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さよならが言えなくて。

さよならが言えなくて。2

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「で、どうだったの?」

キッチンで今日の夕食を一緒に作っていた有紀がレタスをちぎりながら聞いてくる。有紀は僕の2つ下の妹。長い黒髪に黒くて大きな瞳が印象的な女の子だ。兄の僕が言うのもなんだけどすごく可愛いと思う。

今日の夕食は有紀のリクエストでハヤシライスと豆腐とアボガドのカルパッチョにグリーンサラダ。野菜が多めなのはカロリーの取りすぎを気にする女の子らしいメニューだと思う。

豆腐とアボガドのカルパッチョも上にかけるソースには水名やオニオンスライス、ベビーリーフなど野菜がたくさんのっている。


「何が?」

最後の味付けにとバターを入れ、塩で味を調える。少しケチャップを足した方がいいかな。

「もう。入学式に決まってるじゃない。敦兄がついて行くって言ったのに断っちゃって一人で大丈夫だったの?」

敦兄とは6つ上の長兄のことだ。入学式に一緒に行くと会社を休もうとしていたのをなんとかなだめて僕は一人で入学式に臨んだんだ。

「えと、僕はもう大学生だよ。敦兄は仕事があるんだし、入学式ぐらい一人で大丈夫に決まってるだろ」

いつまでたっても僕を子ども扱いする妹に「僕が君の兄だってわかってるよね?」と内心で呟く。まさかとは思うけど、そう思うぐらいに僕は妹に心配されていた。

「あーー。やっぱり私がついて行けばよかった」

「何言ってんの。有紀も学校があるでしょうが。それに高校生が付き添いだなんて笑うに笑えない冗談だよ」

「でも樹はどっかぽや~~~んとしてるし、何かに巻き込まれそうなんだもん」

グリーンサラダをボールで混ぜながらため息混じりに言われると何だか情けない気分になる。

「有紀、樹って呼び捨てにしないでって言ってるだろ。僕は有紀のお兄ちゃんなんだから」

家の中だけじゃなく、外でも樹って呼ぶもんだから兄の威厳も何もあったもんじゃない。昔は「お兄ちゃん」って呼んでたはずなのに、気が付けば「樹」呼ばわりされていた。その時に正さなかった僕がいけないんだろうけどさ。

「う~~~ん。お兄ちゃんだけどお兄ちゃんって思えないんだよね。守ってあげないとって…。樹はただでさえ内気で引っ込み思案だからさ。敦兄や私がいないとダメでしょ。だから「お兄ちゃん」って言うより「樹」って言う方がしっくりくるのよね」

僕が頼りないからか、有紀は16歳という年のわりにしっかりしている。兄の僕がお小言を言われる事が多い。内気で何も言えないところが有紀をイライラさせているのはわかってるんだけど、これは性格だから治そうと思ってもなかなか治るもんじゃない。

「敦兄や有紀がいないとダメって決めつけないでくれる?まあサークルの勧誘で無理やりテニスサークルに入らされそうになったけど…」

ポロッと言ってしまってからしまったと思った。ほれ見た事かとやいやい言われそうだったから言うつもりはなかったのに。

「ほらやっぱり…」

あきれたように見られて要らぬ汗をかく。

「でも助けてくれた人がいたから入らずにすんだよ」

ふと助けてくれたサカイさんを思い出す。すごくカッコよかったよな。女の子ならきっと好きになっちゃうんだろうな。見上げるほど僕より高い身長、潜められた眉から醸し出される剣呑な空気も、見惚れるくらいにかっこよかった。

男ならあんな風になりたいよね。まあ僕には無理だけど…。

「助けてくれた人がいて良かったよ。友達出来そう?」

こころからホッとした顔で見つめられて優しく問われて有紀が僕に持ってくれてる愛情みたいなものを感じる。口ではきつい事を言うけど、それは僕を心配しての事だとわかってる。

「どうかな。まだわかんないな。でも友達作りたいと思うよ。深く付き合える友達…」

「友達出来るといいね」

「うん」

深く付き合える友達を作りたいのは正直な気持ちだった。今までの友人を振り返れば出来るとは言い切れないけど、浅い付き合いの友人しかいなかった事を知っている有紀の「出来るといいね」と言う言葉が胸にささる。

「うん」と頷いたけれど、それが僕にとって酷く難しいもので有る事は有紀にもわかっているのだろう。まあ、高校と違って一人でいても浮く事はあまりないだろうし、友達が絶対にいる必要性もない。友達がいたら代返とかノートの貸し合いとか出来るだろうけど、ちゃんと授業に出れば良い事だし、授業を抜けるなんてそんな大それたこと出来ないしな。最悪一人でもなんとかなると思っていた。

「うん。やっぱり樹の味が一番好き」

お行儀悪くスポーンを手にして一口味見した有紀がはしゃいだ声をあげる。

「ありがと。でもそれ敦兄の前で言うなよ。拗ねるから。」

6年前、突然病気で母さんが亡くなった。父さんは家族の為に一人で単身赴任していて家に殆どいない状態で、敦兄が母さんの代わりになれない家事をしてくれていた。

僕も有紀もそんな敦兄の負担を減らそうと、洗濯や掃除をしていた。火を使う事は敦兄から止められていて、食事は敦兄の仕事だった。それでも敦兄が社会人ともなれば帰る時間も遅くなる事が多くなり、必然的に僕が食事の担当を任されるようになった。

最初は失敗ばかりでめてもらいたい。そして褒めてもらう事がなにより嬉しかった。

友達も上手く作れない僕でも必要だと言ってくれるのは敦兄と有紀だけ。そんな二人に僕が出来る事は限られているから、せめて料理で喜んでもらいたい。そう思いながら毎日食事を作ってる。

有紀に泣かれた事もあったけど、もともとおいしいものを食べるのは好きだし、料理は僕に向いていたようで数をこなしているうちに大抵のものなら作れるようになっていた。大概のメニューはインターネットを検索すればでてくるしね。

何より敦兄や有紀が「おいしい」って笑顔で食べてくれる事が作る原動力となっている。

二人に認められて、必要だと思ってもらえる事が幸せだ。友達も上手くつくれない僕だけど、料理なら人並みに作れる。それが今の僕の小さな自信にもなってるんだ。


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