キミと空とネコと
キミと空とネコと2
「高瀬さん、またご飯残してましたね。」
看護士さんがため息をつきながら言う。
「頑張って食べてるんですけど・・・。」
「体力付けて頂かないと、傷も治りませんよ。」
「そうですね。早く退院したいからもっと頑張ります。」
そう告げると安心したのか看護士は病室から出て行った。
見舞いに来る友ダチや家族もいない。
実家には一人暮らしを始めてからは殆ど帰っていない。
会いたいとも思わない。
実家に帰って気を使うのが嫌だった。
友ダチより、アイツのことを優先していたので、仲の良かった友ダチとも交流が無くなった。
オレはアイツさえいれば良かったから、友ダチなんて必要なかった。
食欲なんかない。
入院してから殆ど口にしていなかった。
「これじゃあ、退院許可でないかもしれない・・・。食べた振りして捨てるしかないな・・・。」
傷口はよくなってきてるのに退院許可がでないのは精神的に不安定と見られているようだ。
「元気なフリしないとな・・・。」
子供の頃から「フリ」をするのは得意だった。
そうしないと自分の居場所がなかったから・・・。
実の両親でありながら、オレの両親は妹と弟ばかりを可愛がった。
オレは両親の顔色を伺い、どんなことでも「平気だよ」って笑顔を作るコトで自分の居場所をなんとか確保していた。
笑顔の仮面をかぶって自分の心を守っていた。
アイツと出会うまで、オレは笑顔のフリをして生きてきたんだ。
心からの笑顔なんて忘れていた。どうやったら笑えるのかわからなくなってたんだ。
それを思い出させてくれたのが、アイツだった。
でももう、アイツもいない。
また「フリ」をして生きていくのか・・・。
見上げた空はどんよりとオレの心のように曇っていた・・・。
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