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さよならが言えなくて。

さよならが言えなくて。24

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急いで校門に走って行く。人から見たら隆也の言いなりに見えるんだろうけど、僕はそうだとは思っていない。僕は僕の意志で隆也の言う事を聞いているから。嫌だと思ったら言う通りになんかしない。僕は自分の意志のない人形ではないから。まあそんな事を誰にも言った事はないから言いなりだと思われてるだろうけど…。

息を切らして校門の近くまで行くと、隆也が女の子に囲まれていた。隆也は女の子たちに優しく言葉をかけるタイプではないけど、それでも女の子たちは隆也に声をかける。返事を返される事なんてはなから期待してないから傷つかないのだと誰かが言っていた。隆也の目の中に入れたらラッキーなのだと。

今、隆也を囲んでいる女の子たちもそうなんだろう。

隆也に声をかけるでもなく見ていた僕を隆也の目がとらえた。

「ポチ遅い。行くぞ」

そう言うなり校門から歩き出してしまう。僕は慌てて隆也の後を追い、校門を出る時に女の子たちが僕を見ている事に気が付いた。「またこの子?隆也ってば何でこの子気に入ってるんだろう」と言うような目に見えたのは僕が卑屈だから?隆也の友達には見合わないと言われてるのを気にしてるから?

女の子たちの視線を感じながらも隆也の傍に行く。女の子たちは追いかけてはこない。そんな事をすれば隆也に嫌われてしまうのをちゃんとわかっているんだ。

「隆也と会うの久し振りだね。元気だった?」

「元気だからこうしてお前と会ってるんだろうが」

こんな言い方をするのが隆也だ。凹んでたら付き合ってられないってやっと気が付いたところ。最初はこんな言い方をされて酷く傷ついた。何度も同じように言われているうちに隆也はこんな言い方しか出来ないんだと気が付いた。隆也にとってはこれが普通。僕だけじゃなく他の人にもこんな感じなんだ。それがわかったら受け流せるようになった。いちいち傷ついてたら隆也とは付き合えない。

「そうだね。隆也、外に出ちゃったけどもう講義ないの?」

「ある。けど出ないくてもいい。智也が代返してくれるだろ」

「僕は4コマ目があるからね。それまでは付き合うけど」

「それまでは付き合うね。まあいいけど。じゃ近くがいいな」

冷たい言い方だけど、ちゃんと僕の事を考えて店を選んでくれる。よく見なくちゃわからないけど、隆也は優しいんだと思う。そう思ってるなんて本人に言ったら睨まれちゃいそうだから言わないけど…。

「それなんだけど、さっきも言ったけど僕、智也にクロワッサンサンド作ってもらってるんだ。夕食にすると痛んでるかもしれないから昼食に食べたいんだ」

「そんな事知るかよ。じゃあなんでついてきたんだ。俺は昼飯を奢るって言っただろ」

「来いって言って僕の言う事を聞かずに電話を切っちゃったのは隆也だろ」

「もういい。お前は智也の作ってくれたもんでも何でも勝手に食え。俺は一人で食べに行く」

「もう隆也はせっかちだな。すぐに決めつける。僕は隆也と一緒に食べたいと思ったからついてきたんだ。ねえ隆也。僕の家で食べない?僕、隆也に何か作るよ。でも時間があるわけじゃないから簡単なものしか出来ないけど」

ムスッとしていた隆也が立ち止まって僕の顔を見る。どうしようか思案しているようだ。きっと昼間なら家族もいないだろうとか考えてるんだろうな。

「誰も家にいないのか?」

ほらね。

「居ないよ。敦兄は仕事だし、有紀は学校に行ってる」

「何作ってくれるんだ?」

「そうだな、家に有る物で簡単に作れるもの…。親子丼とか?」

「親子丼…。親子丼か。久しく食べてないな。よし。それでいい。ポチの家で我慢する。本当はデミグラスソースの気分だったが親子丼もおいしそうだ。おい、玉子はトロトロにしろよ」

どうやら親子丼が気に入ったようで、ムスッとした顔が無表情に戻る。隆也の表情はあまり変わらず、変化に乏しいからムスッとして感情が動いただけでも珍しい事だ。自分がしてやろうと言う事を拒否された事が許せなかったのだろう。妥協案が隆也に取って魅力的だと思ってくれた事に安堵する。

立ち止まっていた隆也がついと動き、近くを通りかかったタクシーを止める。

「ポチの家に行くぞ。早く乗れ」

「タクシーなんてもったいないよ。電車で2駅じゃないか」

「時間が勿体ない。お前は4コマ目出るんだろう?」

僕と言い合ってる時間も勿体ないと思ったのか、隆也は僕の腕を掴むとタクシーに乗り込んだ。強引なところも隆也らしくて少し呆れて小さなため息を隆也にわからないように吐くとシートにちゃんと座り直す。

「どこまでですか」と聞かれて隆也に言う気がないのを悟り、行先を告げる。きっと隆也は僕の家の行き方なんて知らないんだろう。前に来たけどきっと覚える気はなかったのだと思う。たまたま来ただけなんだよね。きっと。家族のいる家は苦手そうだったし…。

車の中では会話らしいものはない。隆也はずっと窓から外を見ていたから、僕が運転手さんに道順を話すくらいの会話しかなかった。隆也と僕の間では会話のない事が多いから気にはならない。でも運転手さんは会話のない僕たちが気になるのか時折ミラー越しに視線を感じた。

家の前にタクシーを止めると隆也は僕を押し出し、料金を払う。僕が半分出そうとしたらいらないと断られた。タクシーを使ったのは自分がそうしたかったから自分で出すって事なんだろうと思う。しつこくお金を出すと言うと隆也の気分を害すると思ったので「ありがとう」だけ伝える。言っても言わなくても隆也は気にしないだろうけど、僕的に言わないと折り合いがつかなかった。うん。僕も変なところで頑固だ。

案の定、家には誰もいなくて静かな家のに隆也を招き入れる。

家に隆也と二人だけなんて何か変な感じだなと思いつつ、リビングに通した。リビングはキッチンと間繋ぎで大きさはそんなに大きくない。テーブルの横には小さなソファーとTVを置いてありそれで一杯だった。

「前来てポチの部屋に行った時も思ったけど、何か小さい家だな」

隆也の家に行った事がないからどんな家なのかわからないけど、僕の家がそんなに小さいとは思わない。普通の建売だ。智也の家を思い出す。一人暮らしのマンションとは思えないほど広かったっけ。隆也の家はもっとお金持ちだって言ってたからきっと隆也の家はもっと大きいのだろう。

「隆也の基準がどうなのかわからないけど普通だと思うよ。狭くても暮らしやすいし、僕は不満はないよ。ずっと生まれてからこの家だしね」

ふーんと興味なさそうに部屋の中をぐるりと見てソファーに腰をおろした隆也に冷たい麦茶を出す。

「じゃ親子丼作るね。そんなに時間はかからないとは思うけど、TVでも見て待っててくれる?」

「ああ」

キッチンに戻り、いつも使ってるエプロンを巻く。これは去年の誕生日に有紀が買ってくれたものだ。毎年、敦兄と有紀がかわりばんこにエプロンをプレゼントしてくれるんだ。毎年買わなくてもいいって言うんだけど、今ではどちらが僕に似合うものを見つけてくるかと競争になっているらしく、僕が付けるたびに「似合う」「似合わない」で言い合っている。1年使ったくらいじゃ使えないほど痛むことはないから使い終わったエプロンはとってある。大切な思い出だ。

エプロンの胸の所をポンポンと叩いて、冷蔵庫から玉子と鶏肉と三つ葉を出す。敦兄も有紀も僕もなぜか三つ葉が大好きで、僕の家にはいつも三つ葉がある。卵焼きに入れたり吸い物や、味噌汁にもいれる。香りづけと彩りに必ずと言っていいほど食卓に上るんだ。

そうだ、ついでに味噌汁も作ろう。小松菜があったから小松菜と薄揚げでいいかな。これなら簡単に出来る。

玉葱をかごから出して薄くスライスしながら自然と鼻歌を歌ってる自分に気が付く。僕は隆也にこうして料理を作る事を楽しんでいるらしい。隆也が喜んでくれるといいなと思いながら作る。おいしくできますように…。



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