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さよならが言えなくて。

さよならが言えなくて。3

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「今日は入学式だったんだから外食で良かったのに。主役の樹が食事を作ったのか?」

仕事から帰って来た敦兄がスーツからスエットに着換えてキッチンに顔を覗かせた。

「樹だけじゃないよ。私もサラダ作ってるんだから」

ほらっと出来上がったサラダを敦兄に見せて自慢げにしている有紀が可愛くて敦兄も僕も目を細める。

「敦兄、合格発表の時に食べに連れて行ってくれたじゃない」

「回るお寿司だったけどね」

その回る寿司を嬉しそうに食べていたくせにひねくれた物言いをする有紀に、また始まったと笑みが浮かぶ。

「給料日前だったんだから仕方ないだろ。ただでさえダイエットとか言いながら、外食の時は誰かさんが遠慮なしに食べるもんだからすごく高くつくんだよ」

売り言葉に買い言葉で端正な顔付きをしているのに、眉間に皺を寄せて言う敦兄と有紀はいつも子供のような言い合いを始めるんだ。こうなると僕は二人のやり取りを見ているしかない。途中で中に入っても「黙ってて」って言われちゃうから。

「敦兄の財布から出さなくても、お父さんからもらってるんじゃないの?お祝いに3人でご飯でも食べろって」

単身赴任中の父さんはめったに帰って来ないから、家の中の事は敦兄に任されていて、父さんも敦兄にはこまめに連絡してるんだ。もちろん合格おめでとうの電話はちゃんともらってる。なかなか会えないけど、だからって父さんと僕たちとの間に溝があるわけではない。会えない分、電話やメールはするし仲は良い方だと思う。

「もらったけど樹の貯金にまわした」

敦兄は僕たち兄弟の事をちゃんと考えてくれている。無駄使いしないようにと貯金したのだろう。もし僕がもらっていたら敦兄や有紀に何か買ってしまうか、本に消えてしまうかだっただろう。

「え~~~っ。だから回る寿司だったの?敦兄ケチ臭い。どうせならイタリアンとかタイ料理とかエジプト料理とか食べたかったあ」

「何だよそのエジプト料理って。どこから出てくるんだ。大学って何にお金がいるかわからないんだろ。貯金しといて良かったって思う事が絶対にある。ちなみに有紀の高校祝いもちゃんと貯金してあるからな」

「わ~~~っ。敦兄の横暴‼それあったら欲しかったカバン買えたじゃん」

「ほらな。お前に渡すとロクでも無い物にすぐに使ってしまうだろ。だから早々に貯金しといた。それと女の子が「じゃん」とか言うな。品性の欠片もない」

「品性なんてなくてもいいもん。それより私に一言も聞かずに貯金しちゃうなんて酷くない?どうせ定期預金に入れたんでしょ。降ろせないじゃない」

敦兄と有紀はいつもこんな感じ。仲がいいんだろうけどなぜかこんな風に言い合いをしてる事が多い。きっと二人とも似てるんだと思う。

僕たちは骨太でガッシリとした父親よりもほっそりとした優しい顔立ちの母親に似ている。面影は3人とも母親似だけど、敦兄は父親から譲り受けたのか身長は高い。有紀も女の子にしては167センチと高い方だ。僕だけが男にしては165センチと低い。

性格も敦兄と有紀は父親譲りでズバズバと思った事を言う。明るくて人の中にスッと入る事が出来るけど、外見も性格も母親譲りだ。内気で引っ込み思案。でも兄弟の中だけなら自己主張も出来る。まあそれは二人が僕を認めてくれて、僕という人間をわかってくれるから出来てるんだけど…。

二人が言い合いになった時に仲裁に入るのは僕の役目になっていた。

敦兄と有紀はどちらも折れる事が嫌いだから、ほっておくといつまでも平行線でにらみ合いを続けるんだ。

「もう喧嘩しないで。ご飯食べるよ」

「樹は敦兄の味方なの?」

「味方とかそんなんじゃない。敦兄は有紀と僕の事をちゃんと考えてくれてるんだ。父さんにも心配かけないように。だから文句言わないの。こうして3人で暮らせてるのは敦兄がいてくれるからなんだよ。敦兄がいなかったら僕たちは父さんのところに行かなくっちゃいけない。有紀は行きたいの?」

「それは…」

「さすが樹。ちゃんとわかってくれてるんだな」

僕が敦兄の肩を持ったと思いどうだと有紀を見る敦兄にため息が出てしまう。変に子供なんだ敦兄は…。

「でも有紀に聞かないで勝手に決めちゃって、後から言うのもどうかと思うよ。ちゃんと話してくれてたら意見も言えるし、ちゃんと考えてくれてる敦兄に素直に感謝できるけど、後から言われると反発したくなる有紀の気持ちもわかるよ」

そう言ってふてくされてる有紀の頭を撫でると笑顔を見せてくれる。

「樹、ありがと」

「そう言われればそうだな。お前たちに良かれと思ってしたけど、オレの自己満足でしかなかったかもしれないな。有紀ごめんな。カバン欲しいなら今度の休みに買いに行こう」

「ううん。いい。今あるの使えるし。私も生意気言ってごめん」

結局は有紀が可愛くて仕方ない敦兄とそんな敦兄が大好きな有紀なんだ。意地っ張りなところもあるけど、心の中は二人とも素直なんだよね。

「仲直りしたところでテーブルの上片付けてご飯にしようよ」

「敦兄、今日はハヤシライスだよ」

「おっ。いいね。樹のハヤシライスは絶品だからな」

「敦兄が作るとなぜか焦げ臭くなるもんね」

「有紀~~~~~っ」

3人で囲む賑やかな食卓。

おおらかな兄と生意気だけど可愛い妹。

父さんはめったに帰って来れないけれど3人仲良く、何でも話して、困った時は相談して解決して来た。敦兄と有紀がいれば大丈夫だと思っている。


夕食の話題は今日1日に起こった事。今日はもっぱら僕の入学式の事ばかり。敦兄も心配だったらしく、有紀と同じ様に大丈夫だったのかと聞いて来て苦笑いがこぼれた。やっぱりこの二人って似てる。

敦兄にもサークルに勧誘されそうになった話をした。僕が言わなかったら有紀が面白おかしく脚色して話してしまうから自分からちゃんと言った方がいいと思ったから。

案の定、敦兄の反応は有紀と同じで笑えた。

敦兄は「友達できたらいいな」そう言って僕の頭をクシャッと撫でた。


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