スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←土曜の雨のジンクス79 →土曜の雨のジンクス81(R15)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png ご挨拶
もくじ  3kaku_s_L.png 貴方の腕の中で
総もくじ  3kaku_s_L.png キミと空とネコと
もくじ  3kaku_s_L.png S.S
もくじ  3kaku_s_L.png イラスト
もくじ  3kaku_s_L.png 頂きもの☆
もくじ  3kaku_s_L.png 雑記
総もくじ  3kaku_s_L.png 新撰組物語
  • [土曜の雨のジンクス79]へ
  • [土曜の雨のジンクス81(R15)]へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

土曜の雨のジンクス

土曜の雨のジンクス80

 ←土曜の雨のジンクス79 →土曜の雨のジンクス81(R15)

「見学出来ませんか?」って、何を言い出すんだと思った。卒業生でもアポもなしに簡単に入れてくれるわけはない。最近は物騒な事件が多いから例え高校でも厳しくしていると聞いた事がある。なのにそれは簡単に叶った。

「あ、菅沼じゃないか。」

「そうですけど見てないのに何でわかったんですか?」

「校門の上にカメラついてるんだよ。高木だ。」

「あ、高木先生。まだここに勤めてたんですか?」

「失礼な奴だな。今はここの教頭になったんだよ。」

「へえ。すごい出世じゃないですか。」

「まあな。あれ?お前の後ろにいるのは伊藤か?お前ら相変わらず仲がいいんだな。」

「ええ。久しぶりにこっちに来たんで高校に寄ってみようかって話になって突然来ちゃいました。学校の中、見学させてもらってもいいですか?」

「ああ。本当ならダメだと言うところだが、お前らなら特別に許してやるよ。職員室に来い。懐かしい顔を見せてくれ。」

「明日叶行くぞ。まずは高木先生に挨拶だ。」

「ああ。」

入口で来客者用の履物に履き替えると職員室に向う。

学校の中の入ると、5年前に戻ったような気分になる。学生に戻ったみたいで何だか恥ずかしいのはオレだけみたいだけど…。

職員室に入ると、高木先生が笑顔でオレたちを迎え入れてくれ、先生が入れてくれたコーヒーを飲みながら今は何してるだとか、あいつはどうなったとかしばらく昔話で盛り上がった。

20分程話をしていたが、先生も忙しいらしく「中は勝手に見て良い」と言うとどこかに行ってしまった。

職員室を出て校内を二人で散策する。

いろいろな教室を回って、その当時の思い出を話しながら歩く。まるで5年前がそこによみがえったかのような錯覚を起こす。鷹之もあの頃に戻っているような気分になっているようで、話す顔が少し少年のように見えて眩しく思う。

「こうしてると5年も経ってるとは思えないな。明日叶もあの頃みたいに見える。」

「そうだな。オレにも鷹之があの頃みたいに見えるよ。」

そう言って照れくさくなって二人でごまかすかのように笑った。

すれ違う学生が誰だ?って顔していたけど何も言わずにすれ違っていく。

週末で学校は休みだけど、クラブ活動はあるらしく、ブラスバンドの楽器の音や、野球部の玉を打つ音、掛け声が良く聞こえる。

高木先生が他の先生にも見学者がいる事を言ってくれたのか、他の先生に会っても咎められる事はなかった。

最後に校舎の裏にたどり着いた。sこはさっきまでの喧騒がうそのように誰も居なくて静かだった。

卒業式の日、鷹之が女の子と抱き合って「好きだ」と言ってたことを思い出して、少し苦い気分になる。勘違いだったけど、その時は本当に傷ついた事を思い出して顔が歪んだ。

「ここだよな。」

鷹之が女の子を抱きしめていた木の傍に立つと、ますます胸が痛くなり、涙が込み上げそうになる。あの時もオレはここでそれを見ていたんだ。

誤解だってわかったから気にはしてないつもりだったけど、オレはまだ傷ついたままだったらしい。その当時のオレに今の自分がだぶってしまっていた。

「明日叶こっちに来い。」

そう言われても足が動かない。行きたくないと身体が拒否しているのだ。

行けないと頭を横に振る。

誤解だとわかってても、自分の為にそうしたのだとしても鷹之の事を許せていないのだと気が付いた。どうして一人で抱え込まずに自分に相談してくれなかったのかと言う思いが渦巻いているのだ。

自分勝手な思いだと頭ではわかっている。鷹之はオレを傷つけたくなくてそうしたんだともわかってる。オレを愛してくれている事もわかってる。なのに許せないと思う自分がとても嫌だ。

自分は誤解したままさんざん汚れた行為を繰り返した事なんて棚上げにしてる。鷹之よりもオレの方がよっぽど汚れてるのに。

でも好きな人が他の人に好きだと抱きしめている場面を見てしまった事は深い傷となっている。鷹之はオレがそんな事をしている場面を見たわけではないのだから、この気持ちはわからないだろう。

その場から動けずに、唇を噛んでいるオレに業を煮やしたのか鷹之が傍に来てオレの手を取ると強引にその場所に連れて行く。

「嫌だっ。離せっ。嫌だって言ってるっ‼」

あの手から逃れようとするけど、鷹之の力は強くて掴まれている手が痛かった。手が痛いのと心が痛いのがないまぜになり涙が零れた。こんな女々しい自分も嫌だ。

「離せよっ‼」

「好きだ。」

暴れていた身体をぎゅっと抱きしめられながら言われて身体がビクンと震えた。

「何度でも言うよ。好きだ。」

それはあの日、鷹之が女の子に向って言った言葉。

「明日叶しか好きじゃない。明日叶しか愛せない。この先ずっとオレには明日叶しかいない。あの日行った言葉は明日叶に言ってるつもりで言った。明日叶にしか言いたくない言葉だった。明日叶が好きだからその言葉が真実味を帯びて明日叶に誤解を招いたのなら何にもならないよな。だからこの場所でもう一度明日叶に言いたかったんだ。あの言葉は明日叶のものだよ。信じられないかもしれないけど…。」

涙が次々と零れて言葉が紡げない。だから言葉のかわりに頭をぶんぶんと横に振った。

自分でも単純だとは思うけど、鷹之の言葉がストンと胸に落ちて来て、許せないと思ってた気持ちなんて無くなってしまった。鷹之が嘘をつくなんて思えない。鷹之のいう事は言い訳だとも思わなかったし、口から出ただけとも思わなかった。

「明日叶本当に好きなんだ。5年前よりもずっと。5年前の明日叶も好きだったけど今の明日叶が好きだ。今の明日叶がいい。オレを許してくれる?」

「オ、オレの方が許してもらわないといけないよ。オレ、いっぱい汚れちゃってるけどいいの?鷹之だったら他にもたくさん好きだと言ってくれる人も相応しい人もいるよ。5年前の事を許したつもりで許せてなかった小さなオレじゃなくても…。」

「明日叶はオレの事嫌い?もう好きじゃない?」

「そんなわけない。鷹之が好き。5年前よりも好きだ。」

「なら両想いだな。明日叶と気持ちをすり合わせてても何だかどこかでちゃんと寄り添ってない気がしてたんだ。明日叶の中に何かわだかまりがあると思ってた。明日叶は自覚してなかったみたいだけどな。で、考えてた。ずっと。ずっと考えてこの事じゃないかと思ったんだ。明日叶以外のそれも女に好きだと言ってた場面を明日叶は見てしまった。例えそれが誤解だったとしても、頭で割り切ってても心は割りきれないんじゃないかって。」

「鷹之…。」

「オレも明日叶が何人とも関係を持ったって聞いて嫉妬しないわけじゃないけど、オレはその場面を見たわけでも相手を知ってるわけでもないから許せないとは思わないんだ。抱いた奴に腹は立つけどな。」

「ごめん。」

「明日叶を責めてるわけじゃない。明日叶はオレを許してくれる?」

「許すに決まってる。ごめん。オレ、今日ここに来るまで自分があの日の事を許せてないなんて思ってなかった。でも鷹之がオレにあの日と同じ様に言ってくれて、あの日が上書きされた。」

「良かった。あの日もあの言葉は明日叶に言ったんだからな。」

「うん。信じるよ。」


ランキングに参加しています。ポチッと押してくだされば嬉しいです。拍手とポチをいつもありがとうございます・:*(〃・ェ・〃人)*:・ 感謝です(ஐ╹◡╹)ノ

人気ブログランキングへ

にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
にほんブログ村
関連記事
スポンサーサイト


もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png ご挨拶
もくじ  3kaku_s_L.png 貴方の腕の中で
総もくじ  3kaku_s_L.png キミと空とネコと
もくじ  3kaku_s_L.png S.S
もくじ  3kaku_s_L.png イラスト
もくじ  3kaku_s_L.png 頂きもの☆
もくじ  3kaku_s_L.png 雑記
総もくじ  3kaku_s_L.png 新撰組物語
  • [土曜の雨のジンクス79]へ
  • [土曜の雨のジンクス81(R15)]へ

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • [土曜の雨のジンクス79]へ
  • [土曜の雨のジンクス81(R15)]へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。