さよならが言えなくて。

さよならが言えなくて。38(R15)

 ←さよならが言えなくて。37 →さよならが言えなくて。39

※注意‼前半緩いですが性的描写が入ります。苦手な方はご遠慮下さいませ。












ただ何も考えずに走り、気が付いた時にはいつの間にか家に帰って自分の部屋の中にいた。

グルグルと隆也のキスの場面が繰り返し再生されていて、息が紡げない。

走ったせいで額には粒の汗がうき、頬を伝って雫が垂れていた。

「……っ」

あんな官能的なキスをまじかで見たことはない。TVでしかあんなキス見た事ない。それもごく自分の近くの人間が、自分の好きな人が他の人にしているキス…。

誘っている唇を舌を絡め取るような深い口づけ。

隆也のするキスはとても淫靡で…。もしあんなキスをされたら…。

身体の中心が熱を帯びる。想像したら身震いした。ダメだと思うのに一度考えてしまった事が頭から離れてくれない。

いつの間にか隆也とキスをしているのが自分になり変わり、あのキスを受けている。

「……んっ…ふっ…」

頭の中でさっきのシーンが蘇り、頭の中で隆也と自分になってキスを貪る。

その熱に浮かされるように下着の中に熱がこもり形を成していく。

「うそ。僕感じてる…」

日頃は自慰なんて下着を汚さないようにするくらいでこんな風に身体が熱くなる事なんてなかった。今は身体の奥から熱を帯びて身体中が熱い。

そっと手を下着の中に入れるとすでにそこは露にまみれ、ぬめりを帯びていた。

握るとクチュリと音がする。すごく卑猥な音。

隆也のキスの場面を見て、隆也と自分に置き換えて、自慰行為をしているという後ろめたさや背徳感でいっぱいなのに、いつもよりも感じてしまっている。先端から蜜が触れて来て、クチュリクチュリとますます大きな音がして耳からも犯される。

「あ、ダメだって…。こんなので感じたらダメ…。隆也のキスでなんて…」

いつもなら扱いて出す時だけ気持ちいいと感じるのに、今日は触っているだけで気持ちいいと思ってしまう。感じてしまう。

「はっ……っ……ぁ…」

硬くなって蜜をあふれさせる茎を緩く上下に扱く。

頭の中は隆也の顔を思い出し、動き回る赤い唇が僕の口の中を蹂躪していく。

気が付けば口の中に自分の指を入れ舌で愛撫するように舐めまわしていた。

「こんなの…僕じゃない…こんな事…」

そう思うのに耽りだしたこの行為が止められず、次第に手は激しく扱き、舌はますます指を犯す。

「あっ…りゅ…や…っ」

部屋の中にはぐちゅぐちゅという音と、荒い自分の息と、独特の匂いが充満して、カーテンを引いた部屋の中はいつもの部屋とは違う空間になっていた。

頭の中で一瞬、隆也の視線が僕の目を射抜き、深く舌を吸われたと同時に頂点を極め、張りつめた欲望が爆ぜる。

「あっ……っ……」

自分の手の中に放たれた白い液体がドロッと手のひらを滑り落ちた。

「っ……」




いつもなら終わって手を拭いて、身体の汚れたところを拭って身なりを整えてから洗面所で手を洗う。なのに今日ははぁはぁと肩で息をして、髪の毛も額にかかり汗でへばりついている。青臭い匂いが部屋中にこもっていて、中途半端におろしたズボンと下着が間抜けだ。

隆也のしていたキスで自慰するなんて…。

いたたまれない気持ちと後悔と…でも…。

今までしてきたのとは違う。気持ちいいと思ってしまった。今までになく感じてしまった。それが一層の罪悪感を感じさせた。

近くにあったティッシュを取り、手の中の白い液体を拭う。

丸めて投げたティッシュはゴミ箱を外れて下に落ちた。

「僕何してるんだろう…隆也でこんな事するなんて…隆也ごめん」

隆也が見ていたわけじゃないのに、隆也を穢してしまったような気がして謝らずにいられなかった。熱かった身体が急速に冷えていく。まるで隆也に覚めた目で見られているかのように…。

でも確実に感じてしまった事は身体が、頭が覚えていた。それを忘れようと、した事をなかった事にしようと、ノロノロと立ち上がり身なりを整え窓を開ける。

下に降りて手を石鹸で洗うと顔も一緒に洗った。

思い出すとまた熱を持ちそうになる身体を戒めるように頬を両手で叩くと、隆也にメールする。




『今日は何時頃に帰って来る?夕飯のリクエストがあったら教えて欲しい』



送信してから気持ちを切り替える。もう少ししたら大学に戻って講義を受けよう。今日は隆也とも智也とも一緒の講義はないから平常心で過ごせるはず。

しばらくして隆也からの返信が返って来た。


『今日は帰らないから夕飯は要らない。洗濯と掃除をしておいてくれ』


あの女の人と一緒なのかな。

チクリと刺さる胸の痛みは隆也が好きだから仕方ない。この胸の痛みをどれだけやり過ごせば僕は隆也を一人の友人として見られるようになるんだろう。

耐えきれなくて隆也と距離を置くようになるんだろうか?

不安は探せばきりなく溢れてくる。

隆也の事を好きになれた事だけでもいいと思わなくてはいけない。

初めて人を好きになれたんだから。それだけでいい。十分だよね。

有紀にメールで夕食を作る事を伝える。いつも作ってもらってるから、今日は少しくらい遅くなっても良いよとも…。

久しぶりの我が家の食卓は洋食にしよう。パスタでも作ろうかな。


゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚
読んで下さいましてありがとうございます。
ブログ村がメンテのようですね。なのでいつもより1時間早くに更新してみました。20時までって書いてあったけど20時に終わらない可能性が高いですよね。なので早めの更新です。村から見て下さる皆さんに気が付いて頂けるといいのですが…。無理かなあ(> <。)

†Rin†


ランキングに参加しています。ポチッと押してくだされば嬉しいです。拍手とポチをいつもありがとうございます・:*(〃・ェ・〃人)*:・ 感謝です(ஐ╹◡╹)ノ

人気ブログランキングへ

にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
にほんブログ村
関連記事
スポンサーサイト





もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png ご挨拶
もくじ  3kaku_s_L.png 貴方の腕の中で
総もくじ  3kaku_s_L.png キミと空とネコと
もくじ  3kaku_s_L.png S.S
もくじ  3kaku_s_L.png イラスト
もくじ  3kaku_s_L.png 頂きもの☆
もくじ  3kaku_s_L.png 雑記
総もくじ  3kaku_s_L.png 新撰組物語
  • [さよならが言えなくて。37]へ
  • [さよならが言えなくて。39]へ

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • [さよならが言えなくて。37]へ
  • [さよならが言えなくて。39]へ