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さよならが言えなくて。

さよならが言えなくて。29

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智也と別れて講義を受ける。今日、隆也は来ないのかな。智也の電話にも出ないくらいだから、僕に連絡してくれる事もないだろうな。まだ機嫌悪いのかな…。

隆也の機嫌が直るまで待つしかない。直ったらちゃんと話をしよう。

今日、隆也に話をする事は諦めて残りの講義を受ける。夕方、偶然中庭で智也に会ったけど、今日はバイトで急いでいるらしく挨拶を交わしただけで智也は行ってしまった。

「バイトしたいな」

僕の性格からして人と上手くコミュニケーションが取れるか不安ではあるけれど、大学生にもなってお小遣いをもらっているというのは恥ずかしい事だと思う。欲しいものは言えばいいと敦兄は言ってくれるけど、言えた試しはないし、敦兄や有紀の誕生日プレゼントとか自分の働いたお金でプレゼントしたいといつも思っていた。

「学生課に行けば僕にでも出来るバイト探せるかな?」

ふと思いつき、覗くだけでも覗いてみようと思った。時給は安くても、接客業じゃなければ僕でも出来るんじゃないかと思ったんだ。

夕方の学生課は人もまばらで一人でゆっくりとバイト情報を見れた。

「うーーん。家庭教師は無理だし、免許持ってないから配達も無理。工場も遠いしなあ。こうして見てみると僕に出来る仕事ってないもんだな」

バイトでこうなんだから就職なんて出来ないんじゃないかと不安になる。

敦兄はあの容貌と明るさと丁寧な仕事ぶりで大手企業の営業としていい成績を収めている。敦兄の給料を見れば優秀な営業マンなんだとわかる。最初に給料明細を見せてもらった時に金額の多さに驚いた。

敦兄の会社はノルマがあるわけではないけど、成績に応じて給料が支払われる。だから年齢に関係なく、優秀なものは成績に見合った給料が支払われる。

僕は営業なんて絶対に無理だと思う。敦兄って本当にすごい。父さんが優秀な営業マンだって言うから敦兄はその血を引き継いだんだろう。

僕に向いた仕事なんてあるのかなあ。バイトの求人案内を見ていたはずなのにいつの間にか視線は窓の外を見ていた。

「何?ポチバイトでも探してんの?」

頭の上から降ってきた声に顔を上げると、いつもと変わらぬ隆也が無表情で求人案内を見ている。

何で隆也がこんなところにいるの?いつもと変わらないけど怒ってたんじゃないの?

「何だよ。そんなに驚く事ないだろ」

「だって…。怒ってたんじゃないの?」

「は?何で?」

「だって昨日…。だから僕が電話してもメールしても無視してたんじゃないの?」

「あ?お前の妹の事?どうでもいいし。スマホ落として壊した。電話が繋がらなかったのそのせい。もう新しいのに変えたけどな」

どうでもいい…。そうだよね。隆也、自分以外の事に興味ないもんね…。

「怒ってないならいいけど。でも昨日気分悪くさせちゃったから。ごめんね」

「お前おかしいんじゃないの?何でお前は怒らないの?俺に突き飛ばされたのに。お前が悪かったとしても暴力で返した俺も悪いとは思わないわけ?全部自分が悪いとか言うつもり?気持ち悪い」

辛辣な隆也の言葉にぐっと唇を噛みしめる。そんな風に言わなくてもいいじゃないか。僕は僕の言葉が隆也を傷つけたと思ったから謝っただけで、何も全部自分が悪いだなんて思ったわけじゃない。そう言いたいのに上手く言葉が出てこなくて、悔しくてますます唇を噛みしめる。

「そんなに唇を噛むな。血が滲んでる」

隆也の指が僕の唇を撫で、その優しい感触に噛みしめていた唇が薄く開く。もう一度優しく指が唇をなぞり、その指を隆也は舐めた。

「…っ」

僕を見ながら指を舐める隆也の赤い舌がすごく淫靡に見えて身体の奥が燻るような熱を灯す。まだ身体に変調が現れるような強い熱ではないけれど、わずかでも性的に灯った熱に驚いた。今までにそんな熱を感じたことは一度もない。男としてどうかと思うけど、自慰も下着を汚すのが嫌だからと言う理由だけでする僕は性的にも欠落した人間なんだと思っていた。

「何て顔してんだ。血拭ってやったんだ」

ほらっともう一度僕の唇を撫でて指を見せる。その指には赤い血が付いていた。隆也にはそんなつもりは全くないのに、過剰に反応してしまった自分が恥かしくて隆也の顔が見られない。

「何だ?舐めて欲しいのか?」

「そ、そんなわけないだろっ。何で舐めてもらわなくちゃいけないんだよ」

「舐めて欲しそうに俺の口を見てるから」

「み、見てないっ‼隆也の口なんて見てないっ‼」

「何熱くなってんだよ。冗談だろ。俺だって男の唇なんて舐めたかねえよ」

ズキンと胸が痛む。

そうだよね。男の口なんて舐めたくないよね。女の子の方がいいに決まってる。

売り言葉に買い言葉で「舐めて欲しくないなんて言ったけど、隆也に触れて欲しい、隆也に触れたいと思う。でもそれは叶わない事なんだと現実を突きつけられたような気がして胸が痛んだ。

「何泣きそうな顔してんだ。それ片付けろ。出るぞ」

僕の気持ちなんて隆也にはわからない。わかろうともしない隆也。でもそれでいい。僕の気持ちがわかってしまったら、それは隆也と二度と会えなくなるという事だから。隆也に会えなくなるなんて嫌だ。だから僕の気持ちには気が付かないで…。

「隆也本当に怒ってないの?僕の事嫌いじゃない?」

「怒ってないって言ってるだろう。嫌いと言うほどポチとは付き合ってないしな。ポチの家に行ったのがいけなかったんだ」

家族がいる家が嫌いな隆也。どうして嫌いなのか聞きたいけど聞いてはいけないんだと何かが警告する。いつか隆也が話してくれるまで聞いちゃいけない。

僕の家に隆也が来てくれる事はもうないような気がする。呼ばない方がいいし、呼んでも来てくれないだろう。

「何か学生課に用事があったんじゃないの?」

「別に。偶然通りかかったらポチが見えたから寄っただけ」

「そうなんだ。でも声かけてくれて嬉しかった。昨日怒らせちゃったから、もしかしたらもう声もかけてくれないかと思ってたんだ」

「つまらない事を考えるもんだな。別に俺が話しかけなくてもかまわないだろう」

「僕は友達が少ないから、隆也に嫌われると智也しか居なくなってしまう」

「友達ね。別に居なくても生きていけると思うけど?そんなに必要なもんか?」

「必要だよ。僕には必要だ。だから隆也が僕を嫌いにならないでくれて良かった」

「変な奴だなポチは」

一瞬、隆也の顔は優しくなったのを僕は見逃さなかった。すぐにいつもの顔に戻ってしまったけど、初めて見た隆也の優しい顔だった。
 


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