スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←土曜の雨のジンクス63 →土曜の雨のジンクス65
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png ご挨拶
もくじ  3kaku_s_L.png 貴方の腕の中で
総もくじ  3kaku_s_L.png キミと空とネコと
もくじ  3kaku_s_L.png S.S
もくじ  3kaku_s_L.png イラスト
もくじ  3kaku_s_L.png 頂きもの☆
もくじ  3kaku_s_L.png 雑記
総もくじ  3kaku_s_L.png 新撰組物語
  • [土曜の雨のジンクス63]へ
  • [土曜の雨のジンクス65]へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

土曜の雨のジンクス

土曜の雨のジンクス64

 ←土曜の雨のジンクス63 →土曜の雨のジンクス65

壁に身体を持たせて崩れ落ちたオレの腕を掴む誰かの温もりを感じた。

冷え切っていた身体に浸みこむように温もりが伝わる。

「明日叶、大丈夫か?」

聞き慣れてしまった大人になった落ち着いた声。

明日叶って…今オレの事明日叶って言った?

俯いていた顔を上げて声の主を確認する。

確認するまでもないんだけどその声が聞こえる事が、腕を掴む確かな温もりが、オレの好きな人だって信じられなかった。

昨日ホテルに来なかったのにどうして?どうしてここに鷹之が?

疑いながらも顔を上げるとやっぱりそこに居たのは鷹之で、どう反応すればいいのかわからなくて何も言えずに鷹之を見ていた。

「立てるか?」

鷹之に身体を支えてもらいながら立ち上がる。

少しフラっとしたけど倒れないように鷹之が支えてくれたから倒れずにすんだ。

「あ…りがとう…。大丈夫だから。」

鷹之に腕を掴まれている事が嬉しいけど、それを喜んじゃいけないと手を離そうとすると強く掴み返されてしまう。

「あの…菅沼さん?」

「このままじゃ本当に風邪をひくから。」

オレが歩ける事を確認すると掴んだ腕を引っ張って歩き出す。

「え?ちょっと待って菅沼さん。」

「鷹之だ。」

鷹之と呼べという事だろうか?

身体を繋げるときには呼んでいたけど、そうでない時は名前で呼んでいた。それが当たり前なのに何で鷹之って呼ばさせる必要があるんだろう?

オレは鷹之と呼ぶ事も出来ず、鷹之もそれ以上は何も言わずただ雨の中を歩く。

鷹之も雨に濡れていたけどオレほど濡れているわけではなかった。

どうなっているのかわからなくて頭が朦朧とする。

どうして鷹之はオレの体調を気遣い、腕を掴んだまま離さずに歩くんだろう。

どうしてオレは鷹之に抗う事もなく付いて行っているのだろう。

どうして鷹之はオレの名前を知ってるんだろう。今日まで「明日叶」と呼ばれたことはなかったのに…。




気が付くと鷹之の店の前まで来ていた。

嫌だ。鷹之とすみれさんが二人でいるところなんて見たくない。

気が付いたら鷹之の手を思い切り振り払っていた。

店の中になんか入りたくない。

突然振りほどかれた手に驚いた鷹之がオレを振り返るのと同時に反対に走り出そうとして鷹之に背を向けた。

そこから走り出すはずだった。


でも…出来なかった。

鷹之が後ろからオレの身体を抱きしめたから…。

「行くなっ。オレから離れて行くな。」

何を言っているんだ?

何を言いたいんだ?

最後だって言ったのに会いたいと言って来て、そこに来なかったくせに何を言ってる?オレをどうしたいって言うんだ。



「鷹之はオレに何をしたいんだよっ‼勝手な事ばかり言うなっ‼」



大きな声を出したからか、もう身体が極限まで疲れていたのか。

オレの身体からクニャリと力が抜けてしまい膝から崩れる。立っていられなかった。

「危ないっ。明日叶っ。おいっ明日叶しっかりしろ‼」

そのままオレは鷹之の腕の中で意識を失った。







*  *  *




どれくらい眠っていたのかわからない。雨が降っているから暗いのか、遅い時間だから暗いのか…。

濡れていた身体はきっと鷹之が拭いてくれたのだろう。見た事のないパジャマを着せられていた。

鷹之のものにしては少し小さいような気がするけど、それでもオレには少し大きかった。新しい物みたいだから買って来てくれたのか?それならサイズの合うものにしてくれても…と思って、恋人じゃあるまいし、そんな事を考えもしなかったのだろうと思った。

身体が怠くて動く気もしない。ここが鷹之の店のプライベートなスペースだということは目が覚めてすぐにわかった。

このベッドはセミダブルくらいだから客間かなんかだろう。そうだろうと思いたい。鷹之は大きいからセミダブルじゃ狭すぎるからきっとそうだ。そう思わないと辛くて胸の痛みが収まらない。

愛し合っている二人のベッドに寝かされてるなんてオレが惨めすぎるじゃないか。




鷹之は傍には居なかった。きっとオレがまだ寝ていると思っているのだろう。額には熱さましシートが貼ってある。

少し熱っぽい感じもするから本当に風邪をひいてしまったのかもしれないな。

動けない身体でぼーーっと昨日からの事を思い出していた。



鷹之が「会いたい」と遥斗さんに伝えてくれるように言ったからオレは約束のホテルに行ったのに、鷹之は現れる事はなかった。

チェックアウトの時間まで未練たらしく待ってそれでも鷹之は来なくて、降り出した雨の中を歩いて…。気が付いたら鷹之の店の方に足が向いてて、慌ててマンションに帰ろうと方向を変えて温かい飲み物を探しながら歩いて疲れて公園で休んで…。

そうそれでも帰らなくちゃと歩き出したら身体の具合が悪くなってきて倒れそうになった時に鷹之が「明日叶、大丈夫か」って腕を掴んだんだ。

それで鷹之に連れられて気が付いたら鷹之の店の前で中に入るのが嫌で、すみれさんと一緒にいる鷹之を見たくなくて、掴んでいた鷹之の腕を振り払って走り出そうとして抱きしめられて、鷹之に怒鳴って気を失ったんだ。



頭の中で鷹之に呼ばれた「明日叶」という響きが繰り返される。

とても優しい呼び方だった。きっとそう思いたい自分の願望だろうけど、思いがけず聞いたオレの名前を呼ぶ鷹之の声が心を揺さぶる。

自分の事がバレてしまった事で酷く気まずい思いもしてるのだけど、鷹之に「明日叶」って呼ばれたことが嬉しかったんだ。

ずっと、ずっと大人になった鷹之の声で呼んで欲しかったから…。

オレだって気が付かないで欲しいのと同じくらい、本当は気が付いて欲しかったんだ。

いまさら気づくなんて本当にオレってバカだ。どうしようもない。

気が付いて欲しかったから、毎週抱かれるためにあのホテルに行ってたんだ。

SEXして、オレだと思い出して欲しかった。少しでも肌を合わせていれば思い出してくれるかもしれないと思ってたんだ。



『明日叶だって気が付いて‼』



いつもそう思っていた。諦めながら、それでもどこかで気が付いて欲しいと思っていた。




「明日叶気が付いたのか?」



ランキングに参加しています。ポチッと押してくだされば嬉しいです。拍手とポチをいつもありがとうございます・:*(〃・ェ・〃人)*:・ 感謝です(ஐ╹◡╹)ノ

人気ブログランキングへ

にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
にほんブログ村

関連記事
スポンサーサイト


もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png ご挨拶
もくじ  3kaku_s_L.png 貴方の腕の中で
総もくじ  3kaku_s_L.png キミと空とネコと
もくじ  3kaku_s_L.png S.S
もくじ  3kaku_s_L.png イラスト
もくじ  3kaku_s_L.png 頂きもの☆
もくじ  3kaku_s_L.png 雑記
総もくじ  3kaku_s_L.png 新撰組物語
  • [土曜の雨のジンクス63]へ
  • [土曜の雨のジンクス65]へ

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • [土曜の雨のジンクス63]へ
  • [土曜の雨のジンクス65]へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。