲しい。」
「わかりました。だれか第三者がいる時は苗字で呼びますね。」
「ごめんね。めんどくさい事お願いして…。」
「いいんですよ。」
「じゃマスターオレ帰る。」
「もうですか?」
「ん。何だか落ち着かないし。鈴城さん今トイレに行ったから今のうちに帰る。ここに来るの好きだけど、今度から電話してから来る事にする。あーあ。オレの隠れ家だったのに落ち着けない…。」
「そうですね。来るときに電話して下さい。彼が居てもオーナーが傍に居れば近づいて来ないでしょうから、オーナーのいる時に来ればいいですよ。」
「ありがとうマスター。じゃオーナーによろしくね。」
今日はゆっくり話をしようと思ったのに、鈴城さんがいたおかげで出来なかった。別に鈴城さんが嫌いなわけではないけど、落ち着ける場所がそうでなくなったのは痛い。
鈴城さんは相手を求めに来たのか、ただ偶然の身に来ただけなのか…。鈴城さんはゲイ?バイ?それともフリをしてオレの事を探ったのか…。
鈴城さんの本意はわからないけど、油断したらいけないと警鐘がなる。
するりといつの間にか間合いを詰めて近くに来ているような人だ。鷹之との事も気づかれないとは限らない。
なんだか鷹之に会ってからオレの周りが騒がしくなった気がする。
こんなに心が騒めく事なんてなかったのに…。
今の状態は自分の知らない間にクルクル変わっててまるでジェットコースターに乗っているみたいだ。
正直、疲れる。
鈴城さんには悪いが、オレは鈴城さんとどうにかと言う気にはならない。どっちかと言うと鈴城さんの顔は好きだけど、仕事関連の人と付き合う事はしないと決めているから付き合う気はさらさらない。
今度会ったらもう一度ちゃんと断ろう。
鷹之の事で考えてしまう事が多くなってしまってるのに、これ以上鈴城さんの事まで考えるのはしんどい。
今までは萌えるような恋はしなかったけど、それなりに楽しい生活を送っていたのにな…。
毎日鷹之の事ばっかり考えてしまっているのは何故なんだろう。
恋?
ちょっと待て。オレ恋してる?誰?鷹之に?
気になるのは鷹之が好きだから?
待て待て。もうあんな思いはしたくないって決めたはずじゃないか。
思い出せ。裏切られたんだぞ。それに鷹之にはすみれさんがいる。好きになっても望みは欠片もない。好きになっちゃダメな人なんだぞ。
今なら引き返せる。オレは鷹之を好きになったりしない。もう会わない。
鷹之が何でマンションに来ていたかどうかはわからないけど、深く詮索するのはやめよう。
オレはマンションに帰るとさっさと風呂に入り、ご飯も食べずにベッドに潜り込んだ。起きているといろんな事を考えてしまいそうだったからだ。
でもいつまでたっても眠りは訪れてくれず、結局は布団の中で考えてしまいウトウトしたころは空が白くなっていた。
目覚ましのアラームで起きた時は酷い頭痛で、胃もキリキリと痛んでいた。
幸いな事に熱はなかったので、頭痛薬と胃薬を飲んで会社に行く。
電車でとも思ったけど、満員電車の中で気分が悪くなっても困る。財布には痛手だけど今日はタクシーで行こう。運転手がおしゃべりじゃなかったらいいんだけど…。
大通りで捕まらなかったら困るのでタクシー会社に連絡してマンションの前に来てもらう。
運転手に会社の場所を教え、シートにもたれて目を閉じた。おしゃべりはしたくないという意思表示だけど、運転手はわかってくれたようで会社に着くまで話しかけて来る事はなかった。
「おはようございます。あれ伊藤さん体調でも悪いんですか?何か顔色悪いですよ。」
机に座ると同じ部署の女の子が話しかけてくる。よほどオレの顔色が悪いらしい。
「そんなに顔に出てますか?」
「ええ。誰が見ても体調が悪いってわかると思いますよ。」
「そうですか。でも薬を飲んできたのでそのうち治ると思います。只の頭痛なので。」
「そう?でも無理しないで下さいね。」
「はい。ありがとうございます。」
もう薬が効いて来てもいい頃なのに、頭痛と胃痛は酷くなるばかりでちっとも効いている感じがしない。
もう一度薬を飲んだ方がいいかもしれないと、上司に断りをいれ薬を買いに出た。
薬剤師に相談し、症状に合う薬を購入し、会社に帰ろうとして歩けないほどの気分不良になってしまい、近くの公園のベンチに座り込んでしまった。
「うう。気分わる…。何だこれ?」
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読んで頂きましてありがとうございます。
更新が遅れてしまい申し訳ありません。昨日は職場の歓迎会で、久しぶりのお酒に飲み過ぎてしまい、帰って即寝をしてしまったようです。起きたのが今で…。慌てて更新しました(> <。)もし待っていて下さった方がいらしたらごめんなさい(*_ _)人ゴメンナサイ
どうもこのブログは0時更新のせいか夜型の方がよくいらしてくれるようなので…。朝見て拍手の多さに驚く事も多いんです。ありがとうございます。
これからは遅れないように更新して参りますのでまた遊びに来て下さいませ(o*。_。)oペコッ
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