キミと空とネコと

キミと空とネコと11

 ←キミと空とネコと10 →キミと空とネコと12





「とな・・・り・・・?」

隣の住人が響夜だった?

オレ、ここに3年住んでるけど隣がどんな人なのか知らなかった・・・。

知ろうとも思わなかった。

表札には確かに『杉野』と書いてある。

間違いなくお隣さんだ・・・。

「カレーの匂いがする。」

響夜の声に現実へ引き戻される。

「えっ。」

「高瀬さんちから、カレーの匂いがする。腹減った。雪夜にはフラれるし部屋にはカップラーメンしかないし・・・。」

響夜を見るとさっきまでとはうって変わって、甘えたような瞳で俺をじっと見ている。

「オレ、カレー好きなんだ。久しく食ってねぇなぁー。」

「カレーくらい自分で作って下さい!!あるいは彼女に作ってもらって下さい!!」

「オレ、料理出来ないもん。Hする女はいても彼女はいないし。」

「それとオレの作ったカレーとどう関係があるんですか?オレはあなたの友ダチでも知りあいでもありませんからっ。」

「でも、雪夜の知り合いだろ。てことはオレの知り合いでもある。」

むちゃくちゃな事を言い出す響夜。カレーを食べない事には収まりそうにない。

これ以上相手をするのは疲れる。

オレはカレー一杯で響夜と関わらないで済むなら安いもんだと思う事にした。

「わかりました。でも、夕方に作ったので味はそんなにおいしくないですよ。明日食べるつもりで作ったので。カレーを入れるお皿を持って来て下さい。」

「ない。そんなもん。」

「お皿ないんですか?いつもどんな食生活してるんですっ?」

「外食とコンビニ弁当かカップラーメンとか?」

とか?って疑問形で言われても・・・。

てか、一人暮らしでその食生活かよっ!!

「わかりましたっ。お皿もお貸ししますっ!!」

「高瀬さん。もう一つお願い。」

「何ですか!!これ以上どうしろって言うんですっ?」






何で、オレの部屋で響夜はカレーを嬉しそうに食ってるんだ?

さっきの会話のオチは響夜の部屋は汚くて食べるところもないから、オレの家で食わせろと言うものだった。

そんな話は信じられないと言うと、オレの手を引っ張り響夜の家の玄関の中へ連れ込む。

玄関から見えるあまりの部屋の荒れように、ビックリして声も出なかった。

おまけに埃っぽくて咳が止まらずムセこんでしまった。

換気はしていないのか?こんな部屋によく住めるな。

自分の家の隣がゴミ屋敷だったなんて・・・。

響夜いわく「仕事が締め切り前で掃除してる暇がなかった」とかなんとか・・・。

で、現在の状況になったのだ。

武蔵は手術の後で食欲がないのか、響夜を見てフンと鼻を鳴らすとベッドで丸まって寝てしまった。

「高瀬さん、おかわりっ!!」

満面の笑みで響夜が言う。

「何杯食べるつもりですか?」ガックリとうなだれるオレ。

「高瀬さん、料理上手だね。こんな上手いカレーこの辺の店でもないぜ。オレ気にいった!!」

「はいはい、もう全部食べちゃってください。」

お代わりを入れて渡す。

「高瀬さんは食べないの?」

「海人でいいです。明らかにアナタの方が年上でしょう。さん付けされると落ち着きません。オレは武蔵と食べたいのでいりません!!。」

何が悲しくて響夜とメシを食べなくちゃいけないんだよっ。

「オレ28歳、ちなみに雪夜は30歳。海人は何歳?」

「26です。」

何正直に答えてんだよ。オレ・・・。

響夜は「そかそか年下か」とニマニマしながらカレーをほおばっている。

武蔵となら、なんとか食べようと思うのだけど、やっぱり食欲は落ちたままで、今のこの状況で食べろと言う方が無理だ。

「海人。こっち向いて。」ふいに名前を呼ばれたので振り返ると

「何・・・っ・・・。ムグッ・・・。」

「なっ。うまいだろ。海人のカレー。」

口の中にカレーを入れられた。

「もうっ。オレはいりま・・・はぐっ・・・。」

飲み込んで文句を言い切らないうちに次のカレーが放り込まれる。

しばらくそれの繰り返しで・・・。

「響夜っ。いい加減にしろっ!!」

「はい。ご馳走様でした。」と空になったお皿をテーブルに置いて、手を合わせてちゃんと挨拶する響夜に驚いていると

「海人、ちゃんとメシ食わないとそれ以上痩せちまったら抱きごこちが悪くなる。」と真面目な顔の響夜に言われた。

「はっ?何言ってんの?抱かれねぇし。オレ男だしっ。」

「まっ。オレが一緒に食ってやるよ。」

「結構ですっ!!オレは武蔵と食いますからっ!!」

「そうやって、他人と関わりを持たずに生きて行くつもり?一人ぼっちで生きていけるの?」

「っ・・・。なん・・・で・・・。」

響夜に何もかも知られているようで怖くなってきた。

「もう、メシ食ったからいいでしょう。オレ疲れてるんです。帰って下さい!!」

そう言うと、まだ何か言いたげな響夜を部屋から追い出し、鍵を閉めチェーンをかけた。









ランキングに参加しています。ぽちっとご協力お願いします*゜✲ฺ(✿◕ฺ ∀◕ฺ)ฺノ†゜*



にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
にほんブログ村
関連記事
スポンサーサイト





もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png ご挨拶
もくじ  3kaku_s_L.png 貴方の腕の中で
総もくじ  3kaku_s_L.png キミと空とネコと
もくじ  3kaku_s_L.png S.S
もくじ  3kaku_s_L.png イラスト
もくじ  3kaku_s_L.png 頂きもの☆
もくじ  3kaku_s_L.png 雑記
総もくじ  3kaku_s_L.png 新撰組物語
  • [キミと空とネコと10]へ
  • [キミと空とネコと12]へ

~ Comment ~

呼び捨てが‥たまりませーん! 

こんばんは~と、おはようございます~の間ですが‥こんにちは!

カレー食べたくなりました(笑)
食べさせてほしいっっ(*^_^*)
いやいやながらもお家にあげる海人くんはとっても人のいい子なんですね。
人もいいし、心が優しいから深く想ってしまう?
そんな子が傷つくのは可哀想ですよね(/_;)

つい、自己防衛で係わるまい、好きになるまい‥近づくまい‥とまで思ってしまうのが辛いです。
どこのどいつがこの子を泣かしたんでしょう!(`´)
でもいつの間にか‥呼び捨て~超萌えます~(≧∇≦)

Rinさまは私の知らない京都のことを沢山知っておられるのですね、
晴明さんのことも新撰組のことも。
あ、私は斉藤一さんと伊東甲子太郎さんも好きなんですよ(^-^)
私のノートの中では(笑)伊東さんはオカマっぽくは無いのですが、
やっぱり敵役になってしまいます。好きなんですけども‥
山南さんも好き‥気が多いですね(^_^;)

Rinさまのお話のことだけでなくいつも違う話をしてしまって‥すみません。
でもまた違うお話しもさせて下さい~また参りますm(__)m

Re: 呼び捨てが‥たまりませーん! 

ハル様こんばんは♥♡♬☺(✿ฺ´∀`✿ฺ)

ハル様いつもありがとうございます。

私もカレー食べたくなってます(*≧m≦*)ププッ
今度の休みはきっとカレーです。

海人は家族に優しくされなかった分、人には優しいんだと思います。自分のような思いはさせたくないって思うんです。
でも、他人様にしてみれば都合がいい人間になってしまうのかもしれません。アイツに頼めばいいやみたいな・・・。

海人にしてみても傷つけられても人が傷つくよりいいなどと考えてしまうのがいけないのです。不幸体質とでもいいましょうか・・・。完全にMです。
呼び捨てっていいですよねぇ。萌えます(✪ܫ✪)
名称の呼び方でもストーリーの色が変わってくるので重要ですよねぇ。難しいです(TωT)

京都の事そんなに詳しくはないですぅ(汗)

私の知ってるは偏っているので・・・。興味のないことはダメです。

山南さんはどうして新撰組を抜けようとしたんでしょう。いろいろな憶測はありますけど、どれが本当なのか・・・。一ちゃんは伊東さんとこに潜入したりカッコイイですよね。私も好きです。三番隊 隊長ですし。永倉さんもいい。私も気が多いですね。

歴史小説は大好きなので(ただし好きな作家は限られています)知っている事もあるだけです。
北方 謙三が大好きで(ただしハードボイルドの北方 謙三は読んでません)土方さんの本も出しておられるんですよ。『黒龍の柩』まだ読んでないですが。取り寄せ中です。
北方ワールドは漢(おとこ。男というより漢って感じです)がいいですっ!!

私も水滸伝で話が書けたらいいなぁとは思いますが頭の中だけです。

また長文になってしまいました。他のお話もたくさんしましょう♥♡♬☺(✿ฺ´∀`✿ฺ)
また、遊びにまいりますねっ(*^_^*)
管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • [キミと空とネコと10]へ
  • [キミと空とネコと12]へ