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さよならが言えなくて。

さよならが言えなくて。1

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愛してるからさよならが言えない。

もう嫌なのに…。

その他大勢の中の一人じゃ嫌なのにさよならが言えない。

「愛してる」の言葉を気持ちを乗せて言っても「オレも愛してる」と心のない言葉が返って来るだけ。

心のこもってない「愛してる」はひどく心を傷つけるんだって知ったのは隆也と身体を繫げるようになってから…。

僕の「愛してる」の言葉は隆也に届いているはずなのに、隆也は知らん顔をする。

僕がその他大勢の内の一人だから。

隆也はその言葉をあまりにも聞きすぎたから。

その言葉を信用していないから。

そもそも周りにいる人を信じてないから。

僕にとって大切なその言葉は隆也にとっては意味がない。言葉遊びの一つでしかない。

わかってるのに…。このままずるずると続けてもいつかは飽きられて捨てられるのとわかってるのにさよならが言えない。

隆也を愛してるから…。もう嫌なのに…。

濃い黒がかった藍色の夜空を見上げて樹は呟く。

「隆也愛してる」と…。

届かない言葉だと知りながらも呟かずにいられない。

久しく隆也本人には言ってない言葉。

言っても返って来るのが心のない上辺の「愛してる」だと気が付いてから口にする事はなくなってしまった大切な言葉。

「いつかさよならって僕から言えるのかな?それとも言われちゃうのかな?」

樹の頬がキラリと光る。夜空しか知らない樹の涙は一筋だけ流れた。グシッと手で涙を拭い樹は家に向けて駆け出す。まるで涙が落ちないように、涙なんか出てないんだと言行き貸せるように暗闇の中を走る樹を細い三日月が追いかけていた。



*   *   *


「ポチ、昨日はいつの間に帰ったんだ?」

「僕帰るって隆也に言ったよ。隆也は電話してて手でバイバイってしたじゃないか」

「そうだっけか?もう一回するつもりだったのにポチいなくなってるし、仕方ないから理子呼んだんだぞ」

「別に僕じゃなくても他にも代わりになる人はたくさんいるだろ」

「オレはポチともう一回したかったんだ」

「隆也は勝手だよ。僕にも都合ってもんがあるんだ」

「ふーん。じゃいいや。今日もポチと遊ぶつもりだったけどやめとく。じゃ、またな。気が向いたら電話するわ」

そのまま隆也は振り向きもせずに歩いて行く。怒ってるわけでも呆れているわけでもない。別に樹じゃなくてもいいのだ。そう誰でも…。


「僕の事なんかどうでもいいんだな。やっぱり…」

こんな時は隆也が少し憎らしくなる。でもそんな気持ちも隆也には言えない。そんな事を言ったら即バイバイされちゃうってわかってるから。

隆也とこんな関係になって半年。その間にバイバイされた人を何人も見てきたから同じ轍は踏まないように気を付けてる。そんな打算的な自分の事も嫌いだった。


『ポチ』は隆也が樹につけた呼び名。樹と呼ばれた事はない。もしかしたら隆也は樹の名前を覚えていないかもしれない。ポチと呼ばれる事に最初は抵抗してたけど、樹がいくら抵抗したって隆也は聞き入れてくれなかった。どうでも良い事だから…。抵抗するだけ無駄だと知ってからは好きなように呼ばせている。おかげで大学では樹の事をポチと呼ぶ人間が少なからずいる。誰にどう呼ばれようと気にはしない。でも隆也には本当は名前で呼んで欲しい。きっと無理だとは思うけど…。いつか『樹』って呼んでもらえたらもうそれだけでいいとさえ思っていた。






僕と彼が出会ったのは大学の入学式。

入学式の後、家に帰ろうとして中庭でサークルの勧誘の波に飲み込まれて、入りたくもないテニスサークルに入らされそうになった僕を助けてくれたのが彼だった。

「こいつ入るなんていってないだろう。それともあんたたちは無理やり新入生を入れるのか?それが許されるとでも?」

僕を掴んでいた先輩の腕をひねりあげてすごんだ彼の威圧感に周りが一瞬シーンと静まり返った。

180㎝はあるだろう長身に、ガッシリ筋肉で覆われているわけではないけど、何か運動をしていたと思わせる均整の取れた体躯。それだけでも目を見張ってしまうと言うのに、見上げた顔は意志の強そうな眉に少し吊り上がった一重の目。スッキリとした鼻梁に大きくて少し薄い唇がパーツよく配置され、端正と言う言葉がぴったりで潜めた眉が剣呑な空気を醸し出しているのに目が離せなかった。

怖いと言うよりもその見上げた顔に見惚れてしまったのは僕だけじゃないと思う。

「す、すまなかった。そんなつもりじゃなかったんだ。つい力が入っちゃって…」

腕をひねりあげられた先輩が顔を歪めながら言うと、彼はパッと手を離した。

「もうこんな勧誘しないでもらいたいね。見てて不愉快だ」

「わ、わかった。もうしない」

本当ならやり返したいと思うだろうに彼ははそう思わせない空気を纏っていた。

「やりたいならやるけど?」と反対に挑発するかのように片方の口角をあげて笑う。少し酷薄だとさえ思う表情なのになぜか目が離せなかった。

彼はは先輩の勢いがなくなってしまうともう興味はなくなったと言うようにその場から離れていく。

「ちょっと待って‼」

いつもなら初めて会った人を追いかける事も声をかける事も出来ない僕が、その時は大きな声を出して彼の後を追っていた。必死だった。

彼はは僕の声が聞こえてるはずなのにそのまま歩いて行く。

僕は身長が165センチほどしかない事もあり、前を人ごみにふさがれて先をどんどん歩いて行くその人に追いつけない。彼を見失わまいと必死で人ごみをかき分けてて誰かの足につまづいてこけそうになった。

あ、このままころんじゃうと思ったけど、いつまでたっても地面に叩きつけられる衝撃は来なかった。

恐る恐る目を開けると誰かの腕が僕を支えてくれている。

「す、すいません。ありがとうございます」

「隆也を追いかけてるの?」

「え?」

僕を支えてくれた人も彼とは違うタイプだけど魅力的な顔をした男の人だった。少し茶色がかったクセのある長髪。蕩けるような甘いマスクにくったくのない笑顔はまるで太陽のようだと思った。女の子がため息をついてその人を見ているのが目の端に写る。優しく僕を見る二重の目が何だかいたたまれない気持ちにさせた。

さっきの人はすごくシャープなイメージだけどこの人は柔らかいイメージ。対象的な二人だ。

「隆也の行くところならわかるから連れて行ってあげようか?オレは塚原 智也(ツカハラ トモヤ)君は?」

「あ、僕は野田 樹(ノダ イツキ)です。さっきの人は?」

「ああ、東雲 隆也(シノノメ リュウヤ)だよ。樹も1年だよね」

いきなりの呼び捨てに戸惑ったけど「はい」と頷く。

「こんな可愛い子がいるんだからやっぱり入学式来て良かった。隆也ってば行かないとか言うから無理やり連れてきたんだぜ。樹、オレについておいで。隆也のところに行こう」

人見知りで臆病な僕は友達がなかなか出来ないから、この展開について行けずに立ち尽くしてしまった。

今まで出来た友達は大人しい人ばっかりで、特別親しい人がいるわけではなかった。何となく友達付き合いしてるって感じだったから、この大学に一緒に通う友達はいなかった。

高校を卒業してからも会いたいと思うような友達がいない。その事に気が付いたのは卒業してからで、大学に入って友達が出来るか少し心配していた。

今までこんな目立つ人と話す事もなかったし、関係を持つような事もなかったから、どうしてこんなに親切にしてくれるのかわからないしどうしたらいいのかわからない。「可愛い子」って僕の事なのかな?からかってるのかな?そもそも可愛いって女の子に言う言葉だよね。

おまけに僕は人より少しおっとりしてるのか、周りの人のスピードについて行けないところがあって、今もそう。えと何て言ったっけ?ツカハラさん?ツカハラさんがどんどん前を行ってもついて行く事が出来なかった。一歩出るのが遅れたらいつの間にかツカハラさんはずっと前を歩いてて、さっきのサカイさん?同様に見失ってしまいそうだった。

このまま見失ったらいつまた会えるかわからない。そもそも会えるかどうかもわからないし、こんな地味な僕の事なんてきっと忘れちゃうだろうな。そう思うとはあーと大きなため息が零れる。

その間にもうツカハラさんは見えなくなっていた。

「サカイさんに一言御礼が言いたかったな。」

完全に見えなくなったツカハラさんと彼にまた会うなんて無理だろう。すごく残念だとは思うけど、同じ学部を取っている可能性は低いしこの広いキャンパスの中でたくさんの学生がいる中でまた会う事は難しいだろう。

心の中で彼を思い浮かべ「ありがとうございました」と心の中で言って、今度こそ家に向けて門を出た。


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