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さよならが言えなくて。

さよならが言えなくて。6

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「は?何が?」

さも寝てたのに起こすなと言わんばかりの視線に怯む。

その目からは意志の強い光が見えてドキっとしたけど、次の瞬間には何の感情も読み取れない瞳に変わる。

さっき背中に電気が走ったような気がしたのは何だったんだろう。

「何だよ。何か俺に言いたい事があるならハッキリ言いな」

「あ、あの、えと。お、覚えてないですか?サークルに無理やり入らされそうになってサカイさんが止めてくれたんです。お礼を言おうと思ったんですけどサカイさんすぐにどこかに行っちゃってちゃんと言えなかったから、今度会ったら言うつもりだったんです。あの時はありがとうございました。」

一気に話して呼吸が苦しくなった。ドキドキと胸が大きな音をたてて喉が渇く。

「覚えてない」

「覚えてないって隆也…。隆也の所に連れて行こうと思ったんだけど気が付いたら樹ちゃん居なくなってるし…」

「イイヅカさんを追いかけたんですけど僕小さいから見失ってしまって…。せっかく言って下さったのにすいませんでした」

「ふふ。樹ちゃんは真面目なんだね。と言うか同い年なのに何で敬語?普通でいいんじゃないの?それにサカイさん、イイヅカさんって…。なんか言われ慣れてないからこそばゆくてダメ。隆也と智也って呼んでくれない?」

「ム、ムリです。すいません」

にこにこと話してくれるけど、呼び捨てなんて出来ない。友達でもないのに無理だよ。それに教室に入るみんなが僕たちを見ていて居心地が悪い。

どうして僕なんかと話してるんだって思われてるよ。きっと。

「じゃ、じゃあ僕、次の講義があるから。ありがとうございました」

「ちょっと待て」

抑揚のない低い声でサカイさんに呼び止められてビクリとする。サカイさんを見ると表情の読めない顔で僕を見ていた。

「な、何ですか?」

「俺はお前を助けた。そうだな?」

「はい」

何を言い出すのかとイイヅカサンもサカイさんを見る。僕もサカイさんに向き直り何を言われるのかと身構えた。

「礼をしてもらおうか」

「え?」

「ありがとうなんて言われてもな。礼をすると言うなら見合った働きをしろって言ってるんだ」

「はぁ…」

何が言いたいのかわかりかねてイイヅカさんを見ると「またはじまった」と言うような顔をしている。いったい何なんだろう。

「隆也、樹ちゃんはその辺の奴とは違うぞ。わかってるのか?」

「そんなこと知らねーよ。樹、携帯出せ」

樹と呼ばれて胸がトクンとなる。

敦兄や、有紀以外で僕を「樹」と呼び捨てにするような友達はいなかった。何だか照れくさいような嬉しいようなフワフワした気持ちになり、カバンの中から携帯を出してサカイさんに渡す。

「今時ガラケーって…。まあいいや」

「樹ちゃんらしいね」

サカイさんは僕の携帯を弄って何かを登録した。その携帯を今度はイイヅカさんが弄る。

イイヅカさんが僕に携帯を返してくれた時にはサカイさんは教室を出るところだった。

「樹、俺が連絡したらすぐに出ないとお仕置き。あと俺の事をサカイさんて呼ぶな。気持ち悪い」

「え?」

「じゃあね樹ちゃん。またね俺の事もイイヅカさんなんて呼ばないでね」

「あ、は、はい。また」

そのまま二人は教室から出て行ってしまい、その後を慌てて女の子たちが追いかけて行った。僕は何が起こったのかわからずに立ち尽くす。

今のは何?どういう事?



携帯がメールの着信を告げる。

「智也って?」

携帯を開くとイイヅカさんからのメール。



『これからよろしく。楽しくなりそうだね』



これからよろしくって…。

携帯のアドレスにはサカイさんとイイヅカさんのアドレスが登録されていた。さっき弄ってたのはアドレスを登録してたのか。

僕の携帯のアドレスに登録されている人数は少ないから、新しく増えた二つがすごく新鮮だ。

でもサカイさんって呼んだらダメだなんて…。

隆也さん?なんか恥かしいような気がする。そう言えばこんな風に下の名前で呼ぶような友達って今までいなかったな。

隆也さんと智也さん…。

何だかこそばゆいな。

でも…隆也さんお礼は言葉じゃなくて見合った働きをしろって言ってたけど何をすればいいんだろう。智也さんは何か含みを持たせるような事言ってたようだけど。わかんないな。

わからないと言いながらも不安とか嫌だなと言う気持ちは全くない。あの二人と接点を持つことは緊張する反面、キラキラとした世界に踏み込むようで嬉しいとも思う。

隆也さんは何を考えてるのかわからないところはあるけど、悪い人じゃないと思う。僕を助けてくれたんだから。


二人のアドレスが登録されている携帯を握りしめ、僕は次の講義の教室へと向かった。




*   *   *




「何か良い事あった?」

「どうして?」

キッチンで夕飯を作っていたら部活を終えた有紀がキッチンを覗いて声をかけてくる。

「だって樹がちらし寿司作る時って何か良い事があった時だもん。何か今日のちらし寿司豪華じゃない?上にいくらとか、刺身まで乗ってるし、錦糸卵の黄色が濃いもん。卵もいいの使ったでしょ」

卵の色までチェックするってどうなんだ?何かお嫁さんをチェックする姑みたいじゃないか?

「そんな事より部活で汗かいたんじゃない?お風呂わいてるから先に入ってくれば?敦兄も今日は残業ないから早く帰って来るって」

「わかった。樹の話は後でちゃんと聞くからね。」

やれやれ。この様子じゃ根掘り葉掘り聞かれるんだろうな。

小松菜のお浸しと、三つ葉と麩のお澄ましを作り、グリルにさわらの西京焼きを入れる。昨日の残りの筑前煮も温め直してテーブルを綺麗に片付ける。後は敦兄が帰って来たら並べるだけ。

有紀が風呂から上がり交代で僕も入る。

風呂から上がった頃には有紀がテーブルに料理を並べてくれていた。

「あ、敦兄帰って来た」

「ただいま。おっ。何か良い事あったのか?樹のちらし寿司久しぶりだな」

「何があったのか樹ったら話してくれないんだよ」

「話さないなんて言ってないよ。二人に報告したかったたんだ」

敦兄が着換えて戻って来るのを待って3人でテーブルにつく。

「僕、友達が出来るかもしれない」

「ぶっ。出来たんじゃなくて出来るかもしれないなのか?」

「うん。サークルの勧誘から助けてくれた人の話覚えてる?」

「ああ」

「うん」

「今日、偶然同じ講義だったんだ。それでアドレスの交換した。」

「おお。樹にしてはすごいじゃないか」

「樹、頑張ったね」

こんな事ぐらいで褒めてもらう僕って情けないのかもしれないけど、今までの僕からすれば大進歩なんだ。敦兄も有紀もほんとに喜んでくれてる。友達が出来ないんじゃないかって心配してたから安心したのかもしれない。

「ほんとに友達になれたらいいな。まあ樹は素直だから打ち解ければいい友人関係が結べると思うぞ。今のままでいいんだ。その友達、樹のいいところをわかってくれるといいな」

「ちゃんと友達になれたら家に呼んでね」

「そうだね。僕も受け身ばかりじゃなくて積極的になってみるよ」


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