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さよならが言えなくて。

さよならが言えなくて。5

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それから何回か大学の中でサカイさんとイイヅカさんを見かけたけど、いつも女の子たちのグループと一緒でチラッと見るだけで接点を持つ事はなかった。

余程の偶然でもない限り彼らと話をする事はないだろうと思っていた。助けてもらったお礼はもう言えないと諦めていた。まあ樹にお礼を言ってもらったところで彼らは何とも思わないだろう。もしかしたら樹の事など忘れているかもしれない。彼らにとっては取るに足りない事でも樹にとってはそうではないのだけれど、お礼を言いたいと思うのも樹の自己満足でしかない。

「どうして僕は彼にお礼を言いたいのだろう。僕を助けた事なんて忘れているかもしれないのに」

何度考えてもどうしてなのかわからない。言うタイミングがないんだから縁がないんだって自分も忘れればいいのに。

ここ何日間かサカイの顔がチラついている。大学で見かけると自然と目で追っている自分がいる。

カッコいい。あんな風だったらなと思って初めは見ていたのに、今は何かそれだけではないような気がして。自分で自分の気持ちがわからない変な感じだ。

入学式から10日ほどたって、樹は選択科目のある教室の後ろの端の椅子に腰かけていた。

敦兄のおすすめの選択科目だ。

あれから敦兄に選択科目の相談をし、敦兄が友達に聞いてくれて何とか期限内に樹は履修科目を決めた。

今から講義をしてくれる先生は若いけれど、世界を旅するほど研究熱心で生きた英語を話し、教え方も上手く面白い講義
らしい。講義が他のクラスより開始が遅れたのも、この間までアメリカにいたためだと学生たちの噂話で聞いた。人気のある先生でなかなか講義が受けられないらしいけど樹は運よく受けられる事になった。

大講堂なのに席が埋まっている。友達同士で座っている人たちが殆どで楽しそうな笑い声や話し声があちこちで聞かれていた。静かなのは自分のまわりだけなんじゃないかと思ってしまう。

ここで誰かに話しかければ友達になれるのかもしれないけれど、自分から話しかけるなんて樹には到底出来ない。仕方なく授業が始まるまで本でも読んでいようとカバンから1冊の本を出した。

『My Father's Dragon』

日本名では「エルマーの冒険」で有名な絵本。母さんが買ってくれた思い出の絵本。どうして英語版を買ってくれたのかはわからないけど、何度も読み返して覚えてしまった。悲しい事や辛い事があるとこの本を読んでエルマーのように強くなろうと思う。

大学生になった男がと思われるかもしれないけれど、樹にとってこの本は自分の一部のようなものでいつも持ち歩いている。樹にとっては心が騒めいた時の鎮静剤のようなものなのだ。

この本のおかげで英語に興味を持ったと言ってもいいかもしれない。

パラパラと本を読んでいると頭の上から声がした。

「あれ?もしかして樹ちゃんじゃない?俺の事覚えてる?」

名前を呼ばれて頭を上げると、ぷいっと横を向いたサカイさんと嬉しそうな顔をして僕を見るイイヅカさんがそこにいた。

「覚えてないかなあ?」

遠くからは見てたけど、こんなに近くで見ると二人の迫力に声も出ずに固まってしまった。ざわついていた教室も二人の登場に静まり返り、こっちを見ている。僕が見られているわけじゃないけど視線が痛い。こんなにたくさんの人に注目される事なんてなかったからいたたまれない気持ちになる。

「樹ちゃん?」

イイヅカさんが僕の顔を覗き込んでくるから余計に固まってしまう。そんなに近づかないで欲しい。出来たら僕から離れて欲しいくらいだ。

「も、もう…こ、講義が始まりますから…後で…」

それだけ言うのが精一杯でそのまま下を向く。

僕から離れて…それだけを願っていたのに何を思ってかイイヅカさんは僕の隣に腰かける。

「……っつ」

違う席に座って下さいとも言えず少しでも間を開けようと椅子の端に座る。

「隆也も座れよ。もう講義始まるぞ。」

「……」

サカイさんはぐるっと教室を見渡し、他に座るところもなかったのか仕方なしに座ると言った感じでイイヅカさんの横に腰掛けた。

イイヅカさんは僕の事を覚えてくれてたみたいだけど、サカイさんは覚えてないみたいだ。ちょっと落ち込むかも…。

「あのさ…」

イイヅカさんが僕の方を向いて話しかけてきた時にちょうど先生が入って来たのでそれ以上は話しかけられる事はなかった。

良かったとイイヅカさんに気付かれないように小さな息を漏らす。

講義が終わったら話しかけられる前に離れようかな。

サカイさんもイイヅカさんも普通に話をするには僕にとってはハードルの高い人たちだ。あ、でもお礼を言うならこの機会を逃せば次にいつあるかわからないか…。

前もってこの二人が現れるとわかっていたのなら心の準備も出来ただろうに、突然だと動揺してしまう。まあわかっていたところでちゃんと話せるかどうか疑問だけど。

英語の講義にはとても興味があるのに隣に二人がいるせいで話が耳に入って来ない。お礼をいつ言えばいいのかとか講義以外の事に気を取られてしまっている。

講義が終わったらお礼を言って話しかけられる前に二人から離れよう。

あとは緊張したままで進まない時間に胃が痛くなりながら講義が終わるのを待った。


「ではこれで今日の講義を終わります」

先生の声が聞こえて学生たちがザワザワし始める。

今だ。お礼を言ってここから離れよう。

「あ、あの…。サカイさん、あの時は本当にありがとうございました」

緊張しすぎて声が掠れる。手には汗をかいていた。

「は?何が?」

寝ていたのか眉間に皺を寄せてサカイさんが僕を見る。

サカイさんの瞳が僕を捉えた時、背中に電気が走ったような気がした。




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