スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←土曜の雨のジンクス67 →土曜の雨のジンクス69
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png ご挨拶
もくじ  3kaku_s_L.png 貴方の腕の中で
総もくじ  3kaku_s_L.png キミと空とネコと
もくじ  3kaku_s_L.png S.S
もくじ  3kaku_s_L.png イラスト
もくじ  3kaku_s_L.png 頂きもの☆
もくじ  3kaku_s_L.png 雑記
総もくじ  3kaku_s_L.png 新撰組物語
  • [土曜の雨のジンクス67]へ
  • [土曜の雨のジンクス69]へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

土曜の雨のジンクス

土曜の雨のジンクス68

 ←土曜の雨のジンクス67 →土曜の雨のジンクス69


「ちゃんと全部食べたか?」

鷹之がドアを開けて顔を覗かせる。

店をしているからだろう、白いシャツにGパンの上から黒いエプロンをかけている。

清潔そうな白いシャツが高校の時のカッターシャツを思い出させた。いつもそのシャツが眩しく思えたものだった。

今よりは劣るけど、高校の時も鷹之は男らしい体躯でその白いシャツがよく似合っていた。

身体の華奢なオレが着ているのとは全然違って見えたものだ。

「明日叶?」

鷹之がためらいもなくオレの名前を呼ぶ。濡れたオレを見つけた時からずっと鷹之はオレの事を「明日叶」と呼んでる事に気が付いているのだろうか?

「名前…。」

「伊藤 明日叶だろう。」

「そうだけど…。どうしてわかった。今のオレと…高校の時のオレは…全然違う。見た目も中身も…。」

「同じだ。お前は明日叶だ。」

「違うよ。鷹之は誤解してる。それにそんな事を言ってるんじゃない。どうして名前がわかったか聞いてる。」

「……。」

しばしの沈黙が訪れる。鷹之は顔を俯かせて何も言わないから、オレはどうして名前がわかったのか考えて見る。

「そうか、遥斗さんから聞いた?」

「違う…。」

そうだろうな。征一郎さんも遥斗さんも絶対にオレの名前は言わない。鷹之と別れた事で荒れていたオレを知ってるから、その本人にオレに断りもなく言う事はない。

「ああ、鈴城さんだ。」

毎日ここのコーヒーを飲みに来ていると言っていたから何気なくオレの名前を言ってしまってるかもしれない。最初に下の名前では呼ばないように頼んでるけど、気が付かずに行ったかもしれないと思った。

「違う。」

「じゃあどうして?」

「…外見だけあの頃とは変えてもオレにはわかる。嫌、違うな。正直、最初はわからなかった。あまりにもお前があの頃とは違ってたから。」


そうか。やっぱり最初はわかってなかったんだ。

その時に下から鷹之を呼ぶ声がした。すみれさんじゃなかったけど…。

「すまん。バイトが呼んでるからちょっと店に行って来る。話は少し待ってくれ。ランチが終わったらバイトに任せられるから。」

そうだ。鷹之は仕事中だった。こんな話よりも仕事の方が大事だ。

「オレの事は気にしないで仕事に戻ってくれ。」

「気にしないわけないだろう。でも今は仕方ない。明日叶には悪いが…。昼にちゃんと話しよう。」

そう言って鷹之は薬を飲んでいる事を確認してから食器を持って下に降りて行った。



征一郎さんでもない、遥斗さんでも鈴城さんでもなかったら誰がオレの名前を鷹之に教えたのだろう?鷹之は最初はオレに気が付いていなかったと言った。という事は途中で気が付いたって事だ。オレには誰かに聞いたとしか思えなくて誰だろうと考えるけど、その3人以外でオレの下の名前をちゃんと覚えていて鷹之と共通する人物は思い当たらなかった。



鷹之は忙しいだろうにオレに昼食を持って来てくれた。顔色を確認し、ちゃんと薬を飲むようにだけ言って降りて行った。そんなに忙しいのならオレの事はほっといていいのに…。だた寝てるだけなんだからそんなに食欲もわかない。

そう思いながらも鷹之の持って来てくれた昼食を見ると食べたくなるんだから不思議だ。

昼食はうどんだった。朝食の雑炊を全部食べれたから、少し重めになってる。

「もうだいぶいいのに。いつまでも病人扱いだな。」

薬が効いたのか、もう熱もないようだし自分では元気だと思うけど、鷹之はオレを病人にどうしてもしておきたいらしい。

うどんの中には朝と同じように野菜がたくさん入っていた。うどんの横には小さな炊き込みご飯のおにぎりも2つ付いていた。デザートはあのプリン。

「どこまでも病人で子供扱いだ。」

そう言いながら自分の頬が緩んでいるのに気が付いている。それに知らないふりをして鷹之の作ってくれたうどんをすする。

「おいしい…。」

少し薄めの味付けが嬉しい。小さな炊き込みご飯のおにぎりもおいしくて、食欲がないと思っていたけど全部食べてしまった。

もちろんあのプリンも…。

その後、ちゃんと飲むように言われた薬を飲む。苦いはずの薬だけど3回目だからか、鷹之の料理に満足したからかそれほど苦いとも思わずに飲めた。

食器を横に置いて横になる。オレが出来る事と言ったらトイレに行く事、食べる事、寝る事ぐらいだから。

しばらくすると薬が効いて来て眠くなる。風邪薬は眠くなってしまうからいけないんだと思いながらも、考えても答えが出ない事を考えているよりはいいかと眠気に逆らう事なく目を閉じた。

それからどれくらいしたのか、冷たい手がオレの額や頬に振れているのに気が付いて眠りから意識が浮上し始める。

瞼がビクビクと動いたのに気が付いたのかその手がなくなって寂しいと思いながら目を開けると、鷹之が傍に座っていた。エプロンは外しているからランチタイムは終わっているのだろう。

「どうだ?」

「もう大丈夫だ。色々と迷惑をかけてごめん。…ありがとう。」

そう言うと鷹之は目を眇めてオレを見る。

「そう言うところはあの頃と変わってないな。」

「え?」

「ちゃんと素直に『ごめん』と『ありがとう』が言えるところ。」

「そんな事ない。オレはちっとも素直なんかじゃないし、あの頃とは違う。」

そう何も知らなかった高校生の頃とは違うのだ。心も身体も…。

オレは汚れてる。

「いや、明日叶はちっともあの頃と違わない。」

「オレの事、気が付かなかったくせに、この5年間のオレを知らなくせにそんな事言うなっ‼」

もうあの頃とは違う汚れた大人になった自分に「あの頃と変わらない」と言われて声を荒げてしまう。寝ていた姿勢からガバッと状態を起こし鷹之に食って掛かっていた。

「何も知らないくせに…。鷹之と別れてからこの5年間でオレは汚れてるんだ。あの頃とは違う。鷹之は知らないからそんな事を言うんだ。この5年間のオレを知れば違う事に気が付くし、今みたいには思えなくなる。この5年間のオレがどうだったか教えてやるよ。」

鷹之がいつまでも高校生のオレのままでオレを見ているのが苦しかった。どうなってもいい。どうせ鷹之とこのままいられる事はない。

いつかは別れがあの時と同じように来る。

鷹之にはすみれさんがいるから、オレに未来はない。

いつでも鷹之に対してオレには未来などない。

鷹之の中のオレを壊せば、鷹之は傷つくだろうか?自分の中の傷として鷹之の中に少しはオレは存在している事ができるのだろうか?

そう思うと傷でも残りたいと思う自分がいて、鷹之に自分の5年間を全部吐露していた。鷹之を好きだという事以外は…。






ランキングに参加しています。ポチッと押してくだされば嬉しいです。拍手とポチをいつもありがとうございます・:*(〃・ェ・〃人)*:・ 感謝です(ஐ╹◡╹)ノ

人気ブログランキングへ

にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
にほんブログ村
関連記事
スポンサーサイト


もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png ご挨拶
もくじ  3kaku_s_L.png 貴方の腕の中で
総もくじ  3kaku_s_L.png キミと空とネコと
もくじ  3kaku_s_L.png S.S
もくじ  3kaku_s_L.png イラスト
もくじ  3kaku_s_L.png 頂きもの☆
もくじ  3kaku_s_L.png 雑記
総もくじ  3kaku_s_L.png 新撰組物語
  • [土曜の雨のジンクス67]へ
  • [土曜の雨のジンクス69]へ

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • [土曜の雨のジンクス67]へ
  • [土曜の雨のジンクス69]へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。