キミと空とネコと

キミと空とネコと27

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えっ。あれって海人?気がついた時にはもう見失っていた。

インフルエンザ治ったのか?

海人がインフルエンザで寝込んでオレと雪夜は海人の看病をした。酷い熱でうなされるアイツを見ているのが辛かった。少しでも楽になれるようにと雪夜と交代で寝ずにタオルを替え、汗を拭いた。

熱にうなされてか、海人はいつになく素直で・・・。「ありがとう」って言われた時はすごく嬉しかった。オレは今まで人のためにこんなに一生懸命看病したことなんてないんじゃないかと思う。

付き合っていた誰にも自分を犠牲にしてまで看病することなんてなかった。「ありがとう」なんて言葉だけでこんなに嬉しくなるなんて人生の中で初めてだ。

海人に女といる所を見られた時、何故だか言い訳がましく海人には違うんだと言っていた。いつもなら去るものは追わずでいい訳なんてしないオレが、海人が絡んでくるといつものオレでなくなる。海人に意地悪を言いたくなったり、自分の方を向かせようとしたり、雪夜と態度の違う海人を責めたりした。そんなオレに雪夜はビックリしていた。

「まさに青天の霹靂だね。」なんて厭味も言われた。

傷のことだってオレは前から知っていたんだ。海人。だって死のうとしたお前を助けたのはオレなんだから・・・。

だから傷を拭くことも何とも思わないで拭いた。海人があんなに傷つくなんて思いもしてなかったんだ。もちろん雪夜も傷の事は知ってたんだ。

海人が手首を切って意識を失っているのを見つけて、どうしたらいいのかわからなくて、救急車を呼んだ後、雪夜に連絡したんだ。止血の方法とか、救急車が来るまでどうしたらいいのかとか。

血の気のないお前の顔が・・・

どんどん下がっていく体温が・・・

命が消えていくことが怖くて・・・。

雪夜の病院でお前を見た時、どんなに安心したか。ずっと心配してたんだ。でも仕事でろくにマンションに帰れなかったから海人がどうしているのかわからなかった。雪夜に電話をもらってお前が病院に来る事を知って何もしらないふりをしてお前に逢った。雪夜も武蔵のカルテを見た時からお前に気がついてた。

でも、お前は生き残った事を苦しんでいるようで、人と関わらないようにしていることがすぐにわかったよ。オレも雪夜もお前が恋人と嬉しそうに過ごしていたのを知っている。雪夜はたまにオレのマンションに来てメシを作ってくれていたからな。恋人しか見てないお前はオレたちに気がつかなかったみたいだけど・・・。

オレも雪夜も海人と一緒にいる奴が恋人同士だってすぐにわかった。幸せそうなお前の顔がそれを物語っていた。周りは関係ない、恋人さえいればいいって気持ちが海人の全身からあふれていたから、別れる事がないように祈ってたんだ。だって別れてしまったらお前がどうなるのか分からなかったから。命を絶つことだってありうるって雪夜と話してた。実際その通りになった。

海人。海人の心の中の傷は海人にしか分からないけど、オレでは役に立てないのか?

海人に傷を知っていた事、助けたのはオレだという事を話せば海人がオレを拒否しそうで怖くて言えなかった。雪夜には言ったほうがいいって言われてたのに。

挙句の果てに結局は海人を傷つけちまった。

海人、もう遅いのか?オレに話をさせてくれないのか?

海人が落ち着いたら、傷のことを知っていた事や知っていた理由を話せば大丈夫だと思っていた。

あの後、仕事で取材に行かされ3日も連絡出来ていない。海人の携帯も電源をOffにしているのか繋がらなかった。雪夜も同じだと言っていた。

「もしもし雪夜?今、戻った。海人のとこに行ってみたか?」

「響夜お帰り。行ってないんだ。悪い。病院が忙しくて。」

「そうか。いやいいんだ。また後で電話する。」

「わかった。」

ポストにたまった手紙を取り出す。ぽとっと落ちた封書にはキレイな文字で『杉野 雪夜様 響夜様』と書かれている。何だかひどく嫌な予感がした。他の手紙をかばんに入れ封書を裏返す。『高瀬 海人』

海人からの手紙。オレはあわててエレベーターに乗り7階へと海人の部屋に直行しインターホンを鳴らす。さっき街で見かけたのだからいるわけはないのだけど、嫌な予感は続いていた。

「さっき見かけたんだから部屋にいるわけない。」小さく呟いて部屋に戻ろうとすると、不動産屋がやって来るのが見えた。

「杉野さん。こんにちは。」

取材などで家を留守にすることが多いオレは何かあれば不動産屋に連絡していたので顔を知られている。

「こんにちは。」

不動産屋は挨拶しながら海人の部屋の鍵を開ける。

そこには何もなかった。ガランとした空間だけが広がっている。

「隣り、引越したんですか?」不動産屋に聞く。オレの声震えてないよな。

「そうなんですよ。月の途中なのに急に引越しするからって。おとつい連絡が有りまして、今日の朝一緒に部屋の中の確認させてもらって手続きをしたんです。」

「どこに引越しされたんですか?」

「さぁ。知りませんねぇ。部屋もキレイに使われていたので何の問題もなくて契約終了となって新しい場所は聞かなかったんですよ。何か問題でもありましたか?」

「いいえ。何もないです。ちょっと聞いて見ただけで。じゃ、失礼します。」

心臓がバクバクしている。頭がパニックだ。海人が引越し?どこに?そうだ、携帯。

オレは部屋に入ると荷物を放り出して海人の携帯にかける。

『お客様のお掛けになられた電話番号は現在使われておりません』無機質な音声が繰り返される。

海人、どうして・・・。どこに行った?

そうだ、手紙。

海人からの手紙を震える手で開けた。









『青天の霹靂』・・・予想もしなかったような事件や変動が、突然起きること。だそうで、「晴天」と書くのは間違いだそうです。マメ知識でした。
さて、 響夜がパニくっています。遊んでいたツケが来ましたね。今までの罰です。やっと仕事から解放されて海人に話をしようと思ってたのに少し遅かったみたいです。海人を助けたのは響夜でした。予想していた?そうですよね。おとなりだしね。複雑にすると話が終わらないのでベタな展開にしてしまいました。私的に好きなのですがこういう展開。ベタすぎてごめんなさいです。響夜の気持ちもうちょっと聞いてやって下さい。次回も続きます。



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~ Comment ~

 

こんばんは(^-^)

ああああ‥響夜くん‥辛いですね。

ひととひとの結びつきは因果なもので。
そして、なかなか分かり合えない。
それはそうです。
血が繋がってたって分んないんですもの。

言葉で伝えても伝わらないこともあるし。
今の海人くんに例え何かを伝えようとしても
伝わらなかったかもしれないですしね。
分からないです、ほんとうに。

命の恩人という認識を持てるかどうかも‥‥

難しい‥なにが正解ってないですから
とってもひとと付き合うのは難しいです。

ただ、縁があれば‥きっとまた逢えるはず。
分かりあう機会もあるはずだと信じております。

少しばかり軽い響夜くんだけど
真剣にひとを思えばきっと‥奇跡的なことも起きるかも‥
かも、しれませんものね!

応援したくなります~(≧∇≦)
また逢えたらいいですねっ♪

Re: タイトルなし 

ハル様こんばんは☆

響夜って今まで、順風満帆な人生を送ってきたんですよ。自分が一番だから、人になんて思われても気にしないってとこがあったんですよね。だから、人の気持ちに疎いところがあるんですね。だから海人が傷つくことが分からなくて・・・。

まあ、あの時の海人はたとえ響夜が命の恩人だと聞いたところでハル様の言われる通り「響夜、ありがとう」なんて間違っても言わなかったでしょうね。

二人は分かりあえることが出来ない。海人は人との関わりを拒否し、響夜は相手の心がわからない。平行線の二人なんです。これからどうなるかは・・・。

見守ってやって下さいm(_ _)m
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