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土曜の雨のジンクス

土曜の雨のジンクス63

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バタンとドアが閉まるのをじっと見つめていた。

他に人がいたら不審に思うだろうけど、廊下にはオレ一人しかいなかった。

閉まったドアに大きな息を吐き出してオレはエレベーターへと歩く。とうにチェックオウトした部屋は古いシーツが剥ぎ取られ、ドアの外に無造作に置かれていた。

まるで捨てられたゴミみたいだ…。

でもこのシーツたちは綺麗にクリーニングされてまた新しく使ってもらえる価値がある。オレに価値なんてあるのかな?ないから鷹之は来なかったのかな?

すみれさんとオレを天秤にかければ勝つのはもちろんすみれさんだ。きっとそう言う事なんだろう。最後に少し夢を持ってしまったから、少しいや、ずごく胸が痛いし、声を出して泣いたから喉も痛い。

結局オレはここに何をしに来たのかな?鷹之と会う事はもうないって突きつけられただけだった?

答えなんてわからない。ただ鷹之が来なかったって事だけはわかっていた。

フロントで清算を清ませガラスのドアを開けると、朝は少し晴れ間が見えてたのに黒い雲が太陽を覆うとしていた。そのうち雨が降り出すのは時間の問題だろう。

「やっぱりな…。」

涙はもう出なかった。代わりに出たのは掠れた自分の声だった。

周りは楽しそうな声と雰囲気で溢れているのにオレだけが1人浮いているような気がして同じ場所にいるのが嫌になって、道から少し外れたところに小さなお堂があるのが目に止まり足が自然にそこに向いた。

そこは誰かが手入れをしているのだろう。無人だったが簡素で今のオレを落ち着かせてくれるような場所だった。

小さな賽銭箱の前の階段に腰を降ろし小さく膝を抱えて丸まる。少しでも身体を引っ付けておかないと体温が冷えて行くような気がしたんだ。身体じゃない、心の体温…。

諦めていた。そう諦めていたはずなのに、呼ばれて浮かれていた自分がいた。だから罰が下ったんだ。恋愛の神様が罰を下した。相手のいる人間に邪な考えだけで身体を繋げていた行為への罰だ。

静かなそこは誰が訪れる事も無く、今のオレにはそれがありがたかった。


自分の部屋に帰ればいいだけの事なのに、今はその無機質な部屋に一人でいると思うだけで辛かった。

誰もいない緑の自然の風の中で、静かな空気の流れるお堂の傍で心を休めておきたい。

それだけ心が悲しんでるだな、本当に鷹之の事好きだったんだな、オレってやっぱりダメだよななんて思いながらも自然の風が優しくオレのそばを吹き抜けていくだけで少し救われる気がしていた。

その内、地面がぽつぽつと破門のように濡れて行き、あっという間にサーという雨音が包んだ。

「はっ。やっぱりこんな土曜日は雨かよ。」

自虐的に笑いがこぼれて両足を抱えたまま空を見上げる。

薄黒くなっていた雲はいつの間にか全体がその色に染まり、雨が降り続けるであろうことがわかった。それでもオレはそこを動けずにいた。

一応お堂の屋根が傘の代わりをしてくれていたけど、雨は四方から振り続けるから、少しずつ身体は湿って行くように濡れだしていた。

「土曜日でこの雨だって事はやっぱりこれでお別れって事だよな。母さんの時や、高校の時の時のように…。」


それ以外にも良くしてくれた上司との別れや、同僚との別れ、多分好きになろうとしていた人たちとの別れも圧倒的に土曜の雨の日が多かったのだけれど、母親と鷹之との別れが忘れられれないほど、辛くて悲しくて身を切られるような痛みだった。

わかってたとはいえ、同じ相手に2回は母親の時以上に辛い。いや、母親との別れはもう自分の中でのケリはつけた。思い出してかすかに胸が痛むけれど、母親の気持ちが少しはわかる事も出来るようになっていたんだ。

でも鷹之の事は別だ。肉親じゃない。血が繋がっているわけじゃない。

本当に好きな人だから自分の身が二つに引き裂かれるように痛い。

高校の時は自分を傷つける事で逃げて、征一郎さんや遥斗さんと出会えた事で二人に甘えて5年かけて傷を治したつもりだった。

そして今、大人になって同じように別れを経験して、ちっとも傷が治っていなかった事に気が付く。例えていうなら傷にかさぶたが出来ていただけ。それがはがれてそこから痛みをともなって、赤い心の雨が降り出したんだ。

涙なのか雨なのかはわからないけど、心の中は赤い雨が降っているのがわかる。

それでも鷹之が好きな気持ちは変わらない。だから余計に赤い雨が降るんだ。

バカだよな。見込みなんてないんだから他の人を好きになれればいいのにそれが出来ない。5年たっても出来ないのにこの先出来る事なんてないだろうと思う。

きっと出来るよって自分に言い聞かせても、鷹之が好きだから出来ないよって言い返してる時点でアウトだろう。

鷹之はどこまでオレの心をさらっていくのかな。高校の時に逃げずに聞いてればここまで引きずる事も無かったのかな?もう今更だけどな…

身体も心もすっかり冷え切って温かい物が欲しくなった。

人間って案外強いものなんだと苦笑しながら、その場を立ち上がる。

お堂に向けて一礼してからシトシトと降る雨の中を歩いた。

どこか自販機で温かい飲み物が売ってないかと思ったんだ。

こんなに身体が濡れていては店に入るには迷惑だろう。それに入ったところで休まる気はしない。

暖かい場所に行きたいわけじゃなかった。ただ温かい飲み物が飲みたかっただけ。

冬の雨じゃないし、シトシトと振る雨だから思ったよりも冷たいとは思わなかった時点で少し熱が出ていたのかもしれない。

昨日は何も食べず、ロクに寝れずで長い間雨に濡れていたのだから当たり前だと言えば当たり前かと思いながら、自販機を探しながら歩く。そんな時に限って見つからない。あったと思っても冷たい飲み物しかなかったりで温か飲み物にさえ見放さたようだ。

どれくらい歩いたのか気が付けば鷹之の店の近くで、知らない内に自分の足がこっちに向いて歩いていた事に気が付いて、もう何度としたかわからない苦笑いが零れる。

オレしつこ過ぎだろ。

会うつもりなど考えてもいなかった。自然に足が向いてしまっただけだ。

そのまま歩けば鷹之の店の方に向ってしまう。

未練たらしい自分を見られることだけは少しだけ残っているなけなしのプライドが止めろと言ってくれて、何とか足を自分の住むマンションの方向に向ける。

振り向いちゃダメだ。

そう思いながらなかなか進まない足を動かして歩く。もう温かい飲み物なんてどうでもいい。早く家に帰ろう。

足が進まないのは熱が高くなってきたせいもあるのだろう。フラフラと歩いているのが自分でもわかった。

でも少しでも早くこの場所から離れなくてはと歩いてた時にかすかに何かが聞こえた気がした。

自分を呼ぶ声。

幻聴を聞くほど熱が高いのか、鷹之に傍に居て欲しいと言う願望なのか、それが鷹之の声に聞こえて振り返る。

もちろんそこには誰もいなくてシトシトと雨が白くけぶるだけ…。

鷹之がオレを呼ぶわけないのにバカだな。

そう思って歩き出そうとした時だった。

真っ直ぐ立っていたはずの身体が横に傾いて行くのがわかった。バランスを崩してるのはわかるのに、それを戻す事が出来ずに踏ん張る事が出来なくて横に会った壁にとっさに手をついてズルズルと身体が沈んだ。

「明日叶‼」

又、幻聴が聞こえて、今回はヤケにリアルに近くで聞こえると少し口元が緩む。

幻聴でも鷹之の声が聞こえて嬉しいと思うなんてオレってどんだけなんだよ。

「明日叶、大丈夫か。」

次の瞬間それが幻聴じゃなかった事がわかった。



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