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土曜の雨のジンクス

土曜の雨のジンクス78

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お互いの気持ちを確かめ合った日から、オレは鷹之の家に半同棲状態になった。

鷹之に「家に来い」と言われるとどうしても断れない。というよりもそう言ってもらわないと鷹之の家に行けない。どこかでまだ自分が鷹之に相応しいと思えない部分がある。鷹之はそれをわかっていて臆病なオレが逃げ出してしまわないように言ってくれているのだ。

どこまでも優しくてオレの事をわかってくれる。オレはその鷹之の好意に甘えている。もう少し自分に自信がつくまで甘えさせてくれと心の中で言っている事さえわかってくれているのかもしれないと思う。

一緒に一つのベッドで寝る事も日常化している。でもまだ身体は繫げていない。もちろん鷹之と一つになりたいとは思うのだけれど、ただ傍に居る。体温を近くに感じる。抱きしめられて眠る。そんな事で今のオレは満ち足りて幸せを感じているんだ。今までが身体を繋げることしかしてなかったからかもしれない。心を繫げる事が不足していたから今それを補っているのかもしれない。

鷹之はそんなオレに付き合ってくれて求めてきたりはしなかった。

一つ一つ昔の思い出を上書きしてそのたびに心がまた満たされて、ますます鷹之が好きになる。鷹之もそうだったらいいのになと思う。

初めて二人で見た映画を借りて来て見たり、鷹之が昔作ってくれた料理をいろいろと食べたり、そんな他愛無い事がオレの心を満たしてくれた。

「明日叶、実家には帰らないのか?」

そう。この街ではあの当時の事を再現して上書きして来た。でも飛び出して来たあの街へは二人で行ってなかった。

「帰らないわけじゃないけど…。どうせ帰っても誰もいない家だけだし…。」

そうあの街にあるのは誰も居なくなった家だけ。鷹之の家もこっちに引っ越してきていてあの街にはないし、帰る必要は鷹之に言われるまで感じていなかった。

「この週末、二人で帰らないか?」

「え?」

「一人でなら行くのも嫌かもしれないけど、日帰り旅行みたいな感じでさ。」

「別にいいけど。」

「じゃあ決まりな。」

正直言えばあまり気乗りしないけど、鷹之と日帰り旅行だと思えば楽しいかもしれない。

鷹之と別れたあの街がオレの自信のなさにつながるなんてこの時は思いもしていなかった。それを感じていた鷹之がオレがオレで有るためにそこからやり直させようと思っていた事もその時は知らなかった。



そして週末、鷹之の運転する車であの街に戻った。

オレの実家はやっぱり誰も居なくて、しばらく誰も済んでいない家は空気が澱んでいて暗い雰囲気がした。

鍵を開けてその嫌な空気を感じて動けなくなったオレを追い越して鷹之が先に中に入ると家中の窓を次々と開けていく。

その窓から風が吹いて開けっ放しの玄関へと吹き抜け、澱んだ空気を払っていく。

家が息を吹き返したような気がした。鷹之は2階も同じように窓を開け放ちオレの前に立つと笑顔を向ける。

「明日叶の家だろ。ちょっと掃除しようか。」

オレがいた時と物の置き場所は変わっていないみたいで、勝手知ったるの鷹之は掃除機やら雑巾、バケツを出してくる。電気や水なんて止まってるだろうと思っていたけど、ちゃんと電気も通っているし、水も出た。試しにガスをつけて見るとこれもちゃんとついた。

「明日叶のお父さん、ちゃんと支払してるんだな。きっと明日叶がいつ帰って来てもいいようにと思ってじゃないか?」

オレがいつ帰って来てもいいように?自分はもう帰って来ないって言ってた。なのにいつ帰るかわからないオレの為に支払い続けてた?

「知らなかった…。もう愛想つかされてるとばかり思ってた。あの人何も言わないから…。」

「言えなかったんだろ。あの頃は明日叶のお父さんの事、明日叶と同じように思ってたけど、不器用なだけなんじゃないか?思っている事をちゃんと伝えられないんだよ。きっと。明日叶も言わないから言えなくなっちゃったのかもしれない。歩み寄ろうとしてたけど、あの頃は子供すぎてオレたちにはわからなかった。でも今なら明日叶もわかるんじゃないか?」

あの頃、何度もオレに何か言いたそうに口を開こうとして、結局それをつぐんでしまった父さんの顔が思い浮かぶ。あの時は鷹之がいればいいと思っていた。父さんとわかりあえるとは思えなかったし、オレを持て余して困ってるだけだろうと思ってたから、歩み寄ろうとしてたなんて思いもしなかった。

「そうなのかな。」

「明日叶、お前は愛されていたと思うぞ。オレもそれに気が付けた。すみれのおかげだけどな。明日叶も本当はお父さんの事好きだろう。一緒に18年間暮らしてたんだ。すれ違う事はあったけど求めていたんじゃないのか。父親を…。」

「そうかもしれない。母さんがいなくなって、仕事をセーブしてくれてオレとの時間を作ってくれて嬉しかったのに、それを素直に言えなかった。甘える事が出来なかった。すれ違って、また仕事に明け暮れだした時に本当は淋しかったんだ。それも口に出す事は出来なかった。あんたなんかいなくていいって憎まれ口を言ってたけどそれはいて欲しいの裏返しだったのかもしれない。今頃になって気が付くなんてな。」

「今頃なんかじゃない。今からだってやり直せるだろ。血の繋がった親子なんだから。今度は明日叶から歩み寄ってやれよ。きっと待ってるって。」

「そうかな。」

「そうだよ。オレも傍についててやるし、一度電話でもしてみたら?」

「うん。この家を綺麗にしたら電話してみようかな。」

「よし、じゃあ掃除するぞ。」

そう言って二人で家中を掃除した。

何年も使ってない家は埃も酷くて掃除h大変だったけど、二人ですると、それさえ楽しく感じた。何時間もかけて綺麗にした家は澱んだ空気もなく、明るく気持ちの良い空間に変わっていた。

「鷹之と喧嘩して、マンションにも帰りたくなくなってここに帰って来るかもしれないな。なんか嫌いだと思ってたけどオレ、この家好きだ。」

「喧嘩はしたくないけど、明日叶の居場所が増えるのは良い事だな。でもあんまりうろつくなよ。明日叶を好きだった奴、案外多いんだぞ。男も女もだ。オレがいたから傍に寄って来なかっただけでオレが知ってるだけでも両手でも足りないくらいだ。」

「またそんな事を言う。そんな奴いないって。口で言ってるだけ。それなら鷹之の方が多いだろ。」

「オレに言い寄ってくる奴はオレじゃなくてもいいんだよ。あの頃はちょっと目立ってたから言い寄って来てたんだろうよ。」

「目立ってた自覚あるんだ。」

「ああ。だから興味本位の奴はすぐにわかった。自覚のない明日叶と違ってな。」

「はいはい。もういいって。鷹之先に風呂入って埃落として来いよ。何か着換え探しとくから。」

「持って来てる。きっと何年も住んでなかったから掃除しないとけないだろうなって思ってたからな。」

本当によく気の回るやつだ。

鷹之は車から着換えを出してくると風呂に入りに行った。

オレは着替えを探しに2階の自分の部屋に入る。

あの頃のままの部屋。何も変わらない。物の置き場所もそのままで…。オレがいなくなってからも誰もこの部屋を使ってないんだと知る。父さんはこの家に一人で寂しかったのかもしれない。



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