キミと空とネコと30

「あっ。水野さん。こんばんは。今日はお休みですか？」

「ええ。今日は休みなのでコンビニ弁当じゃなくてお惣菜にしようと思ってスーパーに来たら貴方を見かけたので、つい声をかけてしまいました。お買い物ですか？」

「夕飯のおかずと、弁当のおかずを買おうと思って。後、ネコのごはんも。」

「一人暮らしですか？自炊してるの？すごいな。ボク料理なんて殆ど出来ないです。」

「一人暮らしが長いので自然と出来るようになっちゃいました。」

「ちなみに今日は何作るんですか？」

「今日は疲れてるので簡単なものを。白身魚のグラタンと野菜のスープとバケットのアンチョビのせにしようかな。」

「それで簡単なんですか？おいしそう。」

「簡単ですよ。グラタンのソースは市販のものを使うので。」

水野さんは私服でも相変わらず天使のようでかわいいと思ってしまう。その雰囲気からなのかこの人は自然にオレの中で受け入れている。不思議な人だ。ずっと前から知っているような感覚。

その後もいろいろな話をしながら一緒に買い物する。

「水野さん、そんなこってりの惣菜食べるんですね。意外。」

「そうかな？あんまり考えてないかも。適当？貴方のって･･･。ボク貴方の名前知らない･･･。」

「あっ。すいません。高瀬　海人と言います。オレ名刺ないんで。」

「高瀬さんですか。ボクは26歳なんですけど高瀬さんは？」

「あっ。おないです。」

「じゃ、遠慮なしに呼んでもいい？カイ･･･くんとか。」

カイ･･･。コウキはオレのこと『カイ』って呼んでたなってふと思う。

「いいですよ。じゃあオレはユウくんでいいのかな？」

「ユウのほうがいいな。仲良しみたいでしょ。カイくんはカイって呼び捨てには出来ないけど･･･。」

「なんで？」

「うーーん。なんとなく。カイって言った時の顔がね･･･。」

顔に出てたのかな？案外ユウは人をよく見てる。

「うん。カイって呼び捨てはちょっと･･･。」

「じゃあカイくんで。ヨロシクね。」

スーパーからの帰り道も同じでマンションまで自転車を押しながら話す。

「オレのマンションここだから。」

「えええっ。ボクもここのマンションだよ。」

偶然とは恐ろしいものだ。ユウは5階でオレは7階だった。ユウと知り合えたのは必然？なんて思ってしまう。

「今度、夕食ご馳走するよ。友達になった記念にユウの好きなもの作ってやるよ。何がいいか考えてて。後、都合のいい日と。」

「ほんとに？嬉しいな。考えとく。」

お互いに携帯のアドレスを交換する。

「じゃ、またね。」「またな。」それぞれの家に帰る。

部屋では武蔵が遅いっていう風に身体を摺り寄せてくる。

「ごめん、遅くなったな。ご飯にするか。」武蔵のご飯と自分のご飯を作る。

白身魚のグラタンは小さなカップにとりわけて冷凍にする。お弁当のおかず用だ。

休憩室はレンジもあったからあっためて弁当が食べられる。

「武蔵。今日もいろいろあったよ。緊張したし、大変だけどオレ頑張れそうだ。ユウって友達も出来たぞ。今度うちに呼ぶから武蔵も仲良くしてくれよな。」

布団の中で武蔵に今日の報告をする。このところ報告することがたくさんあることに嬉しくなる。前はずっと家にいたから報告することなんてなかった。武蔵に報告する時間が楽しい。

「明日からは弁当も作らないといけないからもう寝ような武蔵。」

このところ睡眠薬は飲んでない。もちろん安定剤も。このまま薬とは離れられたらいいな。

ユウからメールが届く。

『決めた～～～♡￫ܫ￩♡。中華がいいなあ。から揚げと餃子は絶対!!あとはカイくんにまかせる（๑￫‿ฺ￩๑）♫ ♫♬♪♫ あさってお邪魔してもいい？』

顔文字に笑ってしまうけどユウらしいと思う。

『了解!!楽しみにしといて。じゃ、お休み』

『わーーーい☆＾▽＾☆ カイくんｵ(*ﾟωﾟ*)ﾔ(*'ω'*)ｽ(*-ω-*)ﾐｨ(･ω･*)ﾉ~~ 』

3番目の携帯の登録がユウ。

1番目は麗華さんで2番目は彰人さん。こうやって新しい携帯のメモリーが増えていくのは嬉しい。

0番･･･。前はコウキがいたところ。今は空欄。埋まる事のない番号･･･。少し悲しくなりそうな気分にあわてて布団の中に潜り込み、ユウのためのメニューを考える。
中華のフルコースでも作るか。明日の帰りに食材買って下ごしらえしよう。
メニューを考えてるうちに静かに眠りは訪れた。

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カウンターがもうすぐ6000にまで行きそうです。昨日自分で入ったらなんと5555でした(*･ω･*)12月19日に始めてこんなに読んでもらえるなんて思ってもいませんでした。読んでくださる皆様にありがとうです。少しでも楽しんで頂けたら嬉しいです(*ﾟ▽ﾟ)*｡_｡)*ﾟ▽ﾟ)*｡_｡)ｳﾝｳﾝ

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