キミと空とネコと
キミと空とネコと12
響夜をドアの外へ追い出すとオレはドアを後ろ手にズルズルとしゃがみこんでしまった。
ドアの外には響夜の気配がする。
「どうして響夜はあんな事を言うのか?オレがそう思っていることを知ってる?まさか・・・。」
『そうやって他人と関わりを持たずに生きて行くつもり?一人ぼっちで生きていけるの?』
頭の中で響夜の声が繰り返し再生される。
響夜の言葉にオレは冷静になれず・・・。
少しして、隣のドアがバタンと閉まる音が聞こえて、ふぅーっと息をつく。
響夜といると冷静でいられなくなる。
人に無関心でいようとするオレの生き方を蔑んでいるのか?
そんなはずはない。だって響夜はオレの気持ちを知ってるわけがないのだから・・・。
そう思おうとしても響夜の言葉が頭から離れず、胸がひどく苦しかった。
玄関から帰ってこないオレを武蔵が迎えに来た。
「にゃん?」小首をかしげてオレを見る。
「ごめん。武蔵。今日は頑張ったのにな。ほったらかしでごめん。」
武蔵の暖かい身体がオレの手に触れる。
頭をすりすりと手に押し付ける。
「武蔵、心配してくれてるの?オレは武蔵の温もりがあれば十分だよ。」
武蔵を抱き上げてベッドに転がる。
いつしか涙が頬を伝っていた。
何も考えられず、心が空のようだった。
武蔵の温もりだけを感じて、オレはいつの間にか眠っていた。
それから何日かは部屋から出ずにぼーーーっと過ごした。
響夜に逢いたくなかったし、誰とも関わりたくなかったから・・・。
武蔵と過ごす中でだんだんと冷静さを取り戻す。
今まで、響夜と逢わなかったのだからそんなに逢う事はない。
この間はたまたまだと思うことにした。
「あっ。雪夜先生に手術代払わないと。検査の結果も聞かなきゃな。」
ユキ動物病院に電話する。
「はい、ユキ動物病院です。」明るい受付のお姉さんの声がする。
「もしもし、この間武蔵がお世話になった高瀬ですが、検査の結果は出ましたでしょうか?出ているのであればお伺いしたいのですが・・・。」
「はい。高瀬 武蔵くんですね。結果は出ていますのでいつでもいらして下さい。」
「今日は病院混んでいますか?」
「いいえ、そうでもないですよ。今からいらっしゃいますか?」
「はい。お願いします。」
そして、武蔵に留守番を頼むと病院へ向かう。
隣のドアが開くのではないかと思ったが、開くことはなかった。
やっぱり、この間はたまたまだったんだ。そう逢う事もない。
ふぅーっと息を吐く。何故か緊張していた自分に苦笑する。
響夜に逢ってしまったらどうしようと思っていた。
いろいろとシュミレーションしてみたが、実際に響夜に逢えばそんな事は役に立たないとわかっていたから・・・。
空を見上げ「今日も天気だな」なんて思いながらユキ動物病院へと向かった。
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さよならが言えなくて。

~ Comment ~
Re: ひとに慣れることから‥頑張れっ!海人くんっ
> ハル様こんばんは^ω^*
>
> 私はやっぱりSのようです( *´艸)( 艸`*)ププッ
>
> ハル様を喜ばせるかと思うとモヤモヤとさせてしまうかも・・・。恋は一筋縄ではいかぬもの。だから実った時は甘甘になるのです♡
> 海人はぐずぐずなんですねぇ。イジメたくなる。武蔵がどれだけ頑張ってることか・・・。武蔵も健気なんですよぉ。
>
> さて、北方 謙三の『黒龍の柩』おもしろそうです。北方ワールド満載です!!史実に基づきながらも、独創的な発想で今までに無い土方さんに会えまする。司馬遼とは全然違います。まぁ、賛否両論ですが、北方 謙三らしい作品だと思います。なんたって、ハル様の好きな山南さんと、土方さんがとても仲良しで山南さんは清粛で命を落とすのではないのです。あまり書くとネタバレになるので止めますが・・・。物語は池田家事件から始まります。北方 謙三の歴史小説がお好きならオススメですよっ♡゚・*:.。 (→ܫ◕ฺ人◕ฺฺܫ◕ฺ).。.:*・゚♡
>
> では千マイルにお伺いしたしまする(*^_^*)
>
> 私はやっぱりSのようです( *´艸)( 艸`*)ププッ
>
> ハル様を喜ばせるかと思うとモヤモヤとさせてしまうかも・・・。恋は一筋縄ではいかぬもの。だから実った時は甘甘になるのです♡
> 海人はぐずぐずなんですねぇ。イジメたくなる。武蔵がどれだけ頑張ってることか・・・。武蔵も健気なんですよぉ。
>
> さて、北方 謙三の『黒龍の柩』おもしろそうです。北方ワールド満載です!!史実に基づきながらも、独創的な発想で今までに無い土方さんに会えまする。司馬遼とは全然違います。まぁ、賛否両論ですが、北方 謙三らしい作品だと思います。なんたって、ハル様の好きな山南さんと、土方さんがとても仲良しで山南さんは清粛で命を落とすのではないのです。あまり書くとネタバレになるので止めますが・・・。物語は池田家事件から始まります。北方 謙三の歴史小説がお好きならオススメですよっ♡゚・*:.。 (→ܫ◕ฺ人◕ฺฺܫ◕ฺ).。.:*・゚♡
>
> では千マイルにお伺いしたしまする(*^_^*)
- #20 † Rin †
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- 2012.02/10 01:18
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ひとに慣れることから‥頑張れっ!海人くんっ
ビクビクするのが気の毒で‥早く慣れて(ニャンコじゃないですけども)
くれるといいんですが。
ひとに慣れなきゃいけないのは辛いですね(T_T)
そういうところを彼、響夜くんは分かっている‥?
もしかして‥。
ただ図々しくて軽いだけじゃない気がします。
響夜くん。
でも雪夜さんのことも気になるし‥いったいどちらが‥ムフフなのかな?^∀^;
そうそう、山南さん!
土方さんと不仲になって‥って理由では大の大人が出て行くわけないですし‥
伊東さんに思想的に影響を受けて新撰組が嫌になった‥
それもどうかと思うし‥
元々土方さんとほんとうに不仲だったのか?
それはどうなんだろう、江戸からの知り合いなのに‥なんて。
ホントに謎ですよね、気になります。
北方謙三さんが土方さんのお話しを?
知りませんでした。
新撰組本と言えば子母澤寛は、司馬遼太郎か
先日も言いましたっけ浅田次郎さんくらいしか知りませんでした。
あと早乙女貢さん?
「黒龍の柩」ですか?タイトルから惹かれますね(^-^)
私も読んでみようかな‥♪
ではではまた参りますm(__)m