キミと空とネコと
キミと空とネコと9
武蔵を迎えに動物病院へ行く。
リュックの底にはペットシーツを敷いておいた。
麻酔が醒めきってなかったら、おしっこするかもしれないと思って。
Drが言った通り、看板の電気は消えていたが、ドアは開いていた。
「あのー。すいません。高瀬です。武蔵を迎えに来ました。」
入り口から少し大きな声で言うと、Drが武蔵を抱いて出てきた。
武蔵はオレをみて『にゃーーーん』と少し疲れた顔をしてなく。
Drの腕から受け取ると、武蔵が顔を頬に摺り寄せてきた。
「武蔵くんは暴れる事もなく、静かにしていましたよ。とってもいい子ですね。高瀬さんがとても大事に愛されている事がよくわかります。武蔵くんは幸せなネコですね。よかったな。武蔵くん。高瀬さんに見つけてもらって。」
Drは武蔵の頭を優しくなでた。
武蔵は嬉しそうになでられている。
Drに手術の様子と今後の注意点を聞く。
その時、ドアが勢いよく開いた。
「雪夜、終わったか?メシ食いに行こうぜ。オレ腹減った。」
その人はDrを真っ直ぐに見て言う。オレには気がつかないようだ。
「響夜、電話してこいっていつも言ってるだろ。今日は急患があって一晩様子を見ないといけないからオマエに付き合えないよ。あ、高瀬さんすいません。話の途中に・・・。」
「いいですよ。雪夜って先生の名前ですか?」
「ああ、名前も言ってませんでしたね。失礼しました。」そう言って先生は名刺をくれた。
『ユキ動物病院院長 杉野 雪夜(スギノ ユキヤ)』名刺にはそう書いてあった。
「ユキ動物病院の『ユキ』は雪夜先生のユキなんですか?」
「そうなんです。安直ですいません。」雪夜先生は苦笑する。
二人で話しているとさっきの人がオレの顔をまじまじと見てヒューっと口笛を鳴らすと、ニヤリと笑ってとんでもないことをサラリと言う。
「へーーー。えらい美人さんだね。雪夜好みじゃないの。この美人さん。」
「ばっ。響夜、失礼だろっ。高瀬さんにっ。すいません、高瀬さん。こいつ口悪くて・・・。」
そう言われてオレは『響夜』と呼ばれた人物を見る。
男なのに、長い黒髪をポニーテールにしている。髪の毛はサラサラとしてとてもキレイだ。前髪は長く、顎のラインまでおろしている。目は少し青がかった黒い色。切れ長だけど厭味のない大きさ。少し細い眉。鼻梁のいい鼻、薄い唇。先生に似ているけど、先生が静なら、この人は動って感じだ。オレを見下ろす瞳からすごいパワーを感じる。この人も雪夜先生と同じくらいの身長だから185㎝はあるのだろう。先生が知的なら、この人は野生的。両極端な二人だけど、どちらも人をひきつける魅力にあふれていた。二人が立っている空間は空気さえ違うと思う。女ならどっちかに意見が分かれるだろうな。
「どうも。『杉野 響夜(スギノ キョウヤ)』です。雪夜はオレの兄貴。雪の夜に生まれたから『雪夜』オレは雷の響く中、生まれたから『響夜』全く、センスのない親だな。まっ、オレは自分の名前が気に入ってるけどなっ。よろしく。美人のタカセさん。」
彼はにんまりと笑うとオレの肩を抱いてきた。
「!!!」
何考えてんの?この人!!!
オレは武蔵を抱いたまま、その手から離れると睨みつけた。
「美人てオレのことですか?オレ女じゃないんで、嬉しくも何ともないです。」
ムッとして言うと
「ヒューーッ。いい目してんじゃん。その目いいね。オレ惚れちゃったかも・・・。そそられる。征服欲が湧くわ。」
「響夜いいかげんにしろよ。高瀬さん本当にすいません。」
「雪夜先生、いいんです。じゃ、オレこれで失礼します。手術代はいくらですか?」
オレは響夜を無視して雪夜先生に話しかける。挑発に乗ったらダメだと自分に言い聞かせながら・・・。
「1万5千円です。でも、今度でいいですよ。検査の結果はまだ出て無いし、レジ閉めちゃってるし、又寄って欲しいから。ねっ。」
優しく見つめられると、少し顔が赤くなってしまった。人と関わりのない今、優しい言葉が嬉しい。赤くなるのは優しくされるのが久しぶりだから仕方がない。
「あらら。オレと雪夜と態度が違うくねぇ?なんか、ムカツクんですけど・・・。」
「響夜っ!!!」
「じゃ、雪夜先生、又寄ります。武蔵が疲れてるみたいなので失礼します。ありがとうございました。」オレは頭を下げ、武蔵をリュックに入れて外へ出た。
「何なんだよ。あいつ。顔は似てるけど、雪夜先生とは大違いだな。武蔵、家に帰ろうな。」
リュックを背負うためにドアの外で立ち止まっていたが、病院のドアが開いて響夜が出てきたので、オレは急いで家に向かって歩き出す。
響夜に話掛けられるのはまっぴらごめんだった。
コイツは近づいたら危険な匂いがする。魅入られたが最後、すべてを奪われ、燃やし尽くされてしまいそうな瞳。その瞳に囚われてはいけないと警告のアラームが鳴り響く。
なのに響夜はオレの後を着いて来る。
「ほんとに、何なんだよ。あいつ。杉野 響夜って言ったっけ。何か、聞いた事のある名前なんだよな。」
響夜はオレに話かけるでもなく、ずっと後に着いて来る。
マンションのエントランスまで着いて来るのでいい加減頭にきて後を振り返った。
去勢手術の値段は私のにゃんこがしてもらった時の値段です。病院によって値段が違うので、適正価格はわかりません。すいません。さて、雪夜と響夜。兄弟でありながら全く違う二人。「少し青がかった黒い色の目」うまく表現出来ない・・・。なんとなくわかっていただけたら・・・。さて、どう絡み合って行きましょうって・・・。迷っております(汗)やっぱり思う通りには動いてくれないんだから。みんな(TωT)ウルウル
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リュックの底にはペットシーツを敷いておいた。
麻酔が醒めきってなかったら、おしっこするかもしれないと思って。
Drが言った通り、看板の電気は消えていたが、ドアは開いていた。
「あのー。すいません。高瀬です。武蔵を迎えに来ました。」
入り口から少し大きな声で言うと、Drが武蔵を抱いて出てきた。
武蔵はオレをみて『にゃーーーん』と少し疲れた顔をしてなく。
Drの腕から受け取ると、武蔵が顔を頬に摺り寄せてきた。
「武蔵くんは暴れる事もなく、静かにしていましたよ。とってもいい子ですね。高瀬さんがとても大事に愛されている事がよくわかります。武蔵くんは幸せなネコですね。よかったな。武蔵くん。高瀬さんに見つけてもらって。」
Drは武蔵の頭を優しくなでた。
武蔵は嬉しそうになでられている。
Drに手術の様子と今後の注意点を聞く。
その時、ドアが勢いよく開いた。
「雪夜、終わったか?メシ食いに行こうぜ。オレ腹減った。」
その人はDrを真っ直ぐに見て言う。オレには気がつかないようだ。
「響夜、電話してこいっていつも言ってるだろ。今日は急患があって一晩様子を見ないといけないからオマエに付き合えないよ。あ、高瀬さんすいません。話の途中に・・・。」
「いいですよ。雪夜って先生の名前ですか?」
「ああ、名前も言ってませんでしたね。失礼しました。」そう言って先生は名刺をくれた。
『ユキ動物病院院長 杉野 雪夜(スギノ ユキヤ)』名刺にはそう書いてあった。
「ユキ動物病院の『ユキ』は雪夜先生のユキなんですか?」
「そうなんです。安直ですいません。」雪夜先生は苦笑する。
二人で話しているとさっきの人がオレの顔をまじまじと見てヒューっと口笛を鳴らすと、ニヤリと笑ってとんでもないことをサラリと言う。
「へーーー。えらい美人さんだね。雪夜好みじゃないの。この美人さん。」
「ばっ。響夜、失礼だろっ。高瀬さんにっ。すいません、高瀬さん。こいつ口悪くて・・・。」
そう言われてオレは『響夜』と呼ばれた人物を見る。
男なのに、長い黒髪をポニーテールにしている。髪の毛はサラサラとしてとてもキレイだ。前髪は長く、顎のラインまでおろしている。目は少し青がかった黒い色。切れ長だけど厭味のない大きさ。少し細い眉。鼻梁のいい鼻、薄い唇。先生に似ているけど、先生が静なら、この人は動って感じだ。オレを見下ろす瞳からすごいパワーを感じる。この人も雪夜先生と同じくらいの身長だから185㎝はあるのだろう。先生が知的なら、この人は野生的。両極端な二人だけど、どちらも人をひきつける魅力にあふれていた。二人が立っている空間は空気さえ違うと思う。女ならどっちかに意見が分かれるだろうな。
「どうも。『杉野 響夜(スギノ キョウヤ)』です。雪夜はオレの兄貴。雪の夜に生まれたから『雪夜』オレは雷の響く中、生まれたから『響夜』全く、センスのない親だな。まっ、オレは自分の名前が気に入ってるけどなっ。よろしく。美人のタカセさん。」
彼はにんまりと笑うとオレの肩を抱いてきた。
「!!!」
何考えてんの?この人!!!
オレは武蔵を抱いたまま、その手から離れると睨みつけた。
「美人てオレのことですか?オレ女じゃないんで、嬉しくも何ともないです。」
ムッとして言うと
「ヒューーッ。いい目してんじゃん。その目いいね。オレ惚れちゃったかも・・・。そそられる。征服欲が湧くわ。」
「響夜いいかげんにしろよ。高瀬さん本当にすいません。」
「雪夜先生、いいんです。じゃ、オレこれで失礼します。手術代はいくらですか?」
オレは響夜を無視して雪夜先生に話しかける。挑発に乗ったらダメだと自分に言い聞かせながら・・・。
「1万5千円です。でも、今度でいいですよ。検査の結果はまだ出て無いし、レジ閉めちゃってるし、又寄って欲しいから。ねっ。」
優しく見つめられると、少し顔が赤くなってしまった。人と関わりのない今、優しい言葉が嬉しい。赤くなるのは優しくされるのが久しぶりだから仕方がない。
「あらら。オレと雪夜と態度が違うくねぇ?なんか、ムカツクんですけど・・・。」
「響夜っ!!!」
「じゃ、雪夜先生、又寄ります。武蔵が疲れてるみたいなので失礼します。ありがとうございました。」オレは頭を下げ、武蔵をリュックに入れて外へ出た。
「何なんだよ。あいつ。顔は似てるけど、雪夜先生とは大違いだな。武蔵、家に帰ろうな。」
リュックを背負うためにドアの外で立ち止まっていたが、病院のドアが開いて響夜が出てきたので、オレは急いで家に向かって歩き出す。
響夜に話掛けられるのはまっぴらごめんだった。
コイツは近づいたら危険な匂いがする。魅入られたが最後、すべてを奪われ、燃やし尽くされてしまいそうな瞳。その瞳に囚われてはいけないと警告のアラームが鳴り響く。
なのに響夜はオレの後を着いて来る。
「ほんとに、何なんだよ。あいつ。杉野 響夜って言ったっけ。何か、聞いた事のある名前なんだよな。」
響夜はオレに話かけるでもなく、ずっと後に着いて来る。
マンションのエントランスまで着いて来るのでいい加減頭にきて後を振り返った。
去勢手術の値段は私のにゃんこがしてもらった時の値段です。病院によって値段が違うので、適正価格はわかりません。すいません。さて、雪夜と響夜。兄弟でありながら全く違う二人。「少し青がかった黒い色の目」うまく表現出来ない・・・。なんとなくわかっていただけたら・・・。さて、どう絡み合って行きましょうって・・・。迷っております(汗)やっぱり思う通りには動いてくれないんだから。みんな(TωT)ウルウル
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未分類

もくじ
✽✽✽目次✽✽✽

もくじ
ご挨拶

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貴方の腕の中で

もくじ
たとえこの世の終りが来ようとも

もくじ
キミが思い出になる前に

もくじ
月と太陽がすれ違う時

もくじ
S.S

もくじ
イラスト

もくじ
頂きもの☆

もくじ
雑記

もくじ
土曜の雨のジンクス

もくじ
さよならが言えなくて。

~ Comment ~
Re: タイトルなし
>
ハル様こんばんは
>
> お名前ゲッチュとは思わなかったようです
なんせ関わりあいたくないんですもの。でも海人の人生の歯車は動き出しているのです。響夜は野生的なので危険を感じているのです。海人は小動物なので(笑)海人一人がグルグルしてて、杉野兄弟は余裕って感じですねぇ
>
> ばら園って資生堂のかな?私もその日の気分でそれと、コーセーのHAPPY BITRHDAYは普段に、いい事があった時や特別の日はハウス オブ ローゼのラ・ローゼ フレグランス ボディソープを使ってます。ラ・ローゼは凄く高くて、泡立ちはイマイチなのですが、香りはこの中で一番です
>
> 京都はいいですよ。私は安倍清明が好きで清明神社によく行きます。はい。陰陽師が好きなのです。
>
> 新撰組と言えば思い出すのが「薄桜鬼」。ハマリました。キャラがかっこよすぎで、ヨダレが・・・。ベタですが、土方さんが好きでした。土方さんも沖田さんもお墓は東京ですよね。まあ、土方さんは遺体が見つかって無いから墓石だけみたいですし、沖田さんのお墓は6/27しか中まで入れないそうですが・・・。
>
> 京都では山南さんなどが光縁寺にお墓があるそうですが、行った事ないです。二条城は行きましたけど(大政奉還の舞台ですね)京都に行けば新撰組の縁の地を回るツアーなどもあるそうですよ
>
> ハル様の時代物、読みたいですっ
新撰組なんて男だらけで楽しみすぎですっ
> 誰と誰をひっつけます?ぐふっ夢が膨らみますね
>
> ああ、また長くなっちゃいました。ハル様となら何時間でもおしゃべりできそうです
> また、遊びにいきます。今日も千マイルありがとでした。


>
> お名前ゲッチュとは思わなかったようです


>
> ばら園って資生堂のかな?私もその日の気分でそれと、コーセーのHAPPY BITRHDAYは普段に、いい事があった時や特別の日はハウス オブ ローゼのラ・ローゼ フレグランス ボディソープを使ってます。ラ・ローゼは凄く高くて、泡立ちはイマイチなのですが、香りはこの中で一番です

>
> 京都はいいですよ。私は安倍清明が好きで清明神社によく行きます。はい。陰陽師が好きなのです。
>
> 新撰組と言えば思い出すのが「薄桜鬼」。ハマリました。キャラがかっこよすぎで、ヨダレが・・・。ベタですが、土方さんが好きでした。土方さんも沖田さんもお墓は東京ですよね。まあ、土方さんは遺体が見つかって無いから墓石だけみたいですし、沖田さんのお墓は6/27しか中まで入れないそうですが・・・。
>
> 京都では山南さんなどが光縁寺にお墓があるそうですが、行った事ないです。二条城は行きましたけど(大政奉還の舞台ですね)京都に行けば新撰組の縁の地を回るツアーなどもあるそうですよ

>
> ハル様の時代物、読みたいですっ


> 誰と誰をひっつけます?ぐふっ夢が膨らみますね

>
> ああ、また長くなっちゃいました。ハル様となら何時間でもおしゃべりできそうです

> また、遊びにいきます。今日も千マイルありがとでした。
- #9 † Rin †
- URL
- 2012.02/06 19:58
- ▲EntryTop
Re: タイトルなし
S様、ご訪問ありがとうございます。とっても嬉しかったです
お仕事も大変なのに・・・。
S様の作品はとても愛がいっぱいで大好きなんです。ストーリーも甘甘でハピエンなのがいいっ
次はってとても楽しみにしています。
無理なさらずに。体調を崩しては何もならないですものね
では又訪問させていただきますね

お仕事も大変なのに・・・。
S様の作品はとても愛がいっぱいで大好きなんです。ストーリーも甘甘でハピエンなのがいいっ

次はってとても楽しみにしています。
無理なさらずに。体調を崩しては何もならないですものね

では又訪問させていただきますね

- #11 † Rin †
- URL
- 2012.02/07 02:09
- ▲EntryTop
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一気にふたりのお名前ゲットだぜっ!
‥‥とは海人くんは思わないのですね(^_^;)
私だけか‥(笑)
正反対のふたりですね、えっ響夜さんっ危険なんですか?
今までの経験で危険だと海人くんが判断しているのでしょうか。
今はどっちにしても無理でしょう。
でも‥新展開の香りがしましすね。
楽しみです~
あ、私もシャンプーからリンスからなにからなにまでローズ使ってます(^-^)
薔薇園っていうのを使ってますよ。
やっぱり似てますね~嬉しいです。
京都に行くんですか?
京都行きたいですっ、私は鎌倉は近いからよくいくんですけど、
やはり京都は憧れです。
いえ、あの‥新撰組が実は‥とても好きで‥お話しを書きたいくらい好きなのです。
あああ‥そんな話はどうでもいいですよね、
これからの展開を楽しみにしています(^-^)