キミと空とネコと

キミと空とネコと18

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「海人、腹へってない?薬飲まなきゃな。雪夜がお粥作ってくれてる。」

「へぇ、響夜はご飯作れないけど、雪夜先生は出来るんだ。」

「ああ。雪夜はマメだからな。」

「響夜も少し雪夜先生を見習ったら?」

「嫌だね。オレはオレ。雪夜は雪夜だろ。それより食えるのか?」

「頑張ってみる。せっかく作ってもらったんだし。」

「よしよし。いい子だ。」

「バカじゃないの?オレ子供じゃねぇし、いい子って・・・。」

聞いてるのか聞いていないのか、響夜はキッチンへいくとお粥を温めて持ってきてくれた。

「熱いから気を付けろよ」

「うん。ありがと。いただきます。」

オレはお粥を食べようとスプーンを持つのだけれど、熱のせいか指に力が入らず何度もスプーンを落としてしまう。それを見ていた響夜がスプーンを取り上げた。

「オレが食わしてやる。」

「いいよ。一人で食べれるから。」

「そんな調子じゃ、何時までたっても終わんないだろ。薬も飲めないし、せっかく温かいお粥も醒めちまう。」

そう言われると二の句が告げず黙り込んでしまう。

「ふーふー。はい口開けて。」

「恥ずかしいから。」

「病人は言うコトを聞きなさい。」

オレは小さなため息をもらすと口を開ける。

「おいしい。」

「そか。じゃもう一口。」

優しいお粥の味が身体に染み込む。

雪夜先生の優しさのようだった。

響夜が冷ましてくれたお粥を一口一口ゆっくり食べる。

「うちは誰かが体調を崩すと雪夜がお粥を作ってたんだ。お袋が作るよりうまいからなっ。」

「そうなんだ。だからおいしいんだね。」

「海人も子供の頃、熱出したりしてお粥作ってもらった?」

「レトルトのお粥が置いてあった。一人で温めて食べてた。兄弟にうつるといけないから何でも一人でしてた。親は忙しいし。」

家族の事を思い出して、おいしかったお粥も味気ないものになる。

「響夜、もういらない・・・。」

「まだ、半分も食ってないぞ。」

響夜に顔を見られたくなくて布団に潜り込む。

「しゃーねぇな。薬飲め。お粥の残りはオレが食ってやる。」

「ほんとは自分が食べたかったんだろ。」

「あっ。わかっちゃった?」

響夜は茶目っ気たっぷりにウインクする。

いつかの雪夜先生のウインクを思い出す。やっぱり兄弟なんだな。似てる。

気まずい雰囲気がなくなり、オレは布団から出て薬を飲む。

「海人、もう少し寝ろよ。オレが傍にいてやるから。」

「うん。武蔵もいるしオレは幸せかも。ありがと、響夜。」

再び布団に潜り込むと武蔵が寝てて暖かくて温もりに嬉しくなる。

心の中がほあほあして温かくなっていた。

一人じゃないと思うと安心してすぐに眠気が襲ってくる。

「熱があると海人は素直なんだな・・・。いつも無理してる。見てて苦しいよ。」

響夜が何か言ってたけど瞼が重くていつの間にか寝てしまったオレには聞こえなかった。








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~ Comment ~

焦らずゆっくり‥ 

おはようございます(^-^)

そうですか‥そうそう上手くは行かないですか。
まだまだ不安定なのは仕方ないですよね‥

でも‥お粥ふーふー‥きゃーーー(>∀<)
嬉しくなりました~
腐ったものにとっては超萌えどころのお粥ふーふー(笑)
かわいいっ(≧∇≦)
海人くんにとって辛い展開は私も辛いですが
成長していく過程での辛さなら我慢もできると言うものです。

傍で精神的なケアをしたいっっ!
などと妄想ぶっこいてますが(笑)
大人しく見守りたいと思います(^v^)

昨日本が届きました~
チラッと見ただけですが‥ガンガン読めそうです。
でも壬生義士伝のように泣きながら読むことになるのは
辛いかも‥
山南さん‥そうですよね、歴史だけみると‥ああいう形で亡くなってますものね‥(>_<)

私も山南さんのことでお話ししたいでーす♪

Re: 焦らずゆっくり‥ 

ハル様こんばんは☆

お粥ふーふーはされる方はすごく恥ずかしいんですよね。やる方は案外平気な気がします。これも海人の試練?そんなことされたことないですもん。海人は・・・。人と関わる事で知るくすぐったさですね。ハル様的キャラを用意しなければ?でしょうか。ふふふっ。考えておきましょう。面白そうだ(*^_^*)

あの本はいかかですか?実は私は読む波に乗るまで少し時間が要りました。三国志や水滸伝とは違ったので。土方さんの目を通して新撰組を見てる感じで、登場人物になって感情移入出来てないんです。いつも感情移入してのめり込んで見ちゃうので。でも、山南さんの所は切なくて・・・。忘れられません・・・。山南さん。いい人です。
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