貴方の腕の中で

貴方の腕の中で5

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「えっと・・・。ここはどこ?」


目が醒めて、ここがどこなのか、どうしてここにいるのかわからず、しばらくぼーーーっとする。


裕之兄ちゃんの夢をみていたせいか、頬が涙で濡れていた。


少しずつ周りの景色が見えてくる。


消毒液の匂いと、白い部屋に病院にいるのだと気づく。


「あーーーーーーっ!!!そうだ、ブラックアウトしちゃったんだ!!でも、なんで病院?」


そして、倒れる前に目の前で見た白いニッカポッカのズボンを思い出す。


「大丈夫か?」と言われた時、その声に安心して倒れてしまったことを思い出す。


裕之兄ちゃんとは違う声。


なのに守ってもらえるような、何でも包みこんでくれるような包容力のある安心できる声だった。



「助けてくれたんだ・・・。お礼いわなきゃな。」そう思いながらも夢のことが頭から離れない。



どうして裕之兄ちゃんの夢を見たのか。しばらくは見てなかったのに・・・。と思いを巡らす。





裕之兄ちゃんに告白しようとした日、裕之兄ちゃんからかわいい女の人を紹介された。


裕之兄ちゃんの彼女だった。


「蓮には1番に紹介したかったんだ。僕の大切な弟みたいなものだから蓮に祝福して欲しいんだ。」


そう言った裕之兄ちゃんはボクが見たことのない笑顔を彼女に向ける。


(ヤメテ・・・。)

ボクは意識が朦朧とする中で無理に笑顔を作り「よかったね。裕之兄ちゃん。(ウソだ・・。)お似合いだよ。おめでとう。(どうして・・・。隣にいるのはボクじゃないの?)」


どんな会話をして、どうやって家に帰ってきたのか、その後のコトは覚えていない。



それからは、二人のコトを見ていたくなくて裕之兄ちゃんから逃げるようにバイトと塾に明け暮れた。


裕之兄ちゃんは相変わらずボクのコトを気にしてくれていたけど、「受験があるから勉強しなくちゃいけないし、彼女をほったらかしにしたらダメだよ」なんて心にもないコトを言って裕之兄ちゃんを避けた。


裕之兄ちゃんは社会人となり、イギリスに海外赴任となり逢うこともなくなった。


ボクの中にはまだ消化出来ていない裕之兄ちゃんへの気持ちがジクジクと膿んでいるけど、それに蓋をして知らない振りをしていたのに・・・。どうして・・・。



そうだ、誰かに頬をなでられたような気がする。あんな風に「大丈夫か?」って優しく頬をなでられたのは裕之兄ちゃんしかいなかった。だから、あんな夢を見たんだ。



一人で人のぬくもりも感じないように生きてきたのに・・・。


もうあんな思いをしたくないから、ぬくもりなんて思い出したくもないのに。


倒れた自分が悪いのに、助けてくれたニッカポッカの人を少し恨んだ。









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