土曜の雨のジンクス
土曜の雨のジンクス27
怒ってるのかどんどんとオレの手を引っ張っていく鷹之の気持ちがわからなくて、でも繋がれている手の温もりが愛しくて嬉しいと思うオレはおかしいのかな。
今まで欲しかったのに欲しくないフリをして、他の男にその温もりを求めて自分自身を騙して平気な顔で5年の月日を過ごして来た。その温もりが今傍にある。オレの手をオレが握ってるんじゃなくて鷹之に握られている。それも強く。拘束される事を喜んでいるオレはおかしい?
おかしいかもしれない。他の人から見たらバカだと思うかもしれない。でも心が喜んでる。鷹之がオレだと気が付いていなくても、オレを好きじゃなくても、一度だけでもそれでもいい。鷹之の傍に居たい。鷹之の呼吸を感じたい。鷹之の温もりに触れていたい。鷹之の目の中に入っていたい。この時だけはオレの事だけを考えて見て欲しい。だって本当に好きなんだ。
一方通行の恋だってわかってる。叶わない実る事ない恋だって言われなくてもわかってる。だからこそ少しの間だけでも鷹之の心の中に居たいって思う。それだけでいい。少しの時間だけ鷹之を独り占めさせて欲しい。例え鷹之がオレの事を軽蔑しても、誰にでも身体を開くビッチだと思われてもいい。オレのこの気持ちだけは一途に鷹之だけを思っているから。
そんなオレの気持ちなんて鷹之は知らなくていい。オレの中で自分だけが知っていれば良い事。鷹之の重荷にならないように遊んでいるように思われないといけない。それはきっと心に傷を作る事になるんだろうけどその傷だって好きになれると思うんだ。そうまでして鷹之と繋がりたい。鷹之を感じていたい。
ドキドキする嬉しい気持ちと間違った事をしていると思う苦しい気持ち。矛盾した気持ちを抱えてオレは何も言わずに鷹之の行くままに連れられて行く。
鷹之がオレをどうしたいのか、何を思ってるのかわからないけど、鷹之が望むならどんな事をされてもいいと思った。鷹之が後で後悔しないようにオレは平気なフリをして、何でもないって顔をすると決めていた。
無言で男が男の手を引いて歩く姿は普通の人には奇妙に映るのだろう、何度も振り返られたりしたけど鷹之は何とも思わないのか手を離さない。手を繋ぐことの何がいけないと言っているようで鷹之らしいと思う。こうと思ったら周りの事なんて気にしない。自信があるから揺るぐ事のない姿は高校生の時から持っていたもので、大人になっても変わらない姿が嬉しかった。
高校生の時の鷹之を見たようで一瞬あの頃に帰ったような気持ちになる。鷹之が建物の中に入りオレもそのまま連れられて入った。
「部屋空いてますか?ツインでお願いします。」
「はい。ツインでございますね。空いております。お部屋までご案内させて頂きます。」
「いえ。鍵を頂ければ案内はいりません。」
鷹之が入ったのは少し洒落たホテルだった。てっきりラブホテルにでも連れていかれるのかと思っていただけに不思議に思った。何も高いホテルじゃなくても…。
その間もつないだ手は離される事なかった。一応は鷹之のジャケットで隠れてたけれど…。
鷹之は鍵を受け取るとオレを見る事なくエレベーターに乗り込み部屋のある階数のボタンを押す。
「別にこんなホテルじゃなくても良かったんじゃないですか?SEXするだけでしょう。」
「高校生じゃないんだ。オレはそんなところでしたいとは思わないんでね。伊藤さんはラブホの方が良かった?そっちの方がいろいろと楽しめるグッズがあるからね。」
意地悪そうに目を細めて言う鷹之にそんなの好きじゃないって言いたかったけどそれを言えば重荷になる。あくまで相手は誰でもいいビッチの相手として自分がいるんだと鷹之は思っているんだから…。
「そうですね。おもちゃがあれば例え貴方が勃たなくても私は快感を得る事が出来ますし、貴方が下手でもおもちゃの力を借りればそれなりにSEX出来るかもしれない。でもこういうホテルも好きですよ。無機質なところがね。貴方は私を熱くしてくれるのかどうか楽しみです。でも貴方が私を満足させてくれない様であれば私はすぐ出て行きますから。無駄な時間を過ごしたくない。」
怒った鷹之がオレをベッドに押し倒す。目には怒りの色が見える。それでいい。オレを嫌いでいいんだ。
「シャワーも浴びさせないつもりですか?余裕がないんですね。するならまずシャワーを浴びさせてください。無理なら貴方とは出来ません。汚いままだと萎えてしまってやる気にならないんですよ。」
「オレがシャワーを浴びている間にいなくなるつもりじゃないのか?」
「そんな事しません。まあ心配なら一緒に入りますか?でもユニットですから狭いですよ。」
別に逃げるつもりなんてないからそう言った。逃げるとしたら鷹之の方だろう。オレがシャワーを浴びている間にいなくなっても不思議はない。
鷹之が出した応えは一緒に入るという事らしく、オレはベッドから引き揚げられてそのまま浴室の前まで連れて来られる。
「服はどうします?脱がせたいですか?自分で脱いだ方が良いですか?」
「余裕だな。そうだなオレが見ている前で脱いでもらおうか。オレの気分が盛り上がるように誘うように脱げ。」
さっきまでの口調が嘘のように横柄な物言いになるのは自分が優勢にたとうとする男の性からか。でも丁寧に他人のように話されるより、こうして言われる方がゾクリと快感の熾火が身体の奥に灯る。
オレは言われた通りに鷹之の目を見ながらゆっくりとジャケットを脱ぐ。靴下を脱いでスラックスに手をかけてボタンを外すとためらう事なく脱ぎ、シャツのボタンを一つずつゆっくりと外した。
今日はアンダーを着てなかったからボタンを外せばすぐに白い素肌が見える。カフスのボタンを外していると我慢できなくなったのか、待っている時間にイライラしたのか剥ぎ取るようにシャツを脱がされた。
「ふうん。綺麗なもんだな。何の痕も付いてない。しばらくはご無沙汰だった?」
「発情期の猫みたいに言わないでくれませんか?いつでも発情してるわけではないんですよ。まあたまに今日みたいな日もありますけどね。男の身体をそんなに見て楽しいですか?胸のふくらみもない硬い身体に欲情出来るんですか?」
「心配いらないみたいだぜ。ほら。」
グイっと股間を太ももに押しつけられる。それは硬くなり熱を放っていた。
「あんたの白い身体がフェロモンをまき散らしてくれたからな。実際に勃つかどうか半信半疑だったが大丈夫みたいだ。」
オレの身体にちゃんと反応してくれた事に安心し嬉しかった。これなら鷹之と繋がれる。自分の中で鷹之を感じて一つになる事gは出来る。
「せっかちですね。そんなじゃすぐにイッてしまうんじゃないですか?ちゃんと満足させてくれるんでしょうね?」
「泣いて許してくれって言うまで犯ってやるよ。」
「口だけじゃない事を祈りますよ。先に中に入ってますから服を脱いだら入って来て下さい。」
オレは押しつけている鷹之の身体を押し返し、鷹之の股間を撫で上げるとさっさとボクサーパンツを脱ぎ捨て中に入った。
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